似た意味を持つ「下名」(読み方:かめい)と「小職」(読み方:しょうしょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「下名」と「小職」という言葉は、どちらも「自分をへりくだっていう語」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
下名と小職の違い
下名と小職の意味の違い
下名と小職の違いを分かりやすく言うと、下名とは職業や役職に関係なく使用できる謙譲語、小職とは官職や管理職クラスが使用できる謙譲語という違いです。
下名と小職の使い方の違い
一つ目の下名を使った分かりやすい例としては、「ご用の節は下名までお申し付けください」「何かありましたら下名にお知らせください」「本件につきましては下名が担当いたします」「下名の全権委員は、この共同宣言に署名した」などがあります。
二つ目の小職を使った分かりやすい例としては、「ご不明な点がございましたら小職までご連絡ください」「小職宛てに返信をお願いいたします」「平社員なら小職ではなく小生と言うべきです」などがあります。
下名と小職の使い分け方
下名と小職という言葉は、どちらも自分をへりくだって「私」を意味する言葉であり、主にビジネスシーンで使用されています。二つの言葉は同じような表現をしますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
下名とは、「私」を意味する謙譲語です。職業や役職に関係なく使用できる言葉であり、相手に対して自分を下に位置付けたい場合や、謙遜していう際に使用されています。また、「下名の全権委員」「下名の者」のような使い方で、以下に記した氏名やその人を「下名」と表現することがあります。
小職とは、もともと「地位の低い官職」を意味する言葉であり、官職についている人が自分をへりくだっていう語です。現在では民間企業の社員も使用しており、特に役職付きの管理職クラスの人が、自分をへりくだって表現するときに使われています。
つまり、下名と小職の違いは、使用する人の属性にあります。下名は職業や役職に関係なく使えますが、小職は官職や管理職クラスの人が使用できる言葉なのです。
下名と小職の英語表記の違い
下名を英語にすると「the undersigned」「undermentioned」「I」となり、例えば上記の「下名までお申し付けください」を英語にすると「please say so to the undermentioned」となります。
一方、小職を英語にすると「humble government servant」「lowly government servant」「I」となり、例えば上記の「小職までご連絡ください」を英語にすると「Please contact me」となります。
下名の意味
下名とは
下名とは、以下に記した氏名、その者を意味しています。
その他にも「一人称の人代名詞、自分をへりくだっていう語」の意味も持っています。
下名の読み方
下名の読み方は「かめい」です。誤って「げめい」「しもな」などと読まないようにしましょう。
下名の使い方
「下名の者は学生部就職課まで至急連絡してください」「下名の者は適正であることを証明します」「以上の証拠として下名の全権委員はこの協定に署名した」などの文中で使われている下名は、「以下に記した氏名」の意味で使われています。
一方、「ご都合を下名までお知らせください」「ビジネスメールでは自分のことを下名と表記しています」「三菱グループでは下名をよく使う」「女性は下名をあまり使わないと思います」などの文中で使われている下名は、「自分をへりくだっていう語」の意味で使われています。
下名とは二つの意味を持つ言葉であり、一つは「以下に記した名前や、その人」という意味です。複数人の名前を挙げる場合に使用されることが多くあります。もう一つは、自分をへりくだって「私」を意味します。相手に対して自分を下に位置付けたい場合や、謙遜していう際に使用されています。
一人称としての下名は、ビジネスの場で男性でも女性でも使用できる言葉です。しかし、堅苦しい印象を与えるため、ほどんどの会社ではあまり使用されていません。また、ビジネスメールでも使用できますが、内容がかしこまったものではない場合には「下名」という表現は相応しくないでしょう。
「下名を拝する」は誤り
下名を用いた誤った表現には「下名を拝する」があります。正しくは「下命を拝する」であり、立場が上の人から下の人へ下された命令を、 かしこまって謹んで受けることです。
下名の対義語
下名の対義語・反対語としては、相手方を意味する「先方」、目上の相手に対して尊敬の気持ちを含めて用いた語を意味する「貴様」、目上の相手への敬称を意味する「貴殿」などがあります。
下名の類語
下名の類語・類義語としては、男性が自分をへりくだっていう語を意味する「小生」、男子が自分をへりくだっていう語を意味する「拙生」、自分のことをへりくだっていう「私め」、自分をへりくだっていう語を意味する「不肖」などがあります。
小職の意味
小職とは
小職とは、地位の低い官職を意味しています。
その他にも「官職についている人が自分をへりくだっていう語」の意味も持っています。
小職の読み方
小職の読み方は「しょうしょく」です。小職は「こじょく」と読むこともできますが、「こじょく」と読む場合、「江戸時代、町芸者のもとで見習いをした女児」という別の意味になるので注意しましょう。
小職の使い方
「小職から大官に出世しました」「小職ですが、やりがいを感じています」「スキャンダルで小職に左遷された」などの文中で使われている小職は、「地位の低い官職」の意味で使われています。
一方、「小職はビジネスマナーを勉強中です」「平社員の場合は小職ではなく私を使おう」「小職は女性の一人称としての使い方もあります」「小職を連発されるとうざい」などの文中で使われている小職は、「官職についている人が自分をへりくだっていう語」の意味で使われています。
小職とは、もともと「地位の低い官職」を意味する言葉でしたが、転じて「官職についている人が自分をへりくだっていう語」の意味で使用されるようになっています。また、地位の高い人が、自分よりも下の地位にある人に対する一人称としても用いられています。
小職という言葉は、本来であれば官職を表しますが、現在では民間企業の社員でも使用しています。男女の性別に関係なく使用できる言葉ですが、ある程度の役職が付いている人が自分を謙遜した表現なので、役職についていない平社員が使うことは控えた方がよいでしょう。
小職の対義語
小職の対義語・反対語としては、高い位の官職や二人称の人代名詞を意味する「貴職」、位の高い官職を意味する「大官」、上級の官職を意味する「上官」などがあります。
小職の類語
小職の類語・類義語としては、官吏が自分を謙遜していう語を意味する「小官」、地位の低い役人を意味する「属吏」、下級の役人を意味する「下役」、地位の低い役人を意味する「小役人」などがあります。
下名の例文
この言葉がよく使われる場面としては、以下または文書の末に記した氏名、自己をへりくだっていう語を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある下名は、「以下または文書の末に記した氏名」の意味で用いられています。例文2から例文5の下名は、「自己をへりくだっていう語」の意味で用いられています。
小職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、低い官職、官職についている人が自分をへりくだっていう語を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある小職は、「低い官職」の意味で用いられています。例文2から例文5にある小職は、「自分をへりくだっていう語」の意味で用いられています。本来は官職についている人の一人称ですが、昨今は一般企業の人も使用しています。
下名と小職という言葉は、どちらも「自分をへりくだっていう語」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、職業や役職に関係なく自分を表現したい時は「下名」を、官職につく人や管理職クラスの人が自分を表現したい時は「小職」を使うようにしましょう。