似た意味を持つ「水魚の交わり」(読み方:すいぎょのまじわり)と「刎頸の交わり」(読み方:ふんけいのまじわり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」という言葉は、どちらも非常に親密な関係のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の違い
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の意味の違い
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の違いを分かりやすく言うと、「水魚の交わり」とは「蜀志」諸葛亮伝が由来、「刎頸の交わり」とは「史記」藺相如伝が由来という違いです。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の使い方の違い
一つ目の「水魚の交わり」を使った分かりやすい例としては、「彼とは水魚の交わりと言える関係です」「私には水魚の交わりと言えるような親友がいます」「幼馴染とは離れていても水魚の交わりです」などがあります。
二つ目の「刎頸の交わり」を使った分かりやすい例としては、「地元の友人とは離れていても刎頸の交わりです」「幼馴染の彼とは刎頸の交わりと言える関係です」「彼女とは刎頸の交わりなので見捨てることはありません」などがあります。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の使い分け方
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」はどちらも非常に親密な関係のことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「水魚の交わり」は「蜀志」諸葛亮伝が由来なのに対して、「刎頸の交わり」は「史記」藺相如伝が由来という点です。
また、「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」は基本的に同じ意味を持つ言葉なので、置き換えて使っても問題ありません。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」の英語表記の違い
「水魚の交わり」も「刎頸の交わり」を直訳した英語はありませんが、近い表現として英語の慣用句である「A Damon and Pythias firiendship」があります。
「水魚の交わり」の意味
「水魚の交わり」とは
「水魚の交わり」とは、非常に親密な関係のことを意味しています。
「水魚の交わり」の読み方
「水魚の交わり」の読み方は「すいぎょのまじわり」です。誤って「みずさかなのまじわり」などと読まないようにしましょう。
また、「水魚の交わり」は「水魚之交」と四字熟語にすることも可能です。
「水魚の交わり」の使い方
「水魚の交わり」を使った分かりやすい例としては、「彼とは水魚の交わりだと胸を張って言えます」「彼らは水魚の交わりと称してもいいような仲です」「彼女とは水魚の交わりなので何を考えているかだいたい分かります」などがあります。
「水魚の交わり」は水と魚のように切り離せない関係を例えて、非常に親密な関係を表すことわざです。また、特徴として友人関係や主従関係だけではなく、夫婦関係に対しても使うことができます。
「水魚の交わり」の由来
「水魚の交わり」の由来は『「蜀志」諸葛亮伝』です。したがって、三国志時代に出来た言葉になります。
中国の三国時代に、蜀の王となる劉備が優れた人物である諸葛孔明を軍師として臣下に迎えました。諸葛孔明はとても優秀だったので、劉備は大変気に入りとても親密にな関係になりました。しかし、劉備の古参の部下である関羽と張飛にとってはとても面白くありません。
この不満を持った部下たちに対して、劉備は「孤の孔明あるは、猶魚の水有るがごとし」と言いました。これを日本語に訳すと、「私たちは水と魚のような関係なので切り離すことができません」となります。
このことが転じて、非常に親密な関係のことを「水魚の交わり」と言うようになりました。
「水魚の交わり」の対義語
「水魚の交わり」の対義語・反対語としては、仲が悪いことを意味する「犬猿の仲」があります。
「水魚の交わり」の類語
「水魚の交わり」の類語・類義語としては、堅く結ばれた交わりのことを意味する「金石の交わり」、非常に仲の良い友人付き合いのことを意味する「管鮑の交わり」(読み方:かんぽうのまじわり)などがあります。
「刎頸の交わり」の意味
「刎頸の交わり」とは
「刎頸の交わり」とは、非常に親密な関係のことを意味しています。
「刎頸の交わり」の読み方
「刎頸の交わり」の読み方は「ふんけいのまじわり」です。誤って「はねくびのまじわり」などと読まないようにしましょう。
また、「刎頸の交わり」は「刎頸之交」と四字熟語にすることも可能です。
「刎頸の交わり」の使い方
「刎頸の交わり」を使った分かりやすい例としては、「彼女とは刎頸の交わりと言える関係です」「彼とは喧嘩もたくさんしたが刎頸の交わりと言えるだろう」「夫とは刎頸の交わりなので何考えているかだいたい分かります」などがあります。
「刎頸の交わり」はその友のためなら首を切られても悔いないことを例えて、非常に親密な関係を表すことわざです。また、特徴として友人関係や主従関係だけではなく、夫婦関係に対しても使うことができます。
「刎頸の交わり」の「刎頸」は難しい表現ですが、意味は首を斬ることです。
「刎頸の交わり」の由来
「刎頸の交わり」の由来は『「史記」藺相如伝』です。藺相如伝は紀元前100年前後の中国、つまり前漢の時代の歴史家である司馬遷によって書かれた史記になります。
中国の戦国時代に趙という国がありました。 趙が持っていた名宝を秦の国王から命懸けで守り、趙の体面を保った藺相如は大臣に昇進しました。しかし、趙の総大将である廉頗は自分より出世した藺相如を妬みます。
とある日に外出した藺相如が、道で廉頗と鉢合わせそうになった時に遭遇しないように逃げました。 それに対して家臣たちが情けなく思い、なぜ逃げるんだと藺相如を問い詰めました。
それに対して、藺相如は「私は秦王をも恐れなかった。その私が廉頗を恐れるはずないだろう。私が思うに、秦がこの趙の国に軍隊を送らないのは、私と廉頗がいるからだ」と言ったのです。
つまり、藺相如は二人が争いにより共倒れになることを懸念して、国のために争いを避けるつもりでいたのです。このお話が廉頗の耳に入ると、廉頗は自分の考えを恥じ、深く反省して謝罪しました。
その際に、お互いためなら首を刎ねられても悔いはないという約束を交わしました。このことが転じて、非常に親密な関係のことを「刎頸の交わり」と言うようになりました。
「刎頸の交わり」の対義語
「刎頸の交わり」の対義語・反対語としては、性質が合わずしっくり調和しないことを意味する「水と油」があります。
「刎頸の交わり」の類語
「刎頸の交わり」の類語・類義語としては、最も心の通い合う友情のことを意味する「断琴の交わり」(読み方:だんきんのまじわり)、気心がよく通じ合っている友達のことを意味する「莫逆の友」(読み方:ばくげきのとも)などがあります。
「水魚の交わり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常に親密な関係のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「水魚の交わり」は友人関係ではなく、夫婦関係に対しても使うことができます。
「刎頸の交わり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、非常に親密な関係のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「刎頸の交わり」は友人関係ではなく、夫婦関係に対しても使うことができます。
「水魚の交わり」と「刎頸の交わり」はどちらも非常に親密な関係のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「蜀志」諸葛亮伝が由来なのが「水魚の交わり」、「史記」藺相如伝が由来なのが「刎頸の交わり」と覚えておきましょう。