似た意味を持つ「先約」(読み方:せんやく)と「予定」(読み方:よてい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「先約」と「予定」という言葉は、どちらも「用事があること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
先約と予定の違い
先約と予定の意味の違い
先約と予定の違いを分かりやすく言うと、先約とは他の人との約束があることを表し、予定とは前もって決めた用事があることを表すという違いです。
先約と予定の使い方の違い
一つ目の先約を使った分かりやすい例としては、「せっかくですが先約があり参加できません」「その日は先約があるので欠席でお願いします」「先約を優先しない人は信用できません」「忙しくて先約を実行できずにいます」などがあります。
二つ目の予定を使った分かりやすい例としては、「予定通りにいかないとイライラします」「出産予定日の計算方法を教えてください」「受験が終わったら韓国語を習う予定です」「所得税の予定納税額の通知書が届きました」などがあります。
先約と予定の使い分け方
先約と予定という言葉は、どちらも誰かに誘われて断る際に用いられ、すでに用事があることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
先約とは、かねてからの約束を意味し、多くは、ある約束をしようと申し込まれた時に、それより先にしてあった約束の意味で使用されている言葉です。「先約があって参加できません」は、他の誰かとの約束がすでに存在していることを表します。
予定とは、行事や行動なとについて前もって決めておくこと、計画してある行動などを意味します。誰かに誘いを受けた時すでに用事を入っている場合に、「予定があって参加できません」などと言います。この予定の内容は、自分ひとりで行動することも、他の人と一緒にする約束であることもあります。
つまり、先約とは他の人との約束があることであり、予定とは前もって決めていた用事があることを意味します。先約は約束した相手が必ずいますが、予定は誰かとの約束にも自分だけの用事にも使える言葉なのです。
先約と予定の英語表記の違い
先約を英語にすると「previous engagement」「previous appointment」となり、例えば上記の「先約がある」を英語にすると「have a previous engagement」となります。
一方、予定を英語にすると「schedule」「program」「plan」となり、例えば上記の「予定通り」を英語にすると「according to schedule」となります。
先約の意味
先約とは
先約とは、以前からの約束を意味しています。
その他にも、「その申し出よりも以前に交わした、別の人との約束」の意味も持っています。
先約の使い方
「やっと先約を実行することができました」「家族との先約を果たすため休みを取りました」「ずっと先約を反故にされています」などの文中で使われている先約は、「以前からの約束」の意味で使われています。
一方、「先約があるので行けません」「彼女に先約があると断られた」「先約優先は信頼度を高めます」「先約優先は常識でしょう」「友達との先約がある時の上手な断り方を教えてください」などの文中で使われている先約は、「以前に交わした、別の人との約束」の意味で使われています。
先約とは、上記の例文にあるように二つの意味を持つため、文脈により意味を捉える必要があります。先約の「先」は訓読みで「さき」「まず」と読み、以前や時間的に早いほうを表し、「約」は訓読みで「ちかう」と読み、取り決めの目印や約束を表す漢字です。
先約という言葉は、招待やお誘いがあった際に、既に約束や予定がすでにある場合に使用されることが多い言葉です。「残念ながら先約があるためご一緒できません」「友達との先約があるから行けません」など、ビジネス会話から日常会話まで幅広い場面で用いられています。
先約の類語
先約の類語・類義語としては、以前にした約束を意味する「前約」、先になされた申し込みや約束を意味する「先口」、はっきりと約束することを意味する「確約」、約束することや誓うことを意味する「コミット」などがあります。
予定の意味
予定とは
予定とは、行事や行動を前もって定めることを意味しています。
予定の使い方
予定を使った分かりやすい例としては、「今週末に英語の問題集をやり終える予定です」「毎月エクセルで予定表を作成しています」「アプリで家族の予定表を共有しています」「出産予定日を計算してカレンダーに印を付けました」などがあります。
その他にも、「予定納税額の減額申請をしました」「予定納税の引き落とし日はいつですか」「ライプニッツの予定調和説に違和感を覚える」「人気イラストレーターのサイン会に行く予定です」などがあります。
予定の「予」は訓読みで「あらかじめ」と読み、事前にしておくさま、ある事柄が起こる前に準備する様子を表します。物事を決めて変えないことを表す「定」と組み合わさり、予定とは、行事や行動などについて前もって決めること、また、その決めた事柄を意味します。
「予定納税」の意味
予定を用いた日本語には「予定納税」があります。予定納税とは、その年の所得税額を前年度の納税額をもとに推定し、前もって分割納付する制度を意味します。従来は予定申告と合わせて採用されていましたが、昭和40年から予定納税のみにまとめられました。
予定の対義語
予定の対義語・反対語としては、まだ決まっていないことを意味する「未定」などがあります。
予定の類語
予定の類語・類義語としては、すでに決まっていることを意味する「既定」、はっきりと定まることを意味する「確定」、仕事や旅行などの日々の予定を意味する「日程」、あらかじめ具体的に立てられた予定や計画を意味する「スケジュール」、予定や計画表を意味する「プログラム」などがあります。
先約の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、前にしておいた約束、かねての約束、ある約束をしようと申し込まれた時に先にしてあった約束を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「先約優先」とは、先に約束したことを優先することを意味し、後から入ってきた用事は断わったり日程を調整したりすることを表します。
予定の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、前もって定めておくこと、あらかじめ見込みをつけることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「出産予定日」とは、統計的に分娩が起こる可能性が高い日を意味し、最終月経の第1日目から数えて 280日目にあたります。「分娩予定日」とも言います。
先約と予定という言葉は、どちらも「用事があること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他の人との約束があることを表現したい時は「先約」を、自分の用事があることを表現したい時は「予定」を使うようにしましょう。