似た意味を持つ「経歴」(読み方:けいれき)と「略歴」(読み方:りゃくれき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「経歴」と「略歴」という言葉は、どちらも「学歴や職歴などをまとめたもの」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
経歴と略歴の違い
経歴と略歴の違いを分かりやすく言うと、経歴とは学歴や職歴を詳細にまとめたもの、略歴とは学歴や職歴を簡潔にまとめたものという違いです。
一つ目の経歴を使った分かりやすい例としては、「彼は変化に富んだ経歴を持っている」「職務経歴書の書き方を教えてもらう」「学位留学の経歴を偽っていた」「卒業という経歴は嘘であり実態は除籍でした」などがあります。
二つ目の略歴を使った分かりやすい例としては、「気に入った本の著者の略歴をチェックする」「受賞者の略歴を紹介します」「略歴の書き方が分かりません」「市長は略歴確認の厳格化を発表しました」などがあります。
経歴と略歴という言葉は、どちらも就職活動や転職活動などのシーンでよく使用されていますが、意味や使い方には違いがあります。
経歴とは、その人が歩んできた道のりや経験を意味します。「経歴書」とは、学歴や職歴を入学卒日や入退社日などを含めてすべて詳細に記載したものです。これまでの人生における学業や仕事あるいは活動の詳しい記録とも言えます。
略歴とは、おおまかな経歴であり、経歴を要約したものです。「略歴書」とは、学歴や職歴の概要を簡潔にまとめて記載したものであり、特筆すべき実績や資格を中心に構成します。職務経歴書の冒頭や人物紹介など限られたスペースで使用されています。
つまり、経歴とは詳細な学歴や職歴であり、略歴とは簡潔な学歴や職歴を意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
経歴を英語にすると「career」「background」「personal history」となり、例えば上記の「変化に富んだ経歴」を英語にすると「a jumpy background」となります。
一方、略歴を英語にすると「brief history」「historical sketch」「biographical note」となり、例えば上記の「a sketch of the author’s life」を英語にすると「著者の略歴」となります。
経歴の意味
経歴とは、今まで経験してきた仕事・身分・地位・学業などの事柄を意味しています。
その他にも、「実際に見聞きしたり体験したりすること」「年月を経ること、年月の過ぎ去ること」の意味も持っています。
「職務経歴書の見本はありますか」「転職の経歴を採用担当者にアピールする」「市会議員に経歴詐称疑惑が浮上している」などの文中で使われている経歴は、「今まで経験してきた仕事や地位などの事柄」の意味で使われています。
一方、「これまでの経歴を活かして地域に貢献したい」の文中で使われている経歴は「実際に見聞きしたり体験したりすること」の意味で、「経歴は早いので日々を大切にしよう」の文中で使われている経歴は「年月を経ること、年月の過ぎ去ること」の意味で使われています。
経歴とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「今まで経験してきた仕事・身分・地位・学業などの事柄」の意味で使用されています。経歴の「経」は通過することや日が過ぎること、「歴」は経てきた跡を表す漢字です。
経歴を用いた日本語には「経歴詐称」(読み方:けいれきさしょう)があります。経歴詐称とは、学歴や職歴、あるいは犯罪歴などの経歴を隠したり、虚偽の申告をしたりすることです。経歴詐称は基本的に犯罪となりませんが、企業の人事管理では就業規則に基づいて懲戒解雇される場合があります。
経歴の対義語・反対語としては、行き先や将来を意味する「前途」などがあります。
経歴の類語・類義語としては、その人が経てきた学業や職業などを意味する「履歴」、学業に関する経歴を意味する「学歴」、それまで就いてきた職業についての経歴を意味する「職歴」、職業や技能上の経験を意味する「キャリア」などがあります。
略歴の意味
略歴とは、おおまかな経歴、また、それを記したものを意味しています。
略歴を使った分かりやすい例としては、「あなたの略歴を簡単に教えてください」「略歴の内容を先生にチェックしてもらう」「略歴書と誓約書を提出しました」「略歴書の書き方を大学生向けに解説いたします」などがあります。
その他にも、「職務経歴書の冒頭に略歴を記入する」「教授の略歴を改めて確認しました」「略歴書の書き方を教えてください」「略歴書のひな形をダウンロードする」「古物商の略歴書のフォーマットを探しています」などがあります。
略歴の読み方は「りゃくれき」です。誤って「りゃくれっき」などと読まないようにしましょう。
略歴の「略」は訓読みで「ほぼ」と読み、全部というわけではないが、それに近い状態にあることを表します。略歴とは、だいたいの経歴を意味し、これまでの学歴や職歴を簡潔にまとめたものを指す言葉です。
略歴を用いた日本語には「略歴書」があります。略歴書とは、経歴を簡潔にまとめた書類を意味します。古物商許可申請には略歴書を提出する必要があり、通常は申請日または作成日から遡って最近5年間の経歴を記載します。
略歴の対義語・反対語としては、人生などを見渡すことを意味する「展望」などがあります。
略歴の類語・類義語としては、今までの経歴を意味する「前歴」、患者の既往症や現在の病気の経過などの状況を意味する「病歴」、成人するまでの過程や経歴を意味する「生い立ち」などがあります。
経歴の例文
この言葉がよく使われる場面としては今までに経験して来た学業や仕事などの事柄、実際に見聞し試みること、歳月が過ぎることを表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4にある「職務経歴書」とは、これまで自身が経験してきた職務の内容を自由様式で詳しく記載する書類です。自己PRや持っている資格なども記入することが普通です。
略歴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、簡単な経歴、だいたいの履歴を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、略歴という言葉は、就職活動や古物商許可申請の場面で使用されることが多くあります。
経歴と略歴という言葉は、どちらも「学歴や職歴などをまとめたもの」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、学歴や職歴を詳細にまとめたもの表現したい時は「経歴」を、学歴や職歴を簡潔にまとめたものを表現したい時は「略歴」を使うようにしましょう。