似た意味を持つ「溜飲が下がる」(読み方:りゅういんがさがる)と「溜飲を下げる」(読み方:りゅういんをさげる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」という言葉は、どちらもすっきりすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の違い
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の意味の違い
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の違いを分かりやすく言うと、「溜飲が下がる」とは何かの拍子で不平不満が消えてすっきりすること、「溜飲を下げる」とは自分で不平不満を解消してすっきりすることという違いです。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の使い方の違い
一つ目の「溜飲が下がる」を使った分かりやすい例としては、「試合に勝利して溜飲が下がる」「深く謝罪されたので溜飲が下がる」「私は甘い物を食べると溜飲が下がる人です」「彼が辞めたと聞いて溜飲が下がった」などがあります。
二つ目の「溜飲を下げる」を使った分かりやすい例としては、「溜飲を下げる方法が分からなくて困っています」「彼女は浮気した夫の頬をビンタして少し溜飲を下げました」などがあります。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の使い分け方
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」はどちらも似た表現の言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意にしましょう。
「溜飲が下がる」は何かの拍子で不平不満が消えてすっきりした場合に使う言葉で、自分の行動だけではなく、他人の行動によって自分の胸がすっきりした時にも使うことができます。
一方、「溜飲を下げる」は自分で不平不満を解消してすっきりした場合に使う言葉で、自分で何らかのアクションを起こして不平不満を解消させた時に使うというのが違いです。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」の英語表記の違い
「溜飲が下がる」も「溜飲を下げる」も直訳した英語はないのですが、近い表現として「I feel good now」「I feel satisfied」「be delighted to」などがあります。
例えば上記の「彼女が辞めたと聞いて溜飲が下がった」を英語にすると「I was delighted to hear that she’d quit」となります。
「溜飲が下がる」の意味
「溜飲が下がる」とは
「溜飲が下がる」とは、不平や不満などが消えて気が晴れることを意味しています。
「溜飲が下がる」の使い方
「溜飲が下がる」を使った分かりやすい例としては、「謝罪の言葉を聞いてやっと溜飲が下がりました」「腹を割って意見を言い合えたので溜飲が下がる思いです」「彼の惨めな姿を見ているうちに長年の溜飲が下がった」などがあります。
「溜飲が下がる」は不平や不満などが消えて胸がすっきりすることを意味することわざです。
「溜飲が下がる」は公用文では使えない
「溜飲が下がる」の「溜」という漢字が常用漢字表に載っていないため、公用文や新聞などでは「留飲が下がる」と表現しています。ただし、それ以外の場面では「溜飲が下がる」の方を使うのが一般的です。
「溜飲が下がる」の語源
「溜飲が下がる」の語源は「溜飲」です。「溜飲」とは飲食物が胃に滞って酸性の胃液が喉に上がってくることを意味しています。「溜飲」があると胸焼けした状態になり、この状態を不平不満があるということに例えています。
そして、「溜飲」が下がることによって胸がすっきりするので、不平や不満などが消えて気が晴れることを「溜飲が下がる」と言うようになりました。
「溜飲が下がる」の類語
「溜飲が下がる」の類語・類義語としては、余計なものがなくなることを意味する「すっきりする」、気持ちがすっきりすることを意味する「気が晴れる」、気がかりなことが除かれて安心することを意味する「安堵する」などがあります。
「溜飲を下げる」の意味
「溜飲を下げる」とは
「溜飲を下げる」とは、不平や不満などを解消して気を晴らすことを意味しています。
「溜飲を下げる」の使い方
「溜飲を下げる」を使った分かりやすい例としては、「相手を論破して溜飲を下げる」「自ら誤解を解くことで溜飲を下げることができました」「今までの不満を上司にぶつけることで溜飲を下げる」などがあります。
「溜飲が下がる」は不平や不満などが消えて胸がすっきりすることを意味することわざです。
「溜飲を下げる」は公用文では使えない
「溜飲を下げる」の「溜」という漢字が常用漢字表に載っていないため、公用文や新聞などでは「留飲を下げる」と表現しています。ただし、それ以外の場面では「溜飲を下げる」の方を使うのが一般的です。
「溜飲を晴らす」は誤り
「溜飲を下げる」を使う上で注意しなければならいのは、「溜飲を晴らす」という言い回しを使わないことです。
文化庁が発表した平成29年度に行われた国語に関する世論調査で、本来の意味とされる「溜飲を下げる」で使う人が37.4%、本来の意味ではない「溜飲を晴らす」で使う人が32.9%という結果が出ています。
多くの人が正しい使い方をしていますが、一定数の人は間違った使い方をしています。これを機に、正しい表現を覚えて間違えないようにしましょう。
また、「溜飲を下げる」は自分自身で不平不満を解消した場合に使う言葉です。自分で何もしていないのに胸のモヤモヤがすっきりした場合は、「溜飲が下がる」の方を使うのが適しています。
「溜飲を下げる」の類語
「溜飲を下げる」の類語・類義語としては、心が満ち足りることを意味する「満足する」、胸がすくようで非常に気持ちが良いことを意味する「痛快」、ああ愉快だと思うことを意味する「快哉」(読み方:かいさい)などがあります。
「溜飲が下がる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不平や不満などが消えて気が晴れることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「溜飲が下がる」は何かの拍子で胸のモヤモヤが消えてスッキリした場合に使う言葉です。
「溜飲を下げる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不平や不満などを解消して気を晴らすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「溜飲を下げる」は自分で不満を解消してすっきりさせる場合に使う言葉です。
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」はどちらも気が晴れることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かの拍子で不平不満が消えてすっきりした時に使うのが「溜飲が下がる」、自分で不平不満を解消してすっきりした時に使うのが「溜飲を下げる」と覚えておきましょう。