似た意味を持つ「悍ましい」(読み方:おぞましい)と「忌まわしい」(読み方:いまわしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悍ましい」と「忌まわしい」という言葉は、どちらも嫌な感じであることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「悍ましい」と「忌まわしい」の違い
「悍ましい」と「忌まわしい」の意味の違い
「悍ましい」と「忌まわしい」の違いを分かりやすく言うと、「悍ましい」とはぞっとするほど嫌というニュアンスで使う、「忌まわしい」とは不愉快というニュアンスで使うという違いです。
「悍ましい」と「忌まわしい」の使い方の違い
一つ目の「悍ましい」を使った分かりやすい例としては、「この悍ましい事件は忘れてはなりません」「ジャングルを歩いてたら悍ましい動物と遭遇してしまいました」「現場につくなり私たちは悍ましい部屋を調べました」などがあります。
二つ目の「忌まわしい」を使った分かりやすい例としては、「ここはテロ事件でたくさんの人が亡くなった忌まわしい場所です」「たった一枚の写真を見ただけで、忌まわしい過去が蘇ってきました」「そんなことは口にするもの忌まわしい」などがあります。
「悍ましい」と「忌まわしい」の使い分け方
「悍ましい」と「忌まわしい」はどちらも嫌な感じであることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「悍ましい」はぞっとするほど嫌というニュアンスで使うのに対して、「忌まわしい」はぞっとするほど嫌というニュアンスはあまりなく、不愉快というニュアンスで使うのが違いになります。
また、「忌まわしい」は不吉で縁起が悪いことというニュアンスで使うのも違いの一つです。
「悍ましい」と「忌まわしい」の英語表記の違い
「悍ましい」を英語にすると「horrible」「hideous」「hateful」となり、例えば上記の「現場につくなり私たちは悍ましい部屋を調べました」を英語にすると「When we got there we looked into that dreadful room」となります。
一方、「忌まわしい」を英語にすると「disgusting」「detestable」「ominous」となり、例えば上記の「そんなことは口にするもの忌まわしい」を英語にすると「It is disgusting even to mention such a thing」となります。
「悍ましい」の意味
「悍ましい」とは
「悍ましい」とは、ぞっとするほど嫌な感じがすることを意味しています。
「悍ましい」の読み方
「悍ましい」の読み方は「おぞましい」です。誤って「あらましい」「たけましい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「悍ましい事件」「悍ましい雰囲気」「悍ましい獣」
「悍ましい事件」「悍ましい雰囲気」「悍ましい獣」などが、「悍ましい」を使った一般的な言い回しになります。
「悍ましい」の使い方
「悍ましい」を使った分かりやすい例としては、「思い出すだけでも悍ましいので早く忘れたいです」「海中で悍ましい生物と出会い一目散に逃げました」「悍ましい夢を見てしまい朝から気分が悪いです」「話を聞くだけでも悍ましい事件だ」などがあります。
「悍ましい」はただ嫌な感じがする場合に使うのではなく、ぞっとするほど嫌な感じというニュアンスで使うのが特徴です。そのため、見るからに嫌というわけではなく、雰囲気や精神的に嫌という感じでで使います。
「悍ましい」の由来
「悍ましい」の由来は古語の「おぞし」です。「おぞし」とは強情であることや恐ろしいことを意味しています。これが現代になるにつれてだんたんと変化していき、恐ろしいという意味が転じて、ぞっとするほど嫌な感じがすることの意味で使われるようになりました。
「悍ましい」の類語
「悍ましい」の類語・類義語としては、好感が持てず遠ざけたいことを意味する「疎ましい」、いかにも残酷であることを意味する「惨たらしい」(読み方:むごたらしい)、危険を感じて不安であることを意味する「恐ろしい」などがあります。
「忌まわしい」の意味
「忌まわしい」とは
「忌まわしい」とは、不吉で縁起が悪いことを意味しています。その他にも、不愉快であることの意味も持っています。
「忌まわしい」の読み方
「忌まわしい」の読み方は「いまわしい」です。誤って「いむわしい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「忌まわしい記憶」「忌まわしい思い出」「忌まわしい言葉」
「忌まわしい記憶」「忌まわしい思い出」「忌まわしい言葉」「忌まわしいもの」などが、「忌まわしい」を使った一般的な言い回しになります。
「忌まわしい」の使い方
「今朝は忌まわしい夢を見て気分が悪い」「ここは幽霊が出ると言われている忌まわしい場所です」などの文中で使われている「忌まわしい」は、「不吉で縁起が悪いこと」の意味で使われています。
一方、「ふとした時に忌まわしい記憶が蘇ってくる」「忌まわしい過去はもう忘れて過ごしたいです」などの文中で使われている「忌まわしい」は、「不愉快であること」の意味で使われています。
「忌まわしい」は不吉で縁起が悪いことと、不愉快であることの二つの意味を持つ言葉ですが、どちらもマイナスなイメージを伴っている言葉です。
不吉で縁起が悪いことの意味は「忌まわしい場所」「忌まわしい夢」など、不吉な場所や、縁起が悪くこれから不幸が訪れる場合に使います。
また、不愉快であることの意味は、精神的に不快感を伴っている場合に使い、「忌まわしい記憶」や「忌まわしい思い出」などの言い回しで使用します。
「忌まわしい」の由来
「忌まわしい」の由来は嫌って避けることを意味する「忌む」が形容詞化したことです。これが時代が経つにつれて変化し、不吉で縁起が悪いことや不愉快であることの意味で使われるようになりました。
「忌まわしい」の類語
「忌まわしい」の類語・類義語としては、不愉快で嫌であることを意味する「厭わしい」(読み方:いとわしい)、悪いことが起こりそうで不吉であることを意味する「禍禍しい」、嫌な気分になることを意味する「不愉快」などがあります。
「悍ましい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ぞっとするほど嫌な感じがすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「悍ましい」はマイナスのイメージで使われている言葉です。
「忌まわしい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不吉で縁起が悪いことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、不愉快であることの意味も持っています。
例文1から例文3の「忌まわしい」は不吉で縁起が悪いこと、例文4と例文5の「忌まわしい」は不愉快であることの意味で使っています。
「悍ましい」と「忌まわしい」はどちらも嫌な感じであることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ぞっとするほど嫌というニュアンスで使うのが「悍ましい」、不愉快というニュアンスで使うのが「忌まわしい」と覚えておきましょう。