【調査】と【踏査】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「調査」(読み方:ちょうさ)と「踏査」(読み方:とうさ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「調査」と「踏査」という言葉は、どちらも「調べること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




調査と踏査の違い

調査と踏査の意味の違い

調査と踏査の違いを分かりやすく言うと、調査とは物事の実態や動向などを調べること、踏査とは実際に足を運んで調べることという違いです。

調査と踏査の使い方の違い

一つ目の調査を使った分かりやすい例としては、「情報が流出されているかは調査中です」「小学生を対象に英語の学習状況を調査する」「ボランティアで発掘調査に参加しています」「テンプレートを使って調査報告書を作成する」などがあります。

二つ目の踏査を使った分かりやすい例としては、「もっと精密な実地踏査を行うべきです」「遺跡の有無について事前踏査をお願いします」「今回の踏査はどのように行いますか」「踏査選点は無事に完了しました」などがあります。

調査と踏査の使い分け方

調査と踏査という言葉は、どちらも不明瞭は事柄を調べて明らかにすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

調査とは、物事の実態や動向などを明らかにするために調べることを意味します。調査は多くの対象に当たって総合的に明らかにすることであり、その方法には「アンケート調査」「観察調査」「現地調査」などがあります。

踏査とは、調査の対象である場所や調査対象の所在地に、実際に足を運んで調べることを意味します。踏査は現地に出かけて調べることであり、現地に行かずに文献を調べたりして物事を明らかにすることは踏査と言いません。

つまり、調査と踏査の違いは、その方法にあります。調査の方法は限定されませんが、踏査は現地に足を運んで調べる方法に限ります。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

調査と踏査の英語表記の違い

調査を英語にすると「investigation」「examination」「survey」となり、例えば上記の「調査中」を英語にすると「under examination」となります。

一方、踏査を英語にすると「exploration」「reconnaissance」「survey」となり、例えば上記の「実地踏査」を英語にすると「a field survey」となります。

調査の意味

調査とは

調査とは、物事の実態や動向などを明確にするために調べることを意味しています。

表現方法は「国勢調査」「家計調査」

「国勢調査」「家計調査」などが、調査を使った一般的な言い回しです。

調査の使い方

調査を使った分かりやすい例としては、「介護労働の実態調査に協力しました」「調査報告書の書き方を教えてください」「実地調査の調査票はダウンロード可能です」「英語に関するアンケート調査にご協力をお願いします」などがあります。

その他にも、「家庭裁判所から調査嘱託書が届きました」「イラストレーターの健康調査を行います」「リットン調査団の団長はイギリス人でした」「プロ野球のドラフト候補には調査書が届きます」などがあります。

調査の「調」と「査」は、どちらも訓読みで「しらべる」と読み、不確かなことをいろいろな方法で確かめることを表します。調査とは、同じ意味の漢字を重ねた熟語であり、はっきりとしない事柄を多くの対象に当たって総合的に明らかにすることを意味します。

「統計調査」の意味

調査を用いた日本語には「統計調査」があります。統計調査とは、集団の全域にわたる数量的諸性質を観察あるいは分析するために行う調査です。調査対象から、全数調査・標本調査・実態調査などに分類されます。総務省統計局が行うものには、国勢調査、労働力調査、家計調査などがあります。

調査の類語

調査の類語・類義語としては、物事を深く考えたり調べたりして理論などを明らかにすることを意味する「研究」、未知の物事について探り調べることを意味する「探査」、調査や研究を意味する「リサーチ」などがあります。

踏査の意味

踏査とは

踏査とは、実際にその地へ出かけて調べることを意味しています。

踏査の使い方

踏査を使った分かりやすい例としては、「事前踏査のルートを検討する」「秋に実地踏査型の研修旅行を実施します」「現地踏査と選点作業は順調です」「踏査用のハンマーの使い方が分かりません」などがあります。

その他にも、「地表地質踏査で岩石の種類が明らかにする」「踏査状況についてご報告いたします」「英語圏の文化遺産を踏査しました」「インド洋に位置する海岸を踏査する」「基準点測量の踏査選点を行いました」などがあります。

踏査の「踏」は訓読みで「ふむ」と読み、地面などを踏むことや踏んだ感触を表す漢字です。わからないことを確かめることを表す「査」と結びつき、踏査とは、調査の対象である場所や調査対象の所在地に実際に出かけていって調べることを意味します。

「現地踏査」の意味

踏査を用いた日本語には「現地踏査」(読み方:げんちとうさ)があります。現地踏査とは、実際にその土地へ出向いて調査することを意味し、「実地踏査」とも呼ばれています。現地踏査は、現地の状況を詳しく把握する目的で行われています。

踏査の類語

踏査の類語・類義語としては、詳しく調べることを意味する「精査」、 監督し検査することを意味する「監査」、未知の事柄などをさぐり調べることを意味する「探索」、実際に立ち会って検査することを意味する「検分」などがあります。

調査の例文

1.文部科学省は、公立学校における英語教育の状況について定期的に調査を行っています。
2.国勢調査は5年ごとのはずですが、次はいつ実施されるか知っていますか。
3.国が実施する統計調査がいつ行われるかを、一覧表にまとめておきました。
4.統計調査を拒否したり無視したりすると、罰金を科せられるというのは本当ですか。
5.政府統計オンライン調査総合窓口にログインできないので、問い合わせ先に電話しました。

この言葉がよく使われる場面としては、ある事柄を明確にするために調べることを表現したい時などが挙げられます。

例文2の「国勢調査」とは、日本の人口や世帯構成などを調べるため、統計法に基づき5年に1度実施する国の最も基本的な調査です。日本国内に住む全ての人が対象となる全数調査であり、これをもとに国勢統計が作成されます。

踏査の例文

1.台風による豪雨で発生した地すべりの踏査結果を、パワーポイントでまとめて報告しました。
2.地表地質踏査に必要な地図やロックハンマーは、一つのバッグにまとめて持ち歩きます。
3.地域包括ケア実践のための手法として、地区踏査を取り入れています。
4.受発注者が合同で現地踏査を行うことは、情報共有や設計方針の明確化に繋がります。
5.本格的な現地調査は、事前調査や現地踏査で得られた情報を考慮して実施します。

この言葉がよく使われる場面としては、その場所に実際に出かけて行って調べることを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「地表地質踏査」とは、歩いて地表に露出する地層等を探し出し、各地点を観察したりマッピングしたりすることによって地質状況を把握する調査を意味します。

調査と踏査という言葉は、どちらも「ある物事を調べること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の実態や動向などを調べることを表現したい時は「調査」を、実際に出かけて行って調べることを表現したい時は「踏査」を使うようにしましょう。

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