似た意味を持つ「良心」(読み方:りょうしん)と「道徳心」(読み方:どうとくしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「良心」と「道徳心」という言葉は、どちらも「善悪を判断し、善を行おうとする心」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
良心と道徳心の違い
良心と道徳心の意味の違い
良心と道徳心の違いを分かりやすく言うと、良心とは自分の価値観によって善悪を判断することを表し、道徳心とは社会的ルールによって善悪を判断することを表すという違いです。
良心と道徳心の使い方の違い
一つ目の良心を使った分かりやすい例としては、「良心の呵責に苛まれる様子は微塵もないようだ」「適正価格で良心的なリフォーム業者でした」「食べ物を粗末にして良心が痛まないのか」「良心に従って行動する」などがあります。
二つ目の道徳心を使った分かりやすい例としては、「道徳心を高める心の教育を推進する」「道徳心をもつことは大切です」「彼は道徳心に欠ける行為が多いようです」「道徳心を養うには日常の躾が肝心です」などがあります。
良心と道徳心の使い分け方
良心と道徳心という言葉は、どちらも物事の善悪や正邪を判断し、正しく行動しようとする心の働きを意味し、ほぼ同義であるため使い分けが難しい言葉です。
あえて違いを挙げるならば、善悪の判断基準の違いです。良心とは、自分の価値判断によって良い事と悪い事を判断し、自分自身の行動を正そうとする心の働きを表す傾向があります。一方の道徳心とは、社会的なルールに則って善悪を判断し、よい行いをしようとする心を表すことが多い言葉です。
したがって、身の回りの個人的な問題に対して正しい行動をとろうとすることは「良心」、集団生活上あるいは社会的な問題に対して正しい行動をとろうとすることは「道徳心」と使い分けると良いでしょう。
良心と道徳心の英語表記の違い
良心を英語にすると「conscience」「scruples」となり、例えば上記の「良心の呵責」を英語にすると「twinges of conscience」となります。
一方、道徳心を英語にすると「moral sense」「moral sentiment」となり、例えば上記の「道徳心を高める」を英語にすると「enhancing moral sense」となります。
良心の意味
良心とは
良心とは、善悪・正邪を判断し、正しく行動しようとする心の働きを意味しています。
表現方法は「良心が痛む」「良心に従う」「良心がある人」
「良心が痛む」「良心に従う」「良心がある人」などが、良心を使った一般的な言い回しです。
良心の使い方
良心を使った分かりやすい例としては、「イジメを見て見ぬふりをして良心の呵責に苛まれる」「良心の呵責に苦しむのは自業自得だろう」「日本国憲法は良心の自由について規定しています」などがあります。
その他にも、「この英語教室は良心的な価格設定となっています」「嘘をついて良心が痛む」「どんな状況でも良心に従うべきです」「良心的兵役拒否を認められている国があります」「万引きを見逃すなんて良心が許さない」などがあります。
良心とは、物事の是非や善悪を判断し、状況や利害に左右されずに善いと信じるところに従って行動しようとする気持ちです。良心について、古代中国の儒学者である孟子は人間が生まれながらにして持っている心としましたが、後天的な教育によって育つものとする説もあります。
「良心的兵役拒否」の意味
上記の例文にある「良心的兵役拒否」とは、自己の信条に従って兵役につくのを拒否することを意味します。多くは宗教的信条に基づきますが、近年は政治的あるいは思想的信条に基づく場合もあります。
「思想および良心の自由」の意味
良心を用いた日本語には「思想および良心の自由」があります。これは憲法19条に出てくるフレーズであり、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と明記されています。内心の自由であり、人の精神活動の自由の基礎をなすものです。
良心の対義語
良心の対義語・反対語としては、恨みを抱き悪事をしようとする邪心を意味する「悪心」、誠意のないことを意味する「不誠実」などがあります。
良心の類語
良心の類語・類義語としては、良心に恥じない心を意味する「善心」、私利私欲を離れて正直に熱心に事にあたる心を意味する「誠意」、偽りや飾りのない心を意味する「真心」、心を正しくすることや正しい心を意味する「正心」、人の道にかなっていて正しいことを意味する「正義」などがあります。
道徳心の意味
道徳心とは
道徳心とは、道徳を守る心、善悪を判断し善を行おうとする心を意味しています。
表現方法は「道徳心に欠ける」「道徳心がない」「道徳心の欠如」
「道徳心に欠ける」「道徳心がない」「道徳心の欠如」などが、道徳心を使った一般的な言い回しです。
道徳心の使い方
道徳心を使った分かりやすい例としては、「子どもの道徳心を育てる」「道徳心と倫理観は社会生活に必要なものです」「道徳心理学と実践哲学を比較する」「近年、道徳心の欠如が問題になっています」などがあります。
その他にも、「道徳心のある人は正しい行動をとります」「道徳心がない人は尊敬に値しない」「道徳心の持ち主か診断する心理テストがあります」「道徳心を育てる英語の絵本をプレゼントしました」などがあります。
道徳心の「道徳」は、人々が善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わねばならない規範を表します。道徳心とは、 道徳を守り行為しようとする心の働きを意味し、善悪や正邪を判断して、善や正に従って行為しようとする心を表します。
道徳心の言い換え語
道徳心という言葉は、「道徳感覚」あるいは英語で「モラル」とも言い換えられ、道徳的な善悪を識別する能力を指します。生まれながらに備えられた心的機能であるという説がある一方、経験的に習得されるものだという考えもあります。
道徳心の対義語
道徳心の対義語・反対語としては、道徳に背くことを意味する「背徳」、不道徳なさまや背徳的を意味する「インモラル」などがあります。
道徳心の類語
道徳心の類語・類義語としては、道義を大切にする心を意味する「道義心」、徳義を重んじる心を意味する「徳義心」、人間として守るべきことへの考え方を意味する「倫理観」、道徳や倫理を意味する「モラル」などがあります。
良心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、善悪をわきまえて区別し、正しく行動しようとする心の働きを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「良心に従う」の意味は、正しいことと悪いことを判断し、正しい行動をとろうすることです。例文3の「良心的」とは、良心に従って誠実に事を行うさまを意味し、模範的な行動を表します。
道徳心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、道徳を守って行動しようとする心の働きを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように道徳心の慣用的な言い回しには 「道徳心を養う」「道徳心の欠如」「道徳心が高い」「道徳心がない」などがあります。
良心と道徳心という言葉は、どちらも「善悪を判断し、善を行おうとする心」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分の価値観によって善悪を判断することを表現したい時は「良心」を、社会的ルールによって善悪を判断することを表現したい時は「道徳心」を使うようにしましょう。