似た意味を持つ「入社」(読み方:にゅうしゃ)と「入職」(読み方:にゅうしょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「入社」と「入職」という言葉は、どちらも職に就くことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
入社と入職の違い
入社と入職の意味の違い
入社と入職の違いを分かりやすく言うと、入社とは会社で働く場合に使われ、入職とは会社に限らず組織で働く場合に使われるという違いです。
入社と入職の使い方の違い
一つ目の入社を使った分かりやすい例としては、「入社式に着ていくスーツ選びに悩んでいる」「入社して実現したいことは何ですか」「入社前に健康診断を受けて頂きます」「入社承諾書の提出期限を延ばしてもらった」などがあります。
二つ目の入職を使った分かりやすい例としては、「今年の入職率は離職率を下回るそうだ」「大学の一般事務に入職します」「入職承諾書に印鑑を押して提出済みです」「入職時健診の日程をお選びください」などがあります。
入社と入職の使い分け方
入社と入職という言葉は、どちらも就職することを表し、似た表現をする言葉ですが、使い方には違いがあります。
入社とは一般企業や会社に就職することであり、会社で働く場合に使われます。一方、入職とは一般企業から法人などのあらゆる組織に就職することであり、会社だけでなく病院や学校、公務員として働く場合にも使われる言葉です。
入社と入職を比べると、入社の方が見たり聞いたり馴染みのある言葉ですが、実は、入職の方が広い意味を持ち、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。
入社と入職の英語表記の違い
入社を英語にすると「joining a company」「entering a company」「entrance」となり、例えば上記の「入社式」を英語にすると「the company entrance ceremony」となります。
一方、入職を英語にすると「accession」「starting a job」となり、例えば上記の「入職率」を英語にすると「accession rate」となります。
入社の意味
入社とは
入社とは、会社に入り社員となることを意味しています。
表現方法は「入社する」「入社の意思を固める」「入社後にやりたいこと」
「入社する」「入社の意思を固める」「入社後にやりたいこと」などが、入社を使った一般的な言い回しです。
入社の使い方
入社を使った分かりやすい例としては、「内定先へ入社の意思を固める」「入社承諾書に添え状を付けて送付した」「入社後にやりたいことは何ですか」「入社一年目の教科書としてビジネスマナー本をもらった」などがあります。
その他にも、「入社式で社長が訓示を述べる」「入社挨拶で良い印象を与えたい」「入社者に早く活躍してもらいたい」「中途入社者にも研修を受けて頂きます」「入社8年目の中堅社員です」「入社が難しい有名企業ランキング」などがあります。
公務員・病院・学校では入社は使わない
入社という言葉の「社」とは、会社のことです。入社とは、会社に入り、その社員になることを意味します。会社に入ることなので、フリーランスで仕事をしたり、公務員として働いたり、病院や学校などの法人で職に就くことは、入社とは言いません。
「入社式」の意味
上記の例文にある「入社式」とは、その年に入社する新入社員を一堂に集めて、経営陣による訓示等を行うセレモニーのことです。社員としての自覚を持たせるなどの目的があり、日本では4月に行われることが一般的です。銀行では入行式、省庁では入省式、入庁式と言います。
入社の対義語
入社の対義語・反対語としては、勤務している会社を辞めることを意味する「退社」、役職や地位から身を退くことを意味する「引退」、今まで就いていた重要な地位から身をひくことを意味する「退陣」などがあります。
入社の類語
入社の類語・類義語としては、職業につくことや新しく職を得て勤めることを意味する「就職」、銀行に職員として入ることを意味する「入行」、都庁など庁と名の付く官庁に職員として入ることを意味する「入庁」などがあります。
入職の意味
入職とは
入職とは、職に就くこと、新規採用や再就職によって就労者となることを意味しています。
表現方法は「入職する」「入職しました」「入職の挨拶」
「入職する」「入職しました」「入職の挨拶」などが、入職を使った一般的な言い回しです。
入職の使い方
入職を使った分かりやすい例としては、「入職前に健康診断があります」「入職の挨拶は朝礼で簡単にして頂きます」「入職者数は年々増加傾向にあります」「医療福祉分野の入職率がアップしている」「入職日をご相談ください」などがあります。
その他にも、「入職日応相談と書いてある」「すぐに入職できる仕事を探している」「入職者研修が明日から始まる」「医療センターに入職しました」「今の病院に入職して2年になります」「学校法人に入職しました」などがあります。
「入職者」の意味
入職という言葉は、職に就くことや、仕事に就くことを表し、新規採用だけでなく再就職によって就労者となることも意味します。転職による労働移動者も含み、新卒採用か再就職か転職かを問わず職に就いた人全般を「入職者」と言います。
「入職率」の意味
入職という言葉を用いた日本語には「入職率」があります。労働人口のうち、新たに就職した人の割合のことです。入職率は、厚生労働省が行う雇用動向調査などをもとに算出され、雇用情勢を判断する材料となっています。また、入職率とは反対に、新たに離職した人の割合を示す「離職率」もあります。
入職の対義語
入職の対義語・反対語としては、勤めている職をやめることや現職をしりぞくことを意味する「退職」、退職や失業などによって職業を離れることを意味する「離職」、今までついていた職を自分からやめることを意味する「辞職」などがあります。
入職の類語
入職の類語・類義語としては、仕事につくことや仕事を始めることを意味する「就労」、職業につくことを意味する「就業」、官に任じられることや官職に就くことを意味する「任官」、ある任務や職務につくことを意味する「就任」などがあります。
入社の例文
この言葉がよく使われる場面としては、会社に入り社員となることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「入社手続き」とは、採用に付随して必ず発生するもので、社会保険や雇用保険の加入手続きなども含まれます。例文5にある「中途入社」とは、別の場所で既に職務経験のある人が、転職などで別の会社に入ることを意味します。
入職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、職に就くこと、就労者となることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「入職日」とは、勤務を開始する日付けのことです。一般企業では4月1日が入職日になることが多くあります。例文2にある社会福法人の場合、会社ではないので「入職」を使います。
入社と入職という言葉は、どちらも職に就くことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、会社に入ることを表現したい時は「入社」を、会社や法人あるい公務員になることを表現したい時は「入職」を使うようにしましょう。