似た意味を持つ「咎める」(読み方:とがめる)と「責める」(読み方:せめる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「咎める」と「責める」という言葉は、どちらも過失や悪い点などを非難することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「咎める」と「責める」の違い
「咎める」と「責める」の意味の違い
「咎める」と「責める」の違いを分かりやすく言うと、「咎める」は目上の人から目下の人に対して使う表現、「責める」は立場関係なく使える表現という違いです。
「咎める」と「責める」の使い方の違い
一つ目の「咎める」を使った分かりやすい例としては、「先輩から不注意を咎められる」「今になって気が咎める」「あなたを咎めるつもりはありません」「彼女はいつも人を咎めてばかりいる」などがあります。
二つ目の「責める」を使った分かりやすい例としては、「部下の無責任な行為を責める」「失敗したからといって責めるのは良くないだろう」「娘に責められて海辺へ連れていきました」などがあります。
「咎める」と「責める」の使い分け方
「咎める」と「責める」は、どちらも過失や悪い点などを非難することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「咎める」は「最近遅刻が多い部下を咎める」のように、基本的に目上の人から目下の人に使う表現なのに対して、「責める」は「不正を行った先輩を責める」「無責任な行為をした部下を責める」などのように、目上から目下、目下から目上など立場関係なく使えるというのが違いになります。
また、「責める」は単純に非難するだけではなく、反省を促すというニュアンスを持っているのも違いの一つです。
「咎める」と「責める」の英語表記の違い
「咎める」を英語にすると「blame」「censure」「find fault」「reproach」「rebuke」となり、例えば上記の「彼女はいつも人を咎めてばかりいる」を英語にすると「She is always finding fault with people」となります。
一方、「責める」を英語にすると「reproach」「blame」「scold」「urge」「pester」「torture」となり、例えば上記の「娘に責められて海辺へ連れていきました」を英語にすると「My daughter pestered me into taking her to the seashore」となります。
「咎める」の意味
「咎める」とは
「咎める」とは、過ちや欠点などを取り上げて非難することを意味しています。その他にも、悪いことをしたと心を痛めること、傷や腫れ物をいじって悪くすること、怪しんで問いただすことの意味も持っています。
表現方法は「自分を咎める」「良心が咎める」「気が咎める」
「自分を咎める」「良心が咎める」「気が咎める」などが、「咎める」を使った一般的な言い回しになります。
「咎める」の使い方
「仕事で重大なミスを犯したので上司から咎められる」「良心が咎めたのできちんと謝りにいこうと思います」などの文中で使われている「咎める」は、「過ちや欠点などを取り上げて非難することや悪いことをしたと心を痛めること」の意味で使われています。
一方、「ニキビを触っていると咎めるので気をつけよう」「夜道を一人で歩いていたら警官に咎められました」などの文中で使われている「咎める」は、「傷や腫れ物をいじって悪くすることや怪しんで問いただすこと」の意味で使われています。
「咎める」は複数の意味を持つ言葉ですが、最も使われているのは過ちや欠点などを取り上げて非難することの意味になります。
「咎める」を過ちや欠点などを取り上げて非難することの意味で使う場合、「上司から咎められる」「後輩を咎める」「息子を咎める」などのように、目上の人から目下の人に対して使うというのが特徴です。そのため、目下の人から目上の人に対しては使わないと覚えておきましょう。
また、悪いことをしたと心を痛めることの意味で使う場合は、「良心が咎める」や「気が咎める」などの言い回しで使うことが多いです。
「咎める」の類語
「咎める」の類語・類義語としては、どこまでも追いつめて責任た欠点などを問いただすことを意味する「追求する」、人の欠点や過失などを取り上げて責めることを意味する「非難する」、罪や責任を問いただし非難することを意味する「糾弾する」などがあります。
「責める」の意味
「責める」とは
「責める」とは、過失や怠慢などを取り上げて非難することを意味しています。その他にも、厳しく催促すること、苦痛を与えていじめること、目的を果たすために積極的な働きかけをすることの意味も持っています。
表現方法は「相手を責める」「自分を責める」「責めるような言い方」
「相手を責める」「自分を責める」「責めるような言い方」「人を責める」などが、「責める」を使った一般的な言い回しになります。
「責める」の使い方
「後輩の身勝手な行動を責める」「早く返答しろと電話先の人を責める」などの文中で使われている「責める」は、「過失や怠慢などを取り上げて非難することや厳しく催促すること」の意味で使われています。
一方、「暴力で責めて白状を強いる」「甘える戦術で相手を責める」などの文中で使われている「責める」は、「苦痛を与えていじめることや目的を果たすために積極的な働きかけをすること」の意味で使われています。
「責める」は複数の意味を持つ言葉ですが、過失や怠慢などを取り上げて非難することの意味になります。
「責める」を過失や怠慢などを取り上げて非難することの意味の場合、「不正行為を行った上司を責める」「怠慢な部下を責める」などのように、目上から目下、目下から目上など、立場関係なく使うことができるというのが特徴です。
また、ただ非難するのではなく、強く反省を促すというニュアンスを持っています。
「責める」は他人だけはなく、自分を責める場合にも使うことが可能です。
「責める」の類語
「責める」の類語・類義語としては、相手を問いつめて責めることを意味する「詰る」、大勢一人または少人数の者をきびしく問い詰めて責め立てることを意味する「吊し上げる」、 叱ったり責めたてたりすることを意味する「苛む」などがあります。
「咎める」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過ちや欠点などを取り上げて非難することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、悪いことをしたと心を痛めること、傷や腫れ物をいじって悪くすること、怪しんで問いただすことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「咎める」は過ちや欠点などを取り上げて非難すること、例文3の「咎める」は悪いことをしたと心を痛めること、例文4の「咎める」は傷や腫れ物をいじって悪くすること、例文5の「咎める」は怪しんで問いただすことの意味で使っています。
「責める」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、過失や怠慢などを取り上げて非難することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、厳しく催促すること、苦痛を与えていじめること、目的を果たすために積極的な働きかけをすることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「責める」は過失や怠慢などを取り上げて非難すること、例文3の「責める」は厳しく催促すること、例文4の「責める」は苦痛を与えていじめること、例文5の「責める」は目的を果たすために積極的な働きかけをすることの意味で使っています。
「咎める」と「責める」はどちらも過失や悪い点などを非難することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人から目下に対して使のが「咎める」、立場関係なく使うことができるのが「責める」と覚えておきましょう。