似た意味を持つ「免責」(読み方:めんせき)と「免除」(読み方:めんじょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「免責」と「免除」という言葉は、どちらも「ある事柄から免れること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
免責と免除の違い
免責と免除の意味の違い
免責と免除の違いを分かりやすく言うと、免責とは責任を問われないことを表し、免除とは義務を果たさなくてもよいことを表すという違いです。
免責と免除の使い方の違い
一つ目の免責を使った分かりやすい例としては、「保険の免責事由についてご説明します」「免責特権の問題点は何ですか」「刑事免責制度が初めて適用されました」「自己破産をして免責許可決定を受ける」などがあります。
二つ目の免除を使った分かりやすい例としては、「今月は入会金免除のキャンペーンを実施中です」「その責任の全部を免除する」「育児期間中の保険料免除を導入します」「債務免除益には法人税等が課税されます」などがあります。
免責と免除の使い分け方
免責と免除という言葉は、どちらも好ましくない事柄などから免れることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
免責とは、責任を問われることから免れることを意味します。「刑事免責」とは、裁判の証人に、その証言を不利益な証拠として扱わないことを約束することです。また、「自己破産をして免責許可を受ける」のような使い方で、債務者が債務を免れることを意味する言葉です。
免除とは、「入会金免除」のような使い方で、一般的に義務や役務などを免ずることの意味で使用されています。民法上では、債権者が債務者に対する意思表示により債務を消滅させることを意味し、「債務免除益」とは、債権放棄がなされた場合に債務者が免除される利益のことです。
つまり、免責とは責任を問われるのを免れることであり、免除とは義務を果たさなくてもよいと許可されることです。二つの言葉はとても似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
免責と免除の英語表記の違い
免責を英語にすると「disclaimer」「immunity」「exemption from responsibility」となり、例えば上記の「免責事由」を英語にすると「immunity reason」となります。
一方、免除を英語にすると「exemption」「acquittal」「release」となり、例えば上記の「入会金免除」を英語にすると「exemption of the entrance fee」となります。
免責の意味
免責とは
免責とは、責任を免じること、責任を問われるのを免れることを意味しています。
その他にも、「債務者が債務を免れること」の意味も持っています。
免責の読み方
免責の読み方は「めんせき」です。同じ読み方をする熟語に「面責」や「面積」がありますが、意味が異なるので書き間違いには注意してください。
表現方法は「免責金額」「免責事項」
「免責金額」「免責事項」などが、免責を使った一般的な言い回しです。
免責の使い方
「過ちを問われず免責された」「レンタカーの免責補償に入るべきだろうか」「免責事項は約款上に規定されています」「刑事免責は対象犯罪に制限がありません」などの文中で使われている免責は、「責任を免じること」の意味で使われています。
一方、「レンタカーには免責金額が設定されていました」「免責的債務引受のデメリットは何ですか」「ギャンブルによる借金は免責不許可事由になります」などの文中で使われている免責は、「債務者が債務を免れること」の意味で使われています。
免責の「免」は訓読みで「まぬがれる」と読み、好ましくない事柄や責任などを被らずに済むこと、「責」は果たさなければ負い目となる事柄を表します。免責とは、責任を免じることや責任を問われるのを免れること、あるいは債務者が債務を免れることを意味する言葉。
「免責事由」の意味
免責を用いた日本語には、「免責事由」があります。免責事由とは、保険会社が保険金や給付金を支払わなければならない責任から免れる場合の理由や原因を意味します。例えば、契約時の虚偽の告知、飲酒運転による交通事故などが挙げられます。
免責の対義語
免責の対義語・反対語としては、どこまでも追いつめて責任などを問いただすことを意味する「追及」などがあります。
免責の類語
免責の類語・類義語としては、罪をゆるすことを意味する「免罪」、有罪か無罪かの判断をせずに訴訟を打ち切る判決を意味する「免訴」、行政権によって公訴権を消滅させることを意味する「恩赦」などがあります。
免除の意味
免除とは
免除とは、義務や役目などを免じることを意味しています。
その他にも、「民法上、債権者が債務者に対する意思表示によって債務を消滅させること、債務免除」
表現方法は「免除申請」「免除する」「免除を受ける」
「免除申請」「免除する」「免除を受ける」などが、免除を使った一般的な言い回しです。
免除の使い方
「授業料の全額を免除する」「国民年金保険料の免除について問い合わせる」「税理士試験の科目免除制度を確認する」などの文中で使われている免除は、「義務や役目などを免じること」の意味で使われています。
一方、「修学資金の返還債務を免除する」「金融機関が貸付金の返済などを免除する」「修学金の返還免除益が給与所得として課税される」などの文中で使われている免除は、「債務免除」の意味で使われています。
免除の「除」は訓読みで「のぞく」と読み、取り去ることを表す漢字です。見逃してやることを表す「免」と組み合わさり、免除とは義務を果たさなくてもよいと許すことを意味します。また、民法では、債権者が債務者に対する意思表示によって債務を消滅させることを意味する言葉です。
「保険料払込免除」の意味
免除を用いた日本語には「保険料払込免除」があります。保険料払込免除とは、保険期間の中途で保険契約者が保険料負担能力を失った場合に、以降の保険料の払込を免除することです。
免除の対義語
免除の対義語・反対語としては、法律や規則などを事例にあてはめて用いることを意味する「適用」などがあります。
免除の類語
免除の類語・類義語としては、許して負担や義務などを除くことを意味する「免ずる」、租税や刑罰などを軽くしたり免除したりすることを意味する「減免」、罪や過ちを許すことを意味する「赦免」などがあります。
免責の例文
この言葉がよく使われる場面としては、責任を免ずること、債務の全部または一部が消滅し債務者として法律上の義務を免れることを表現したい時などが挙げられます。
例文3から例文5にある「免責金額」とは、補償の対象となる事故が起きた際に、被保険者が自己負担しなければならない金額のことです。保険会社は、事故による損害の額から免責金額を差引いて保険金を支払います。
免除の例文
この言葉がよく使われる場面としては、義務や役務などを免ずること、債権者が債務者に対する意思表示により債務を消滅させることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「国民年金の免除申請」とは、所得が少ないなどの理由で国民年金保険料の納付が困難な場合に申請し、日本年金機構で所得による審査を経て承認されることにより、保険料の納付が全額または一部を免除する制度です
免責と免除という言葉は、どちらも「ある事柄から免れること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、責任を問われないことを表現したい時は「免責」を、義務を果たさなくてもよいと許すことを表現したい時は「免除」を使うようにしましょう。