似た意味を持つ「訝る」(読み方:いぶかる)と「訝しむ」(読み方:いぶかしむ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「訝る」と「訝しむ」という言葉は、どちらも怪しく思うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
訝ると訝しむの違い
訝ると訝しむの意味の違い
訝ると訝しむの違いを分かりやすく言うと、訝るとは直接的な表現、訝しむとは婉曲的な表現という違いです。
訝ると訝しむの使い方の違い
一つ目の訝るを使った分かりやすい例としては、「彼は何故父親が勝てたのか訝る」「やたら時間が掛かるの遠回りしてるのではないかと訝る」「彼の挙動不審な行動に警察が訝る」「彼女が浮気してるのではいかと彼は訝る」「彼女は彼が犯人ではないかと訝る」などがあります。
二つ目の訝しむを使った分かりやすい例としては、「大勢の人が彼は犯人ではないかと訝しむ」「急にスキンシップが多くなった二人の関係を訝しむ」「何故こんな騒ぎになるか訝しむ人も多い」などがあります。
訝ると訝しむは、ほぼ同じ意味を持つ言葉なのですが、訝るは直接的な表現に対して、訝しむは婉曲的(読み方:えんきょくてき)な表現というのが違いになります。婉曲的とは、はっきりとは言わないで表現が遠回しであることを意味しています。
上記の例を参考に違いを分かりやすく説明します。「彼女が浮気してるのではいかと彼は訝る」とすると、彼は彼女が浮気しているのではないかと怪しく思うという意味になります。
それに対して訝しむを使うと、「彼女が浮気してるのではいかと彼が訝しむ」となり、彼は彼女が浮気しているのではないか、怪しく思っている様子だったという意味です。このように、訝しむは婉曲的な表現方法なので、遠回しな言い方になります。
その他にも、訝るは、はっきりしないので気掛かりであるという、不安を表わす際に使うのも違いになります。
訝ると訝しむの英語表記の違い
訝るも訝しむも英語にすると「suspect」「wonder」となり、例えば上記の「彼女は彼が犯人ではないかと訝る」を英語にすると「She suspects he is the culprit」となります。
訝るの意味
訝るとは
訝るとは、怪しく思うことを意味しています。その他にも、はっきりしないので気掛かりであることの意味も持っています。
訝るの使い方
「彼女の不審な挙動を訝る」「機械からする異音を訝る」「彼が不審な行動を取るので彼女は浮気していないかと訝る」などの文中で使われている訝るは、「怪しく思うこと」の意味で使われています。
一方、「彼は目標が達成できるか訝る」「あそこの事務所は野蛮な人が多いので女一人で向かわせることを訝る」などの文中で使われている訝るは、「はっきりしないので気掛かりであること」の意味で使われています。
訝るは怪しく思うことと、はっきりしないので気掛かりであるという二つの意味を持つ言葉ですが、一般的には「怪しく思うこと」の意味で使われています。
何か怪しいと感じたり、疑わしく思った場合に、訝るという言葉を使うと覚えておけば間違いないでしょう。
訝るの類語
訝るの類語・類義語としては、本当かどうか怪しいと思うことを意味する「疑う」、変だと思うことを意味する「怪しむ」、怪しいと思うことを意味する「疑る」(読み方:うたぐる)、不思議で納得がいかないこと意味する「怪訝」(読み方:けげん)などがあります。
訝るの訝の字を使った別の言葉としては、物事不明であることを怪しく思うことを意味する「訝しい」などがあります。
訝しむの意味
訝しむとは
訝しむとは、不審に思うことを意味しています。
訝しむの使い方
訝しむを使った分かりやすい例としては、「急に優しくなった彼に周囲の人々は訝しむ」「彼女は礼儀正しいと言われているが一部の人は訝しむ」「成績の悪い彼が有名高校に合格したのでコネ入学を訝しむ人も多かった」などがあります。
訝しむは人の行動や言動に対して、怪しく思ったり、疑わしく思った場合に使う言葉になります。また、自分が怪しく思ったり、疑う場合に使うのではなく、第三者の様子を表す場合に使います。
上記の例を参考にすると、「急に優しくなった彼に周囲の人々は訝しむ」が正しい使い方で、「急に優しくなった彼に私は訝しむ」は間違った使い方になります。あくまでも、自分以外の行動に対して使う言葉です。
訝しむの類語
訝しむの類語・類義語としては、あれこれ気を回して悪い意味に考えることを意味する「勘繰る」、ある事柄を元にして推し量ることを意味する「推測」、物事の意味や価値に疑問を持つことを意味する「懐疑」、疑わしく思うことを意味する「不審」などがあります。
訝るの例文
この言葉がよく使われる場面としては、怪しく思うことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、はっきりしないので気掛かりであることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は、怪しく思うことの意味で使っています。また、例文4と例文5は、はっきりしないので気掛かりであることの意味で使われています。
訝るは二つの意味を持つ言葉ですが、怪しく思うことの意味で使うのが一般的です。
訝しむの例文
この言葉がよく使われる場面としては、不審に思うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、不審に思ったことを婉曲的に表現したい時に使います。訝しむは自分視点ではなく、第三者視点ので使う言葉と覚えておきましょう。
訝ると訝しむどちらを使うか迷った場合は、直接な表現をする場合は「訝る」、婉曲的な表現をする場合は「訝しむ」を使うと覚えておけば間違いありません。