似た意味を持つ「生前」(読み方:せいぜん)と「生前中」(読み方:せいぜんちゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「生前」と「生前中」という言葉は、どちらも「故人が生きていた時」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
生前と生前中の違い
生前と生前中の意味の違い
生前と生前中の違いを分かりやすく言うと、生前とは辞書に掲載されている正しい表現、生前中とは辞書に掲載されていない正しくない表現という違いです。
生前と生前中の使い方の違い
一つ目の生前を使った分かりやすい例としては、「生前贈与は相続税の節税対策で行われます」「20代で生前葬は早すぎるだろう」「生前の父は塾で英語を教えていました」「生前は父が大変お世話になりました」などがあります。
二つ目の生前中を使った分かりやすい例としては、「生前中に戒名を頂くことは可能でしょうか」「親族同士が争わないように生前中に遺書を残した」「生前中のご厚誼に深く感謝申し上げます」などがあります。
生前と生前中の使い分け方
生前と生前中という言葉は、どちらも「亡くなった人が生きていた時、存命中」を意味します。そのため、二つの言葉は、互いに言い換えて使っても意味は変わりません。上記例文にある「生前の父は」「生前中のご厚誼」の生前と生前中は、互いに置き換えることができます。
ただし、生前は辞書に載っている正しい日本語ですが、生前中は辞書に掲載されていない表現です。改まった場面や文章などでは、辞書に掲載されている「生前」を使った方がよいでしょう。
生前と生前中の英語表記の違い
生前も生前中も英語にすると「lifetime」「during one’s lifetime」「before one’s death」となり、例えば上記の「生前贈与」を英語にすると「gift before death」となります。
生前の意味
生前とは
生前とは、その人が生きていたとき、死ぬ前、在世中を意味しています。
生前の読み方
生前の読み方は「せいぜん」の他に「しょうぜん」「そうぜん」がありますが、一般的には「せいぜん」と読まれています。また、「しょうぜん」と読む場合は「生まれる以前」の意味も持ちます。
生前の使い方
生前を使った分かりやすい例としては、「生前はお世話になりました 」「皇室典範を改正して生前退位を制度化する」「生前墓を購入するメリットとデメリットを整理する」「生前お世話になった病院へのお礼は何がいいですか」などがあります。
その他にも、「生前葬の費用はいくらぐらいが相場ですか」「生前整理のやることリストを作成する」「相続税における生前贈与の加算対象が変わります」「不動産を生前贈与をする際の注意点を教えてください」などがあります。
生前とは、死後に対して「生きている間、死ぬ前」を意味する言葉です。生前は「生まれる前」と書くために意味がおかしいと感じられますが、一説によれば「仏として生まれる前」という仏教の考え方が由来となっています。
「生前贈与」の意味
生前を用いた日本語には「生前贈与」があります。生前贈与とは、生きているうちに配偶者や子などに財産を贈与することを意味します。生前贈与を活用すれば、特定の人に確実に財産を移転することが可能で、現預金や有価証券であれば非課税枠で長期にわたって贈与することもできます。
生前の対義語
生前の対義語・反対語としては、死んだあとを意味する「死後」などがあります。
生前の類語
生前の類語・類義語としては、死ぬ前や生前を意味する「没前」、この世に生きていることを意味する「存命」、生活することや生存を意味する「生息」、世に生きていることを意味する「在世」などがあります。
生前中の意味
生前中とは
生前中とは、仏になる前、在世中を意味しています。
生前中の読み方
生前中の読み方は「せいぜんちゅう」です。誤って「せいぜんなか」「せいまえちゅう」などと読まないようにしましょう。
生前中の使い方
生前中を使った分かりやすい例としては、「生前中は大変お世話になりました」「ご生前中のご功績を偲び、ご冥福をお祈り申し上げます」「ご生前中は何かとお世話になりました」「生前中に賜りましたご厚情に深謝いたします」などがあります。
その他にも、「贈与税は生前中に財産を渡す際にかかる税金です」「彼の作品は生前中に公表されなかった」「生前中の遺留分放棄を検討しています」「生前中に賜りましたご厚情に心から御礼申し上げます」などがあります。
生前中とは、辞書に掲載されていない表現ですが、前述の「生前」と同じ意味で使用されている言葉です。「故人が生きていた時」を意味し、「生前中は大変お世話になりました」のような使い方で、葬儀の挨拶でよく用いられています。
生前中の語源
生前中という言葉の語源は仏教に由来します。仏教には「往生浄土」という考えがあり、亡き人は仏や菩薩の住む世界に生まれ変わるとされています。この浄土に生まれ変わる前が、人として生きている間の存命中であり、それを「生前」あるいは「生前中」と言うようになりました。
生前中の対義語
生前中の対義語・反対語としては、人が死んでからのちを意味する「没後」などがあります。
生前中の類語
生前中の類語・類義語としては、生まれて以後を意味する「生後」、生きてこの世にいることや生命を存続することを意味する「存命」、この世に生きていることを意味する「存生」、元気で無事に暮らしていることを意味する「健在」などがあります。
生前の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、故人が生きていた時を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「生前葬」とは、本人が亡くなった後ではなく、存命中に本人が喪主となって行うお葬式を意味します。多くは、お世話になった人への感謝の気持ちを示すために行われます。
生前中の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、故人が生きていた間を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、生前中という言葉は、生前という言葉に置き換えても意味は変わりません。
生前と生前中という言葉は、どちらも「故人が生きていた時」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、辞書に掲載されている正しい日本語の「生前」を使えば間違いないでしょう。