似た意味を持つ「アンニュイ」と「メランコリック」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「アンニュイ」と「メランコリック」という言葉は、「憂鬱な様子」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
アンニュイとメランコリックの違い
アンニュイとメランコリックの意味の違い
アンニュイとメランコリックの違いを分かりやすく言うと、アンニュイは人物が醸す雰囲気に対して使い、メランコリックは芸術作品が表現する雰囲気に対して使うという違いです。
アンニュイとメランコリックの使い方の違い
一つ目のアンニュイを使った分かりやすい例としては、「アンニュイな少年は人気を集めている」「彼女のアンニュイな感じは魅力の一つだろう」「毎日がこんなにもアンニュイだなんてこと今までにあっただろうか」などがあります。
二つ目のメランコリックを使った分かりやすい例としては、「メランコリックな月曜日だが楽しみにしていることもある」「メランコリックな曲を聞くと眠りにつける」「メランコリックな印象を受ける絵画が頭に残っている」などがあります。
アンニュイとメランコリックの使い分け方
アンニュイとメランコリックはどちらも憂鬱な様子を表す言葉ですが、使い方が若干異なります。
アンニュイは、退屈な様子を意味する言葉ですが、人の表情やファッション、雰囲気などに対して使う場合は神秘的な様子を表し、褒め言葉として使われています。
一方のメランコリックは、憂鬱な様子を意味する言葉ですが、英語ではうつ病状態を表すこともあるため、マイナスのイメージを与えることとなってしまう言葉でもあります。
つまり、アンニュイはその人が醸し出す雰囲気などに対しての褒め言葉として使われることがありますが、メランコリックは人よりも芸術作品に対する言葉として使われることが多いという違いがあります。
アンニュイとメランコリックの英語表記の違い
アンニュイを英語にすると「ennui」となり、例えば上記の「アンニュイな少年」を英語にすると「an ennui boy」となります。
一方、メランコリックを英語にすると「melancholic」となり、例えば上記の「メランコリックな月曜日」を英語にすると「a melancholic Monday」となります。
アンニュイの意味
アンニュイとは
アンニュイとは、倦怠感や心が晴れ晴れとしない状態を意味しています。
その他にも、神秘的な様子や儚げな雰囲気や装いを意味する言葉としても使われています。
表現方法は「アンニュイな感じ」「アンニュイな顔」
「アンニュイな感じ」「アンニュイな顔」などが、アンニュイを使った一般的な言い回しです。
アンニュイの使い方
「何もしない休日は流石にアンニュイを感じた」「アンニュイな日々にだんだん辟易としてきた」「アンニュイさを抱いても自分が選んだ講義に文句は言えない」などの文中で使われているアンニュイは、「退屈や倦怠感」の意味で使われています。
一方、「彼女の所作はアンニュイで絵になる」「アンニュイさを感じるようなファッションに魅力を感じる」「女性はアンニュイな表情のまま窓の外を眺めていた」などの文中で使われているアンニュイは、「神秘的な雰囲気」の意味で使われています。
アンニュイは英語で「ennui」と表記されますが、これはフランス語で「退屈」「不満」を表す言葉です。英語や日本語でも同じように、倦怠や退屈を意味する言葉として使われています。
今日では、表情、髪型やファッション、さらにはその人物が醸し出す雰囲気などに対して使うことで、神秘的な感じや儚げな感じを表すことが多い言葉です。
そのため、褒め言葉として捉えられることが多いですが、上記の通り退屈な様子を意味することもあり、褒め言葉か否か迷う人もいるため使い際には注意が必要です。
アンニュイの対義語
アンニュイの対義語・反対語としては、物事に心を注ぐことを意味する「熱中」、優れた特色もなく当たり前な様子を意味する「平凡」があります。
アンニュイの類語
アンニュイの類語・類義語としては、心配事があって気が晴れないことを意味する「無聊」(読み方;ぶりょう)、不思議な様子や不可解な様子を意味する「ミステリアス」などがあります。
メランコリックの意味
メランコリックとは
メランコリックとは、気分が重苦しい状態を意味しています。
その他にも、芸術作品などに対して使われる場合は、物寂しさや切ない感じを意味します。
表現方法は「メランコリックな気分」「メランコリックな表情」
「メランコリックな気分」「メランコリックな表情」などが、メランコリックを使った一般的な言い回しです。
メランコリックの使い方
「こんなにメランコリックな気分に陥ることもあるのか」「酒を飲むとメランコリックになりがちだ」「メランコリックになりたくてなるわけではない」などの文中で使われているアンニュイは、「憂鬱な気持ち」の意味で使われています。
その他にも、「メランコリックな曲調のせいかしんみりとしてしまった」「彼の色の白さがメランコリックな様相を際立たせている」などの文中で使われているメランコリックは、「切なく物寂しい気持ち」の意味で使われています。
メランコリックは英語で「melancholic」と表記され、名詞である「メランコリー」「メランコリア」を形容動詞として使う言葉です。憂鬱な様子や塞ぎ込んだ状態を表しますが、精神医学ではより重症化したとも言えるうつ病状態も意味します。
16世紀にはデューラーによって霊感に関するものとしてメランコリックな姿が描かれた絵画が残され、17世紀には音楽や劇作品など様々な文化においてメランコリアが表現されていますが、物寂しい雰囲気や登場人物が抱く憂鬱さで表現されています。
メランコリックの対義語
メランコリックの対義語・反対語としては、生き生きとした気分を意味する「活気」、生き生きとして元気のいい様子を意味する「溌剌」(読み方:はつらつ)があります。
メランコリックの類語
メランコリックの類語・類義語としては、気分が晴れ晴れとしないことを意味する「気鬱」、悲しんで心を痛めることを意味する「憂愁」、悲哀や憂愁などに浸る様子を意味する「センチメンタル」などがあります。
アンニュイの例文
この言葉がよく使われる場面としては、倦怠感や心が晴れ晴れとしない状態を意味する時などが挙げられます。
例文3から例文5のように、神秘的な様子を意味する言葉としても使われています。
メランコリックの例文
この言葉がよく使われる場面としては、気分が重苦しい状態を意味する時などが挙げられます。
例文3から例文5のように、物寂しさや切なさを意味する言葉として使われることもあります。
アンニュイとメランコリックは、どちらも「憂鬱な様子」を表します。どちらを使うか迷った場合は、人物が醸す雰囲気に対して使う場合は「アンニュイ」を、芸術作品の雰囲気に対して使う場合は「メランコリック」を使うと覚えておけば間違いありません。