似た意味を持つ「不祥事」(読み方:ふしょうじ)と「不祥事件」(読み方:ふしょうじけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不祥事」と「不祥事件」という言葉は、どちらも好ましくない出来事を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不祥事と不祥事件の違い
不祥事と不祥事件の意味の違い
不祥事と不祥事件の違いを分かりやすく言うと、不祥事とは社会的に非難されるような事柄を表し、不祥事件とは法令上違反している事柄を表すという違いです。
不祥事と不祥事件の使い方の違い
一つ目の不祥事を使った分かりやすい例としては、「政治家は不祥事を起こすと入院する」「週刊誌に芸能人の不祥事が掲載されている」「企業の不祥事は株価に影響します」「不祥事を起こしたアイドルは仕事を干された」などがあります。
二つ目の不祥事件を使った分かりやすい例としては、「金融機関の不祥事件が相次いでいる」「早急に不祥事件の防止策が必要だ」「保険業法等の法令に違反した不祥事件だ」「金融機関からの不祥事件報告が多い」などがあります。
不祥事と不祥事件の使い分け方
不祥事と不祥事件という言葉は、どちらも政治家や企業の不正行為やスキャンダルに関するニュースで使われています。二つの言葉は、「不都合な事件や良くない出来事」という、ほぼ同じ意味を持ちますが、使い方には違いがあります。
不祥事とは、社会的に非難されるような出来事に対して使われます。上記の例文にある「芸能人の不祥事」とは、法令違反となる薬物使用やひき逃げ事件、社会的に非難される不倫騒動や離婚トラブルなどを指します。
不祥事件とは、法令上で扱われる事件に対して使われています。「金融機関の不祥事件」とは、横領事件や着服事件、不正融資問題やインサイダー取引など、法に抵触する出来事などを指します。
不祥事と不祥事件は、どちらも好ましくない出来事を表しますが、不祥事件よりも不祥事の方が広い意味を持ち、幅広く使われる言葉だと言えるでしょう。
不祥事と不祥事件の英語表記の違い
不祥事も不祥事件も英語にすると「scandal」「deplorable event」となり、例えば上記の「不祥事を起こす」を英語にすると「cause a scandal」となります。
不祥事の意味
不祥事とは
不祥事とは、関係者にとって不都合な事件や事柄を意味しています。
表現方法は「不祥事を起こす」「不祥事を防ぐ」「不祥事が多い」
「不祥事を起こす」「不祥事を防ぐ」「不祥事が多い」などが、不祥事を使った一般的な言い回しです。
不祥事の使い方
不祥事を使った分かりやすい例としては、「企業不祥事が発覚して株価が暴落」「人気俳優の人気は多少の不祥事では揺るがない」「警察の不祥事案の発生が相次いだ」「不祥事防止研修資料を作成する」などがあります。
その他にも、「横領の不祥事を起こした銀行員が処分となる」「不祥事を起こした芸能人が復帰した」「不祥事が多い大学だ」「不祥事で消えた俳優もいます」「不祥事予防のプリンシプルを公表する」などがあります。
不祥事という言葉の「不祥」とは、不吉であることや縁起が悪いことを表します。不祥事とは、好ましくない事柄や事件を意味する言葉です。主に、社会的な地位を持つ政治家や企業などが起こした、社会的な非難されるような出来事に対して使われています。
「企業不祥事」の意味
上記の例文にある「企業不祥事」とは、企業に重大な不利益をもたらしたり、社会的信用を損なう可能性がある業務上の事件や事故のことです。具体例として、企業による環境データの改ざん、不正会計処理、顧客情報流出などが挙げられます。
不祥事の対義語
不祥事の対義語・反対語としては、めでたい事柄や縁起のよい事柄を意味する「吉事」、良いことや喜ばしいことを意味する「好事」などがあります。
不祥事の類語
不祥事の類語・類義語としては、縁起の悪い出来事や不吉な事を意味する「凶事」、道徳に外れた不名誉な行いを意味する「汚行」、公職にある人が地位や職権を利用して収賄などの不正な行為をすることを意味する「汚職」などがあります。
不祥事件の意味
不祥事件とは
不祥事件とは、良くないことで嫌な感じがする出来事を意味しています。
不祥事件の使い方
不祥事件を使った分かりやすい例としては、「地方銀行において不祥事件が発覚した」「銀行から不祥事件等届出書が提出された」「不祥事件防止をテーマにした標語を募集する」「不祥事件対応はスピードが大事です」などがあります。
その他にも、「銀行において不祥事件が発生した」「不祥事件等報告書を金融庁に提出する」「不祥事件発生のお詫びとご報告」「法令上の不祥事件の定義を調べる」「保険会社が不祥事件の報告をした」などがあります。
不祥事件という言葉は、不祥事と同様に、好ましくない事柄や事件を表す言葉ですが、特に法令上で扱われる事柄に対して使われています。事件とは、出来事の中でも問題性があったり、訴訟や審判の対象となるような事柄を表す言葉です。
不祥事件の例
不祥事件の例として、銀行などの金融機関において、顧客の預金から不正に現金を出金し着服するという行為や、借り入れを希望する人の源泉徴収票などを改ざんした不正融資などがあります。
不祥事件の対義語
不祥事件の対義語・反対語としては、結婚や出産などの喜びごとを意味する「慶事」、めでたいことをいう尊敬語や美化語を意味する「おめでた」などがあります。
不祥事件の類語
不祥事件の類語・類義語としては、名声を汚すような不祥事や不正事件を意味する「スキャンダル」、その人の名誉や人格を傷つけるような良くない噂を意味する「醜聞」、死亡や葬式などのおくやみごとを意味する「弔事」などがあります。
不祥事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、好ましくない事柄や事件、関係者にとって不都合な事件や事柄を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3のように、不祥事という言葉はステイタスがある個人や団体に対して使われ、その信用を失うような行為を表します。例文5のように、芸能人のスキャンダルを不祥事と表現することがあります。
不祥事件の例文
この言葉がよく使われる場面としては、良くないことで嫌な感じがする出来事を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にあるように、不祥事件とは、金融業や保険業における法に抵触するような事柄に対して使われることが多くあります。
不祥事と不祥事件という言葉は、どちらも不都合な出来事を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、社会的に非難されるような出来事を表現したい時は「不祥事」を、法令上で扱われる事件を表現したい時は「不祥事件」を使うようにしましょう。