【老害】と【ベテラン】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「老害」(読み方:ろうがい)と「ベテラン」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「老害」と「ベテラン」という言葉は、どちらも長年なにかを成し遂げてきた人たちに向けて使われる言葉であるという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。




老害とベテランの違い

老害とベテランの意味の違い

老害とベテランの違いを分かりやすく言うと、自分の経験を若手に押し付けて成長を阻害する人のことか、自分の経験を生かして若手を成長させる人かの違いです。どちらの言葉も、長年の経験がある人にしか使えない言葉です。

老害とベテランの使い分け方

老害というのは、古い考えに固執して、若年層の成長などを阻害する人物のことを指します。近年では、老害という言葉に年齢は関係なく、世代に取り残され、若手の成長を妨害するような考え方を持つ人のことを総じて「老害」と呼びます。

老害という言葉は、老いた害と書きます。この場合の「老いた」というのは、考え方が古いという意味です。老害という言葉だけを聞くと、酷く悪い言葉に聞こえますが、実際には長年の経験や実績、実践を積んだ人物に対して使われる言葉です。

人は長く生きていれば長く生きているだけ、様々な経験をします。そのため、老害と呼ばれる人は、年齢が上の人が多いのが現状です。経験も実績もない場合には、老害とは呼ばれません。

この老害という言葉は、日本の年功序列を重んじてきた歴史が生み出したものであるとも言えます。長い間勤めている社員が自動的に上の立場に上がっていく制度が当たり前のようにあったため、年次が上であるだけで権力があると勘違いをする人もいます。

もちろん、長く勤めている人が持っている経験というのは貴重なものです。しかし、それを生かす方向ではなく、権力として振りかざすことは良しとはされません。

また、時代の流れについていけずに、一昔前の仕事の流儀を若手に押し付けるなどの行為も老害だと言われる人の特徴です。自分自身が若い頃の仕事のやり方と、現在の仕事のやり方の変化に気が付けていない場合が多くあります。

極端な例えで言えば、自分が若い頃は全て手書きだったのだから、今の若手も手書きで書類を作成すべきだというような主張が老害的な考え方だと言えます。

一方、ベテランというのは、これまで培ってきた経験や体験を活かして、若手や後輩を導いていくような人のことを指します。その仕事や職業に熟練している人であるとも言えます。

ベテランという言葉は、本来、戦後に「退役した軍人」という意味で使われていたものでした。この退役軍人という言葉は、国を守ってきた人々という意味も込められており、誇りと尊敬を持って使われるものでした。

そういった語源から、現在では、引退の年齢にある人の中で、今までその仕事や技術を守ってきた人々、技術力があり経験が豊かな人々のことをベテランと呼ぶようになりました。

ベテランと呼ばれる人の特徴としては、自分自身が持っている技術や知識を権力として振りかざすのではなく、若者や後輩に引き継いでいくような在り方が出来る人物であることが挙げられます。

ベテランは、今後の未来を担っていく立場の若者や後輩を、潰すのではなく、育てることが出来る人物である必要があります。また、古い考え方に捕らわれず、新しい考え方を受け入れるだけの度量も必要です。

老害の意味

老害とは

老害とは、自分自身の古い考え方に固執して、若手や後輩の成長を阻害する人々を意味しています。マイナスの意味で使われる言葉であり、使用する際には不用意に他人を傷つけない配慮が必要です。

老害の特徴

老害というのは、自分自身の経験や考え方を若い層にも押し付けるような人のことを言います。古い考えに固執し、それを他者にも押し付けて強要することにより、若手の成長を妨害するような人であるとも言えます。

働き方というのは、時代や経済状況によって変化していくものです。その変化に対応できずに、古い考え方に固執してしまうことが、老害と呼ばれる種類の人間を作り出してしまうひとつの原因です。

この老害という考えは、日本独自のものではなく他国でも見られます。ドイツの哲学者であるゲーテは「人間というものは年齢の段階が違うと確かに別の人間にはなるが、前より立派な人間になるとは必ずしも言い得ないのだ」という言葉を残しています。

しかしながら、人間社会というのは、老若男女が混ざり合って出来上がっているものです。それぞれがそれぞれの立場で主義主張を持っています。互いにその主張をぶつけ合うのではなく、上手く譲り合って調和をしていくのが社会性であるとも言えます。

表現方法は「老害になる」「老害にならない」「老害と呼ばれる」

「老害になる」「老害にならない」「老害と呼ばれる」などが、老害を使った一般的な言い回しです。

老害の使い方

老害を使った分かりやすい例としては、「老害になるのを防ぐために若者の意見を尊重している」「老害にならない為の対策はとにかく偉そうな態度をとらないことである」「私は会社の若手に老害と呼ばれていることをさっき知った」などがあります。

老害の対義語

老害の対義語・反対語としては、子供を罵る言葉を意味する「ガキ」があります。

ベテランの意味

ベテランとは

ベテランとは、自分自身の経験や体験、知識を活かして、若手を育てていけるような人々を意味しています。

ベテランの語源

ベテランは、元々は「退役軍人」という意味の言葉でした。

ここで言うところの「退役軍人」とは、国を守ってきた人々という意味が込められており、誇りと尊敬を持って使われるものです。現在で使われる「ベテラン」という言葉も、若手から尊敬や憧れを持って接せられる人であると言えます。

ベテランとは、自分自身の培ってきた知識を権力として振りかざすのではなく、未来を担う立場の人々に引き継いでいくような在り方が出来る人のことを指します。また、古い考えに固執せず、新しい考え方を受け入れられる人であることも必要です。

その他にも、データなどでは推察できない、微妙な感覚などを経験値により判断する勘が働く人についてもベテランと呼ぶことが出来ます。このような感覚によるところのベテランは、技術職の現場などで多く見られます。

積み上げてきた経験は、大切なものです。若手から憧れや尊敬の眼差しで見つめられてこそのベテランであると言うことが出来ます。

表現方法は「ベテランさん」「ベテランの人」「ベテラン社員」

「ベテランさん」「ベテランの人」「ベテラン社員」「ベテランに期待する」などが、ベテランを使った一般的な言い回しです。

ベテランの使い方

ベテランを使った分かりやすい例としては、「ベテランさんと言われる年次になったようだ」「ベテラン社員なのに仕事ができないのには困ったものだ」「ベテラン世代に期待する組織体制となっている」などがあります。

ベテランの対義語

ベテランの対義語・反対語としては、初めて間もない人のことを意味する「若手」、新しく加わった人のことを意味する「新米」などがあります。

ベテランの類語

ベテランの類語・類義語としては、経験を積んで熟練している人のことを意味する「老練家」、特別な知識や能力を持つ人のことを意味する「練れ者」(読み方:ねれもの)、昔からその位置にいる人のことを意味する「古参」などがあります。

老害の例文

1.最近、老害という言葉をよく耳にする気がする。
2.歳を取っても老害と呼ばれるような人間にはなりたくないなぁ。
3.最近は、年齢関係なく30代あたりでも老害と呼ばれるらしいよ。
4.日本で長く続いた年功序列の制度が老害を生みやすい環境を作り出したらしい。
5.老害という考え方は、なにも日本独自のものではないようだよ。
6.僕の妻は職場で旧姓を使用しているが、親が夫婦別姓はおかしいなどと言うので、こういう人たちが老害なんだなとげんなりしている。
7.私達がなにか新しいことをやろうとしても、必ず老害社員が立ちはだかり、邪魔をしてくるのです。
8.老害とは年配の人ばかりでなく、考えが凝り固まっている人のことを指すのだと思う。
9.国会では居眠りをしている年配議員を、老害の象徴としてマスコミに盛んに揶揄された。
10.会社を赤字体質にした老害経営者の辞任は当然だし、本来なら高い退職金も支払うべきじゃないですよ。

この言葉がよく使われる場面としては、若手に対して自分の古い考えを押し付けるような先輩社員に出会った時などが挙げられます。しかし、この老害という言葉は、マイナスの意味を持つ言葉なので、使用する際には注意が必要です。

老害というのは、日本の昔ながらの年功序列制度が生み出したものであるとも言えます。年齢が上であり、経験があることを権力として振りかざすような人のことを老害と表現します。

こういった人々は、柔軟性に欠けていて、古い考え方を捨てきれずにいる場合が多くあります。近年では、例文3のように、年齢がまだ若くても時代の流れに合わない考え方をしていると、老害と呼ばれてしまうことがあります。

常に変化し続ける社会環境に対応して、柔軟な考え方をすることが大切です。また、後輩指導などにおいては、相手の考え方をきちんと聞き、受け入れる心を持つことも大切です。自身の経験や考え方が全てではないことを理解しておくようにしましょう。

ベテランの例文

1.ベテラン社員の方と一緒だと、安心して仕事が出来る。
2.私も、いつかベテランと呼ばれるような存在になりたい。
3.あの人は若手を育てるのが上手いし、技術力もあって、まさにベテランという感じだ。
4.入社当時、先輩から「あの人はベテランだから、仕事をよく見ておくといいよ」とアドバイスを貰った。
5.私の父は家では少しだらしないが、会社ではベテランと呼ばれているらしい。
6.経験や技術もそうだが、会社のベテラン社員の人は社内からも取引先からも信用されていて、自分もまずは人として信頼されるようになりたいと思った。
7.私達が頼んだ弁護士は、その手の事件の大ベテランなので、心配することはありませんよ。
8.新しい経営陣は首切りを進めたいようだが、ベテラン社員がいないと社内が回らないことを知らないのだろう。
9.彼は飲み込みが早いので、どんな難しい仕事でも、すぐにベテランの域に達してしまう。
10.彼は事件捜査のベテランだが、犯人逮捕のためならば強引な手法も厭わないところがある。

この言葉がよく使われる場面としては、若手から尊敬や憧れの眼差しで見つめられるような、経験豊富な先輩社員に出会った時などが挙げられます。または、データなどでは見抜けない微妙な判断が出来るような人のことを表現する際などが挙げられます。

ベテランというのは、元々社会などに貢献してきた人であり、なおかつ後輩指導についても秀でている人のことを指します。また、社会の流れに置いていかれることなく、柔軟な考え方で対応が出来る人であることも大切です。

ベテランとは、別の言い方で「プロフェッショナル」や「エキスパート」などと呼ばれることもあります。豊富な経験と優れた技術力、それに加えて人間としても成熟している人物をベテランと呼ぶのだと覚えておくようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター