同じ「そうぎょう」という読み方の「操業」と「創業」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「操業」と「創業」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
操業と創業の違い
操業と創業の意味の違い
操業と創業の違いを分かりやすく言うと、操業とは作業すること、創業とは事業を始めることという違いです。
操業と創業の使い方の違い
一つ目の操業を使った分かりやすい例としては、「原材料不足により操業を一時停止しています」「工場の一部操業停止を実施します」「操業度差異の計算方法を教えてください」「違法操業をしていた漁船が摘発されました」などがあります。
二つ目の創業を使った分かりやすい例としては、「1900年創業の老舗菓子メーカーに勤めています」「私の会社は創業して100年以上の歴史があります」「自治体が主催する創業支援セミナーに参加しました」などがあります。
操業と創業の使い分け方
操業と創業という言葉は、どちらも「そうぎょう」と読み、主にビジネスシーンで使われていますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
操業とは、機械などを動かして作業をすることを意味します。主に工場で作業することや、船の上で作業することを表す時に使われる言葉です。例えば、工場などが能力の限界まで機械を動かして製品を生産することを「フル操業」と言います。
創業とは、事業などを新しく始めることを意味します。規模が比較的大きく、歴史がある会社や店に対して使われることが多い言葉です。個人経営の会社や小さな商店などに対して使うことは、ほとんどありません。
つまり、操業は作業することを表し、創業とは事業を始めることを表す言葉です。操業と創業という言葉は、意味が異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことは出来ません。
操業と創業の英語表記の違い
操業を英語にすると「operation」「work」「run」となり、例えば上記の「操業を一時停止する」を英語にすると「suspend operation」となります。
一方、創業を英語にすると「establishment」「initiation」「constitution」となり、例えば上記の「2000年創業」を英語にすると「established in 1900」となります。
操業の意味
操業とは
操業とは、機械などを動かして作業をすること、その作業を意味しています。
表現方法は「操業を開始する」「操業を停止する」「操業を再開する」
「操業を開始する」「操業を停止する」「操業を再開する」などが、操業を使った一般的な言い回しです。
操業の使い方
操業を使った分かりやすい例としては、「やっと操業再開の目途が立った」「なぜ操業度差異が発生するのでしょうか」「操業停止点の求め方は覚えてしまえば簡単です」「あの英語教室は自転車操業に陥っているようだ」などがあります。
その他にも、「操業度100%は生産設備がフル稼働している状態です」「国は問題の鉱山会社に操業停止処分を下した」「操業度差異の求め方がわかりません」「操業停止点と損益分岐点の理屈を解説します」などがあります。
操業とは、作業することを意味し、主に機械などを操作して作業をすることや、船上で作業することを表現する時に使われる言葉です。操業という言葉の「操」は思いどおりに動かすこと、「業」はなすべき事柄や仕事を表します。
「自転車操業」の意味
操業を用いた日本語には「自転車操業」があります。資金の借り入れと返済を繰り返しながら、かろうじて操業を続けるような経営状態のことです。停止すれば倒産することを、走るのをやめれば倒れてしまう自転車にたとえた言葉です。
操業の対義語
操業の対義語・反対語としては、動いていたものが途中で止まることを意味する「停止」、仕事や活動などを一時休むことを意味する「休止」、営業や業務などを休むことを意味する「休業」などがあります。
操業の類語
操業の類語・類義語としては、大きな機械を作動させることを意味する「運転」、機械などをあやつって動かすことを意味する「操作」、航空機や大型機械を動かすことを意味する「操縦」、機械や装置の運動部分が働くことを意味する「作動」などがあります。
創業の意味
創業とは
創業とは、事業を始めること、会社や店を新しく興すことを意味しています。
表現方法は「創業する」「創業100年」「創業者」
「創業する」「創業100年」「創業者」などが、創業を使った一般的な言い回しです。
創業の使い方
創業を使った分かりやすい例としては、「社訓には創業者の想いがつまっています」「個人事業主も受けられる創業補助金があります」「創業と設立の違いを弁護士である友人に尋ねた」「創業融資の利用を検討しています」などがあります。
その他にも、「創業手帳の媒体資料をダウンロードしました」「創業計画書は融資の際に必要な書類です」「創業助成金を利用して企業しました」「私は来春から創業支援等措置の対象となります」などがあります。
創業という言葉の「創」は訓読みで「つくる」と読み、初めて作り出すことや何かを始めることを表します。「業」は仕事のことであり、創業とは、主に営利を目的とした事業を始めることを意味する言葉です。起業とも言います。
ことわざ「創業は易く守成は難し」の意味
創業を用いたことわざには「創業は易く守成は難し」があります。新たに事業を興すよりも、それを衰えさせないように守っていくほうが難しいことを意味する故事成語です。「創業守成」という四字熟語にもなっています。
創業の対義語
創業の対義語・反対語としては、それまでの商売や職業をやめることを意味する「廃業」、創業者のあとを受け継いでその事業を固め守ることを意味する「守成」、企業が経営資金のやりくりがつかなくなって潰れることを意味する「倒産」などがあります。
創業の類語
創業の類語・類義語としては、新しく事業や商売を始めることを意味する「開業」、新しく事業を始めることを意味する「起業」、その日の業務を始めることを意味する「始業」、組織や機関を初めてつくることを意味する「創立」などがあります。
操業の例文
この言葉がよく使われる場面としては、作業をすること、主に機械を動かして作業をしたり、船上で作業をしたりすることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「違法操業」とは、排他的経済水域で許可なく外国船が操業していることであり、主に密漁のことを指す言葉です。
創業の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事業を始めること、会社や店を新しく興すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の「創業者」とは、新しく企業や会社などを創設した人のことです。似た言葉に「創業家」がありますが、こちらは創業者につながる一家や一族を表します。例文5の「創業」と「創立」の違いは、創業は会社や店などに対して限定的に使われ、創立は学校や会社など幅広く使われる点にあります。
操業と創業という言葉は、どちらも「そうぎょう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、作業することを表現したい時は「操業」を、事業を始めることを表現したい時は「創業」を使うようにしましょう。