似た意味を持つ「空気感」(読み方:くうきかん)と「雰囲気」(読み方:ふんいき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「空気感」と「雰囲気」という言葉は、どちらも場や人が作り出す気分を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
空気感と雰囲気の違い
空気感と雰囲気の意味の違い
空気感と雰囲気の違いを分かりやすく言うと、空気感とは芸術分野で使われ、雰囲気とは化学分野で使われるという違いです。
空気感と雰囲気の使い方の違い
一つ目の空気感を使った分かりやすい例としては、「同窓会での空気感が懐かしく感じる」「あたたかい空気感が漂う家にしたい」「デジタルイラストでも空気感や奥行き感を表現できる」「この写真はパーティーの空気感をよく伝えている」などがあります。
二つ目の雰囲気を使った分かりやすい例としては、「アットホームな雰囲気の会社だ」「雰囲気が可愛い女の子がモテる」「まだ付き合ってないけど、いい雰囲気の人がいる」「年賀状に使えるお洒落な雰囲気の画像を探している」「雰囲気ガスの生成方法を調べる」などがあります。
空気感と雰囲気の使い分け方
空気感と雰囲気という言葉は、どちらも、ある場所やそこにいる人々が自然に作り出している感じや気分を意味し、この意味ではどちらの言葉を使っても間違いではありません。上記の例文にある「同窓会での空気感」は「同窓会での雰囲気」と言い換えることができます。
しかし、二つの言葉は共通する意味のほかに、それぞれ別の意味も持っており、この意味では互いに置き換えて使うことはできません。空気感とは、その場の雰囲気を感じさせる表現の意味で絵画や映像などの芸術表現に使われています。雰囲気とは、大気や空気を意味する化学用語として使われています。
つまり、共通する意味のほかに、それぞれ別の意味を持つことが、この二つの言葉の明確な違いになります。
空気感と雰囲気の英語表記の違い
空気感も雰囲気も英語にすると「atmosphere」「mood」となり、例えば上記の「この空気感が懐かしく感じる」を英語にすると「the atmosphere feels very nostalgic」となります。
空気感の意味
空気感とは
空気感とは、人や場所などがもつ雰囲気を意味しています。
その他にも、写真や映像などでその場の雰囲気を感じさせることの意味も持っています。
空気感の使い方
「イベント会場の空気感を楽しむ」「師走のそわそわした空気感は苦手です」「意中の人に空気感が好きと言われて最高に嬉しい」「空気感の合わない人は一緒にいて疲れる」などの文中で使われている空気感は、「人や場所などが作り出す気分」の意味で使われています。
一方、「空気感の伝わる写真に圧倒された」「カメラ設定次第で空気感が漂うかどうかはカメラの設定次第だ」「映像で世界観や空気感を伝える」「絵画教室で空気感や遠近感の表現方法を習った」などの文中で使われている空気感は、「映像などで場の雰囲気を感じさせる表現」の意味で使われています。
空気感という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味があり、「人や場所などが作り出す気分」の意味では、雰囲気という言葉に置き換えることができます。しかし、「写真や映像などで場の雰囲気を感じさせること」の意味では雰囲気という言葉に置き換えることはできません。
芸術表現としての空気感
芸術表現の一つである空気感とは、物事の姿や性質、ありさまなどを言い表す時に使われます。そのものが直接的に表現されていなくても、間接的な情報のみで存在が示唆されている様子のことです。
例えば、写真の被写体が立体的に浮かび上がるように見えたり、その場の雰囲気が伝わる時に使われる言葉です。
表現方法は「空気感がいい」「空気感がある」「空気感が漂う」
「空気感がいい」「空気感がある」「空気感が漂う」「空気感が伝わる」などが、空気感を使った一般的な言い回しです。
「空気感を感じる」は二重表現で誤字
空気感という言葉を用いた誤った言い回しには「空気感を感じる」があります。これは、「頭痛が痛い」といった二重表現になるので、「空気感がある」「空気感を覚える」などと表現しましょう。
空気感の類語
空気感の類語・類義語としては、そのもののかもし出す雰囲気を意味する「佇まい」、芸能や文芸で表現の内にどことなくただよう情趣や余情を意味する「におい」、物事全体から感じられる気分や調子を意味する「トーン」などがあります。
雰囲気の意味
雰囲気とは
雰囲気とは、天体、特に地球をとりまく空気を意味しています。
その他にも、その場やそこにいる人たちが自然に作り出している気分、また、ある人が周囲に感じさせる特別な気分の意味も持っています。
雰囲気の読み方
雰囲気は「ふんいき」と読みます。「ふいんき」と発音する人が増えているという調査結果がありますが、間違いですので気を付けましょう。
表現方法は「雰囲気を感じる」「雰囲気がある」「雰囲気に呑まれる」
「雰囲気を感じる」「雰囲気がある」「雰囲気に呑まれる」などが、雰囲気を使った一般的な言い回しです。
雰囲気の使い方
「炉内雰囲気の酸素分圧を確認する」「ガスを用いた雰囲気置換で酸化を防ぐ」「大気中で行う反応は酸化雰囲気として扱う」「酸素雰囲気下で実験を行う」などの文中で使われている雰囲気は、「天体や地球をとりまく空気」の意味で使われています。
一方、「あたたかい雰囲気を感じるリビングにしたい」「雰囲気美人の特徴をつかんで真似したい」「髪型でブサメンから雰囲気イケメンに変わった」「職場の雰囲気を壊す人がいる」などの文中で使われている雰囲気は、「その場や人が付く出す気分」の意味で使われています。
雰囲気という言葉には、空気や大気という化学用語の意味と、気分やムードという意味の一般的な使い方があります。雰囲気という言葉の「雰」とは大気や気配など、「囲」とは周りを取りまくこと、「気」は何か特有の様子を表します。
「雰囲気を壊す」の意味
上記の例文にある「雰囲気を壊す」とは、その場にあった良い雰囲気を台無しにしたり、悪い雰囲気に変えてしまうことを意味する表現です。例えば、和やかな雰囲気の場で、暴言や嫌味な発言があったり、横柄な振る舞いをすることで、その場の雰囲気が悪くなった時などに使われます。
「雰囲気線量」の意味
科学用語の雰囲気という言葉を用いた日本語には「雰囲気線量」があり、その場所における放射線量を意味します。特に原子力施設など、放射線業務従事者が立ち入る実際の作業現場で測定される線量を表す時に使われています。
雰囲気の類語
雰囲気の類語・類義語としては、天体の表面を取り巻いている気体の層を意味する「大気」、気分や情調を意味する「ムード」、その場の雰囲気や趣を意味する「気分」、あるものに抱く感じを意味する「気色」などがあります。
空気感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人や場所などがもつ雰囲気、写真や映像などでその場の雰囲気を感じさせることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある空気感は「人や場所などがもつ雰囲気」の意味で使われ、例文4や例文5にある空気感は「映像などでその場の雰囲気を感じさせること」の意味で使われています。
例文5にある「空気感を描ききれていない」とは、そのものが持つ性質や様態を表現しきれてないことを意味します。
雰囲気の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その場や人が自然に作り出しているある感じ、天体や地球をとりまく気体を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「雰囲気美人」とは、目鼻立ちが整った顔の女性というわけではないけれど、髪形や服装、言葉使いや立ち居ふるまいなどが美しいため、美人に見える魅力的な女性のことを意味します。
例文4にある「雰囲気が漂う」とは、ある雰囲気や気配がそのあたりに満ちていたり、ムードがそのあたりに何となく感じられることを表す言葉です。
空気感と雰囲気という言葉は、どちらもある場所やそこにいる人々が自然に作り出している感じや気分を表す言葉です。さらに、空気感にはその場の雰囲気を感じさせることを意味する芸術分野での表現があり、雰囲気には空気や気体を意味する化学分野での表現があることを覚えておきましょう。