似た意味を持つ「散々」(読み方:さんざん)と「再三」(読み方:さいさん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「散々」と「再三」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
散々と再三の違い
散々と再三の意味の違い
散々と再三の違いを分かりやすく言うと、散々とは著しい程度や酷い状態を表し、再三とは繰り返す頻度を表すという違いです。
散々と再三の使い方の違い
一つ目の散々を使った分かりやすい例としては、「私は運が悪く、いつも散々な目にあう」「彼は散々な言われようにも泰然としていた」「好きな仕事でも散々だな辞めたいなと思うことはあります」などがあります。
二つ目の再三を使った分かりやすい例としては、「再三やってみたが無駄であった」「再三再四にわたり警告を発しました」「再三にわたり注意しているのに直らない」「再三のお願いで恐縮ですが宜しくお願いいたします」などがあります。
散々と再三の使い分け方
散々と再三という言葉は、どちらも「散々注意した」「再三注意した」のように同じような表現をし、音の響きも似ていますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
散々とは、主に「程度が著しい様子」「目も当てられないほどの酷い状態」の二つの意味で使用される言葉です。上記例文の「散々な目にあう」は、みじめな思いをすることや辛く酷いめにあうことを意味します。また、「散々注意した」は注意の程度が容赦なく厳しさまを表します。
再三とは、二度も三度も繰り返すさまを意味、頻度が高いことを表す言葉です。「再三注意した」とは、一定期間のなかで何度も注意したことを意味し、その注意の厳しさなどの程度は表現していません。
つまり、散々とは程度が著しいさまや酷い状態を表し、再三とは繰り返すさまを表す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
散々と再三の英語表記の違い
散々を英語にすると「terribly」「severely」「disperse」となり、例えば上記の「散々な目にあう」を英語にすると「have a terrible experience」となります。
一方、再三を英語にすると「over and over」「repeatedly」「frequently」となり、例えば上記の「再三それをやる」を英語にすると「try it over and over」となります。
散々の意味
散々とは
散々とは、物事の程度が著しいさまを意味しています。
その他にも、「物事の結果や状態がひどく悪くて目も当てられないさま、みじめ」「ちりぢりばらばらになるさま、砕け散るさま」「嫌になるほど程度がはなはだしいさま、ひどく、さんざ」の意味も持っています。
散々の漢字表記
散々は「散散」とも書きますが、一般的には「散々」と表記されています。「々」は踊り字と言われる記号の一種で、同じ漢字を重ねて使う場合に、その漢字の代わりとして用いられます。
散々の読み方
散々の読み方は「さんざん」です。誤って「さんさん」などと読まないようにしましょう。
散々の使い方
「散々お世話になった恩師がいます」「散々はげしい雨が降っていた」の文中で使われている散々は「程度が著しいさま」の意味で、「今日は散々な日でした」「散々な思い出は悲しみしかない」などの文中で使われている散々は「ひどくて目も当てられないさま」の意味で使われています。
一方、「波は岩に当たって散々に散らばった」の文中で使われている散々は「砕け散るさま」の意味で、「散々注意したのに変わらない」「昨夜は散々っぱら飲んでしまった」の文中で使われている散々は「嫌になるほど程度がはなはだしいさま」の意味で使われています。
散々とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、主に「程度が著しいさま」「物事の結果や状態が悪くて目も当てられないさま」の意味で使用されています。散々の「散」は訓読みで「ちる」と読み、四方にちらばることや、とりとめがないことを表す漢字です。
「散々たる」は誤用
。
散々を用いた誤った表現には「散々たる」があります。正しくは「惨憺たる」(読み方:さんたんたる)であり、見ていられないほど痛々しいさまを意味します。
散々の対義語
散々の対義語・反対語としては、この上なくよいことを意味する「上々」、この上なくすぐれていることを意味する「上乗」などがあります。
散々の類語
散々の類語・類義語としては、さんざんぱらや思いっきりを意味する「さんざっぱら」、大いに驚くべきことや程度がはなはだしいことを意味する「大変」、程度のはなはだしいさまを意味する「とても」、並みの程度でないさまを意味する「滅法」などがあります。
再三の意味
再三とは
再三とは、ある動作が二度も三度も行われること、たびたび、しばしばを意味しています。
表現方法は「再三にわたり」「再三すみません」
「再三にわたり」「再三すみません」などが、再三を使った一般的な言い回しです。
再三の使い方
再三を使った分かりやすい例としては、「利用者の皆様へ再三のお願いです」「再三申し上げますが私は英語の専門家ではありません」「事業者と再三にわたり協議を行ってまいりました」「再三にわたり申し訳ありません」などがあります。
その他にも、「再三再四のお願いで恐縮ですが」「再三再四にわたり再発防止を申し入れてきました」「抗議するために再三再四ストライキを行っております」「お客様には再三にわたりご迷惑をおかけしました」などがあります。
再三とは、ある一定の期間のうちに同じことを二度も三度も行われていることを意味します。特に、注意や督促などを繰り返し行われていることを表す言葉です。再三の「再」はもう一度や繰り返すこと、「三」は何度もを表す漢字です。
四字熟語「再三再四」の意味
再三を用いた四字熟語には「再三再四」があります。「再三再四」とは、再三を強めていう表現であり、ある動作が繰り返し何度も行なわれるさまを意味します。多くは副詞的に用いられ、「再三再四忠告したはずです」のように使われています。
再三の類語
再三の類語・類義語としては、ある動作が繰り返し行われるさまを意味する「再々」、同じことを何度も繰り返すさまを意味する「重々」、多くの回数を意味する「何度」、何度も同じことをするさまを意味する「よく」などがあります。
散々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の程度が著しいさま、見苦しいさま、ちりぢりになるさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、散々の慣用的な言い回しには「散々言う」「散々でした」「散々な目にあう」「散々だった」などがあります。「散々言う」とは、嫌になるほど何度も口にする様子を意味します。
再三の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある動作が二度も三度も行なわれること、しばしばであること。たびたびを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、再三の慣用的な言い回しには「再三にわたり」「再三すみません」「再三の注意」などがあります。「再三にわたり」とは、一定期間のうちに物事が幾度となく起こることを意味します。
散々と再三という言葉は、似ていますが意味は大きく違います。どちらの言葉を使うか迷った場合、程度が著しいさまや酷くて目も当てられないさまを表現したい時は「散々」を、繰り返すさまを表現したい時は「再三」を使うようにしましょう。