【憤り】と【怒り】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「憤り」(読み方:いきどおり)と「怒り」(読み方:いかり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「憤り」と「怒り」という言葉は、どちらも怒ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




憤りと怒りの違い

憤りと怒りの意味の違い

憤りと怒りの違いを分かりやすく言うと、憤りとは他人から見て怒ってるのが分からないこと、怒りとは他人から見て怒っているのが分かることという違いです。

憤りと怒りの使い方の違い

一つ目の憤りを使った分かりやすい例としては、「彼女の行動には憤りを覚える」「犯人に対して強い憤りを感じる」「相次ぐ事故に対して激しい憤りを禁じ得ない」「何度訴えても変わらない状況に対して憤りを隠せない」などがあります。

二つ目の怒りを使った分かりやすい例としては、「怒りを鎮めるために好きな音楽を聴いている」「謝られても怒りが収まらない」「怒りの矛先を他人に向けるのは辞めよう」「犯人への怒りが込み上げてくる」などがあります。

憤りと怒りは、どちらも腹を立てて起こることを意味しているのですが、他人から見て怒ってるのが分からない場合に使うのが憤り、他人から見て怒ってるのが分かる場合に使うのが怒りになります。

怒りを客観化したのが憤り

また、怒りを客観化したのが憤りです。例えば、理不尽な犯罪報道を見かけた際に、犯人が許せないという怒りの感情が湧いたのであれば、それが憤りになります。憤りは心の中で思うことの場合に使うと覚えておいてください。

憤りは心の中で怒ることなのですが、怒りよりも怒っている度合いが強いことが多いです。また、怒りはただ怒ってるのに対して、憤りはその状況を悲嘆している感情も持っているというのも違いになります。

憤りと怒りを合わせた憤怒の意味

憤りと怒りを合わせた言葉に「憤怒」があります。憤怒とは、激しく怒っていることを意味してます。憤怒を「ふんど」と「ふんぬ」どちらで読むか迷うと思いますが、どちらの読み方も辞書に載っているため、好きな方で読んで問題ないです。

憤りと怒りの英語表記の違い

憤りも怒りも英語にすると「anger」「resentment」となり、例えば上記の「彼女の行動には憤りを覚える」を英語にすると「I get angry at her behavior」となります。

憤りの意味

憤りとは

憤りとは、腹が立つことを意味しています。

憤りの使い方

憤りを使った分かりやすい例としては、「彼の発言には憤りを覚える」「不用意な外出に強い憤りを感じる」「このような事件が発生したことに対して強い憤りをを禁じ得ない」「大学側の対応に憤りを隠せない」などがあります。

憤怒は腹が立つことを意味しているのですが、心の中で怒ってる場合に使う言葉です。そのため、他人から怒ってることが分かりません。また、怒りの感情だけではなく、その状況を悲嘆している感情も持っているというのが特徴になります。

表現方法は「憤りを覚える」「憤りを感じる」「憤りを禁じ得ない」

憤りという言葉は単体で使うことが少なく、「憤りを覚える」「憤りを感じる」「憤りを禁じ得ない」などのフレーズで使われるのが一般的です。特に、テレビの報道や新聞などで用いられることが多い言葉になります。

憤りの類語

憤りの類語・類義語としては、腹を立てることを意味する「立腹」、腹が立つことを意味する「腹立ち」、悲しみ憤ることを意味する「悲憤」(読み方:ひふん)、憎いと思うことを意味する「憎しみ」、怒った気持ちのことを意味する「怒気」などがあります。

憤りの憤の字を使った別の言葉としては、酷く腹を立てることを意味する「憤慨」(読み方:ふんがい)、酷く怒ることを意味する「憤激」(読み方:ふんげき)、外へ出さないで心の中に抑えている怒りや恨みのことを意味する「鬱憤」(読み方:うっぷん)などがあります。

怒りの意味

怒りとは

怒りとは、怒ることを意味しています。

表現方法は「怒りを覚える」「怒りを抑える」「怒りの感情」

「怒りを覚える」「怒りを抑える」「怒りの感情」などが、怒りを使った一般的な言い回しです。

怒りの使い方

怒りを使った分かりやすい例としては、「どうか怒りを鎮めてください」「相手への怒りが収まらない」「犠牲になった人達のことを考えると怒りが込み上げてくる」「彼の発言は世間の怒りを買いました」などがあります。

その他にも、「怒りまくると止まらない彼氏に恐怖を覚えている」「怒りっぽい性格だねとよく言われる」「怒りの感情をコントロールするのは難しい」「怒りで仕事が手につかない」「怒りの感情に振り回される」などがあります。

怒りは怒ることを意味しており、他人が怒ってるのが分かる場合に、怒りという言葉を使います。日常生活でもビジネスシーンでも頻繁に使う機会がある言葉なため、一度は使ったことがある人が多いはずです。

また、怒りは怒ることを意味しているため、マイナスなイメージでしか使われない言葉になります。そのため、怒りやすい人と、周りから思われないように注意しましょう。

怒りの類語

怒りの類語・類義語としては、怒ることを意味する「瞋恚」(読み方:しんい)、怒りが発散できずイライラすることを意味する「憤懣」(読み方:ふんまん)、どうしよもなく腹立たしい気分のことを意味する「向かっ腹」などがあります。

怒りの怒の字を使った別の言葉としては、普通の程度を越えて激しく怒ることを意味する「怒り狂う」、ちょっとしたことに腹を立てやすい性質であることを意味する「怒りっぽい」(読み方:おこりっぽい)、怒った気持ちのことを意味する「怒気」などがあります。

憤りの例文

1.とても姑息な手段を使う彼の行動に対して、強い憤りを感じる。
2.事故によって大勢の犠牲者が出ているのに、ずさんな対応する会社に強い憤りを覚える。
3.自分の不正を隠すために、部下に資料改ざんを命じた部長に憤りを禁じ得ない。
4.新型コロナウイルスの政府の対応の甘さに憤りすら感じる。
5.あまりにも酷い経営陣の対応に対して、憤りを隠せない。
6.裁判で敗訴した原告団が記者会見で政府の対応には強い憤りを感じますと震えながら訴えていた。
7.今回の事件に対して、犯人のあまりに身勝手な動機から、市民から憤りの声が上がっている。
8.ニュースで連日伝えられる煽り運転の事件に対して、私は激しい憤りを覚えました。
9.今までものは悪ふざけで済んだかもしれませんが、今回のものは不快を通り越して強い憤りを覚えます。
10.彼女の訴えは裁判で認められず、彼女の目からは、憤りに満ちた涙があふれていた。

この言葉がよく使われる場面としては、腹が立つことを表現したい時などが挙げられます。

憤りは怒っていると同時にその状況に悲嘆している場合にも使います。例文2は、部長に対して怒りを覚えると同時に、そんな行動をした部長に対して嘆き悲しんでいるという意味になります。

怒りの例文

1.怒りを鎮めるためには、一度深呼吸すると良いと尊敬した上司から教わりました。
2.息子がうつ病になってしまい、無理な勤務を命じていた会社に対して怒りが収まらない。
3.新型コロナウイルスに対して何も対応策を講じてない我が社に、激しい怒りが込み上げてくる。
4.人気俳優が不倫騒動により世間の怒りを買ってしまったので、続々とスポンサーが離れていきました。
5.部長は怒り出すと止まらないので、みんな怒らせないように仕事をしている。
6.ふだん穏やかな息子が椅子を蹴ったりノートを投げたりしているのを見てしまい本当に怒りを感じているのが伝わってきた。
7.上司は、プライベートで女性とうまくいかなかったので、部下達にその怒りをぶつけていた。
8.社長は不正を働いた部長に対して怒りを露わにし、社長室に呼んで直接問い詰めた。
9.熱海の違法な盛り土による土石流災害で犠牲になった人達のことを考えると怒りが込み上げてくる。
10.会長はワンマン経営者だったので、部下が意見をすると激しく怒り、処罰することもあった。

この言葉がよく使われる場面としては、怒ることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、怒っている場合に怒りという言葉を使います。とても幅広い範囲で使える言葉なため、馴染みのある言葉なはずです。

憤りと怒りはどちらも怒ることを意味しているのですが、心の中で怒っている場合は「憤り」を、怒っていることが行動に出ている場合は「怒り」を使うと覚えておいてください。

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