似た意味を持つ「不可思議」(読み方:ふかしぎ)と「不思議」(読み方:ふしぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不可思議」と「不思議」という言葉は、どちらも「普通では考えられないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不可思議と不思議の違い
不可思議と不思議の意味の違い
不可思議と不思議の違いを分かりやすく言うと、不思議とは不可思議の略語であるという違いです。
不可思議と不思議の使い方の違い
一つ目の不可思議を使った分かりやすい例としては、「近ごろ不可思議な事件ばかり起きています」「あなたとは不可思議なご縁を感じます」「不可思議な伝説が語り継がれている」「不可思議という単位は億の何倍ですか」などがあります。
二つ目の不思議を使った分かりやすい例としては、「不思議の国のアリス症候群をご存知ですか」「娘は不思議とイラストが上手です」「iPhoneに不思議な壁紙を設定しました」「自分でも不思議ですが歌詞が覚えられません」などがあります。
不可思議と不思議の使い分け方
不可思議と不思議という言葉は、どちらも常識では考えられないこと、説明のつかないことを意味します。二つの言葉はほぼ同じように使用されていますが、厳密には大きく三つの違いがあります。
一点目は、不思議は不可思議を省略した言葉です。もともとは「不可思議」という仏教用語がありましたが、時代が進むにつれて一般的に使用され、さらには語形が変化して「不思議」という言葉も使われるようになりました。
二点目は、不思議よりも不可思議の方が強い意味で用いられていることが挙げられます。不可思議の方が強いニュアンスを持ち、「不思議な現象」よりも「不可思議な現象」の方が、より不可解で説明がつかないさまを表現します。
三点目は、不可思議は数の単位を表しますが、不思議は数の単位を表さないことです。「不可思議」は数の単位のひとつになっており、10の64乗を意味します。単位の場合は「不思議」とは略すことはできません。
これらが、不可思議と不思議という言葉の明確な違いになります。
不可思議と不思議の英語表記の違い
不可思議も不思議も英語にすると「mysterious」「wonderful」「strange」となり、例えば上記の「不可思議な事件」を英語にすると「a mysterious event」となります。
不可思議の意味
不可思議とは
不可思議とは、常識では考えられないこと、考え及ばないこと、異様なことを意味しています。
その他にも、「人間の認識・理解の限界を超えていること」「数の単位、10の64乗」の意味も持っています。
不可思議の使い方
「カルテがすり替わっているなんて不可思議な話だ」「苦手な英語のテストで満点を取るなんて不可思議だ」「不可思議な体験を忘れることができません」の文中で使われている不可思議は、「常識では考えられないこと」の意味で使われています。
一方、「参拝者は不可思議なご利益を求めています」「帰宅中に起きた不可思議な出来事をお話します」の文中で使われている不可思議は「人の認識や理解を超えていること」、「不可思議は那由多の何倍ですか」の文中で使われている不可思議は「数の単位」の意味で使われています。
不可思議とは、上記の例文にあるように複数の意味があり、それぞれの意味で使用されているため文脈により意味を捉える必要があります。「不可」は行為が実行できないこと、「思議」は考えをめぐらすことを意味する熟語です。
不可思議の語源
不可思議の語源は、もともと仏教に由来します。不可思議とは、仏や菩薩の知恵あるいは神通力などに対し、人間の思慮や言語の及ばない境地を指していう言葉でした。転じて、考えも及ばない不思議なこと、ふつうとは非常にかけ離れているさまを意味するようになりました。
不可思議の対義語
不可思議の対義語・反対語としては、そうなるのが当たり前であることを意味する「当然」、毎日のありふれた事柄を意味する「日常茶飯事」などがあります。
不可思議の類語
不可思議の類語・類義語としては、現実にはありえないような不思議な事実を意味する「怪異」、あやしく不思議なことを意味する「奇怪」、非常に不思議なことを意味する「摩訶不思議」、わめて奇怪なことを意味する「奇奇怪怪」などがあります。
不思議の意味
不思議とは
不思議とは、どうしてなのか普通では考えも想像もできないこと、説明のつかないことを意味しています。
その他にも、「仏語、人間の認識や理解を越えていること、人知の遠く及ばないこと」「非常識なこと、突飛なこと」「怪しいこと、不審に思うこと」の意味も持っています。
不思議の使い方
「不思議なほど当たる占いをご紹介します」「愛読書は不思議の国のアリスです」の文中で使われている不思議は「普通では考えも想像もできないこと」の意味で、「近所の噂で不思議な話を聞きました」の文中で使われている不思議は「人の認識や理解を越えていること」の意味で使われています。
一方、「彼女は不思議な言動が多い」「あなたは不思議な人ですね」の文中で使われている不思議は「非常識なこと」の意味で、「不思議なネット通販は利用しません」「駅で不思議な人物を見かけました」の文中で使われている不思議は「怪しいこと」の意味で使われています。
不思議とは、前述した「不可思議」の省略形であり、不可思議と同じような意味を持つ言葉です。不可思議の略語であるため、その意味合いは少し弱くなり、一般的に広く使用されています。ただし、不可思議が持つ「数の単位、10の64乗」の意味は、不思議という言葉にはありません。
「摩訶不思議」の意味
不思議を用いた日本語には、「摩訶不思議」があります。「魔訶」は仏教語で非常に大きいこと、偉大なことを表し、摩訶不思議とは非常に不思議なことを意味します。不思議であることを強調したい時に使用される言葉です。
不思議の対義語
不思議の対義語・反対語としては、ごくありふれたものであることを意味する「普通」、ありきたりであることを意味する「当たり前」などがあります。
不思議の類語
不思議の類語・類義語としては、珍しく不思議なことを意味する「奇妙」、普通と様子が違っていることを意味する「奇異」、理解しようとしても理解できないことを意味する「不可解」、非常に風変わりであるさまを意味する「キテレツ」などがあります。
不可思議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、考えも及ばない不思議なこと、怪しく異様なこと、普通とは非常にかけ離れていること、数の単位を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある不可思議は、考えも及ばない不思議なこと、普通とは非常にかけ離れていることの意味で用いられています。例文5の不可思議は、数の単位のひとつを表しています。
不思議の例文
この言葉がよく使われる場面としては、思いはかることも言い表わすこともできないこと、人間の思考力の及ばないこと、疑惑を感じることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「不思議ちゃん」とは、普通の人とは少し異なる言動をする女性を指す言葉です。「天然」「変わった女の子」などと言い換えられます。
不可思議と不思議という言葉は、どちらも「普通では考えられないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、普通では考えられないことの度合いがより強いことを表現したい時は「不可思議」を使うようにしましょう。