似た意味を持つ「血を血で洗う」(読み方:ちをちであらう)と「目には目を歯には歯を」(読み方:めにはめをはにははを)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」という言葉は、どちらも自分が受けたことと同じことをやり返すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の違い
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の意味の違い
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の違いを分かりやすく言うと、「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」は現代の意味は同じだが、昔は意味が異なっていたという違いです。
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の使い方の違い
一つ目の「血を血で洗う」を使った分かりやすい例としては、「血で血を洗う戦いが始まりました」「隣国同士で血で血を洗う戦いが繰り広げられています」「彼らは血で血を洗う争いとなりました」などがあります。
二つ目の「目には目を歯には歯を」を使った分かりやすい例としては、「目には目を歯には歯をが許されるのは学生までだろう」「彼は目には目を歯には歯をという言葉を信じている」などがあります。
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の使い分け方
「血で血を洗う」と「目には目を歯には歯を」は現代の意味は全く同じで、自分が受けたことと同じことをやり返すことを表しており違いはりません。では違いが何かと言うと、昔の意味が異なっていたことです。
「血を血で洗う」は現代も昔も自分が受けたことと同じことをやり返すことを意味しています。
一方、「目には目を歯に歯を」は、現代では自分が受けたことと同じことをやり返すことを意味していますが、昔は、受けたこと以上のやり返しをしてはならいという過剰な報復を抑えるために使われていた言葉になります。
例えば、目を潰されたら目を潰してもいいが、目だけではなく、足や腕にまで害を与えないよう抑制するために生まれました。
しかし、現代では自分が受けたことと同じことの意味で使うのが一般的になっているため、こちらの意味で使うのが無難でしょう。
「血を血で洗う」と「目には目を歯には歯を」の英語表記の違い
「血を血で洗う」を英語にすると「retaliated」「bloody feud」「family discord」となり、例えば上記の「彼らは血で血を洗う争いとなりました」を英語にすると「They retaliated for the violence with more violence」となります。
一方、「目には目を歯には歯を」を英語にすると「An eye for an eye, a tooth for a tooth」となります。
「血を血で洗う」の意味
「血を血で洗う」とは
「血を血で洗う」とは、自分が受けたことと同じことをやり返すことを意味しています。その他にも、血の繋がっている同士で争うことの意味も持っています。
表現方法は「血を血で洗う戦い」「血を血で洗う抗争」「血を血で洗う争い」
「血を血で洗う戦い」「血を血で洗う抗争」「血を血で洗う争い」などが、「血を血で洗う」を使った一般的に言い回しになります。
「血を血で洗う」の使い方
「血を血で洗う」を使った分かりやすい例としては、「権力者たちによって血で血を洗う戦いが繰り広げられている」「血で血を洗う抗争が幕を開けました」「血で血を洗う戦いが開幕してしまいました」などがあります。
「血を血で洗う」は自分が受けたことと同じことをやり返すこと、つまり、やられたらやり返すというニュアンスで使うことわざです。基本的にマイナスなイメージでしか使わないと覚えておきましょう。
また、ビジネスでは競争や争いは避けることができないので、「血を血で洗う」はビジネスシーンでも使われている言葉です。分かりやすい例を挙げると、「これ以上の値下げ合戦は血を血で洗うことになるが、弊社は一歩も引くことができません」があります。
「血を血で洗う」の由来
「血で血を洗う」の由来は中国の『旧唐書―源休伝』(読み方:くとうじょげんきゅうでん)からです。『旧唐書―源休伝』とは、中国の唐王朝がウイグル族と争いになり、ウイグル族の王の叔父を殺してしまいました。
源休という官僚がその遺体をウイグル族の王へ届けたところ、「お前の国は私の叔父を殺したが、私がお前を殺すのは、血を以て血を洗うようなもので、汚れがますますひどくなるだけだ」と述べて、生きて帰らせました。
この発言が転じて、自分が受けたことと同じことをやり返すことを「血を血で洗う」と言うようになりました。
「血を血で洗う」の類語
「血を血で洗う」の類語・類義語としては、相手からやられた仕返しにこちらも同じようなことをやることを意味する「やり返す」、 仕返しをすることを意味する「報復」、家族や血縁者が互いに対立して争うことを意味する「骨肉の争い」などがあります。
「目には目を歯には歯を」の意味
「目には目を歯には歯を」とは
「目には目を歯には歯を」とは、自分が受けたことと同じことをやり返すことを意味しています。
「目には目を歯には歯を」の使い方
「目には目を歯には歯を」を使った分かりやすい例としては、「幼い頃から目には目を歯には歯をと教えられたので、なんでもやり返す性格になってしまいました」「目には目を歯には歯をはよくないことだと思います」などがあります。
「目には目を歯には歯を」は自分が受けたことと同じことをやり返すこと、つまり、やられたらやり返すというニュアンスで使うことわざです。基本的にマイナスなイメージでしか使わないと覚えておきましょう。
「目には目を歯には歯を」の由来
「目には目を歯には歯を」の由来は諸説あります。
一つ目は『旧約聖書』のエジプト記です。その中に「Eye for eye, tooth for tooth, hand for hand , foot for foot」という一文があり、直訳すると目には目を、歯には歯を、腕には腕を、足には足をとなります。
つまり、度を越えるような復讐をしてはいけないという、復讐を抑制することを主旨としていました。
二つ目は『ハムラビ法典』にある言葉です。『ハムラビ法典』とはハムラビが制定、発布した法典のことを指しています。この『ハムラビ法典』に受けた害に対して同等の仕打ちをもって報いることという記載があります。
つまり、やられた以上のことをしてはいけないという法律として作られました。
「目には目を歯には歯を」の類語
「目には目を歯には歯を」の類語・類義語としては、自分が受けた害と同等の害を与えることを意味する「やられたらやり返す」、刑期を終えて出所したやくざなどが自分を密告したり自分に不利な証人となったりした人に仕返しをすることを意味する「お礼参り」などがあります。
「血を血で洗う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分が受けたことと同じことをやり返すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、血の繋がっている同士で争うことの意味も持っています。
上記の例文にあるように、「血で血を洗う」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「目には目を歯には歯を」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分が受けたことと同じことをやり返すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「目には目を歯には歯を」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「血で血を洗う」と「目には目を歯には歯を」はどちらも自分が受けたことと同じことをやり返すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、現代では同じ意味なので、好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。