似た意味を持つ「懇切丁寧」(読み方:こんせつていねい)と「親切丁寧」(読み方:しんせつていねい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「懇切丁寧」と「親切丁寧」という言葉は、どちらも「手厚く配慮が行き届いていること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
懇切丁寧と親切丁寧の違い
懇切丁寧と親切丁寧の意味の違い
懇切丁寧と親切丁寧の違いを分かりやすく言うと、懇切丁寧とは辞書に載っている正しい四字熟語、親切丁寧とは辞書に載っていない砕けた表現という違いです。
懇切丁寧と親切丁寧の使い方の違い
一つ目の懇切丁寧を使った分かりやすい例としては、「速やかな対応と懇切丁寧な説明を期待します」「ビジネスメールは懇切丁寧に書くべきです」「ATMの操作を懇切丁寧に電話で説明します」などがあります。
二つ目の親切丁寧を使った分かりやすい例としては、「親切丁寧な仕事をモットーとする工務店です」「親切丁寧にご指導いただき感謝しております」「先生が親切丁寧に英語を教えてくださいました」などがあります。
懇切丁寧と親切丁寧の使い分け方
懇切丁寧と親切丁寧という言葉は、どちらも「手厚く配慮が行き届いていること」を意味しており、二つの言葉に大きな意味の違いはありません。
あえて違いを挙げるならば、懇切丁寧は辞書に掲載されている正しい四字熟語であり、親切丁寧は辞書に載っていない表現であることです。もともとは「親切・丁寧な接客を心掛けます」のように、親切と丁寧は二つに分かれていました。それが次第に「親切丁寧」の形で使われるようになってきたのです。
そのため、親切丁寧は誤用だと考える人もいるので、使用する際には注意が必要です。特に、目上の方に使う場合や、かしこまった表現をしたい時には、親切丁寧ではなく懇切丁寧を使用すると良いでしょう。
懇切丁寧と親切丁寧の英語表記の違い
懇切丁寧も親切丁寧も英語にすると「kind and thought」「politely and thoroughly」となり、例えば上記の「懇切丁寧な説明」を英語にすると「kind and thought explanation」となります。
懇切丁寧の意味
懇切丁寧とは
懇切丁寧とは、細かいところまで注意が行き届いていて、とても手厚くて親切なことを意味しています。
懇切丁寧の読み方
懇切丁寧の読み方は「こんせつていねい」です。誤って「こんきりていねい」「こんせつちょうねい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「懇切丁寧な対応」「懇切丁寧に教える」「懇切丁寧な指導」
「懇切丁寧な対応」「懇切丁寧に教える」「懇切丁寧な指導」などが、懇切丁寧を使った一般的な言い回しです。
懇切丁寧の使い方
懇切丁寧を使った分かりやすい例としては、「懇切丁寧な対応ありがとうございました」「ビジネスで使える英語を懇切丁寧に指導いたします」「テキストの懇切丁寧な解説がとても分かりやすい」などがあります。
その他にも、「懇切丁寧に教えていただき感謝いたします」「お客様の視点に立って懇切丁寧にご対応致します」「顧客の話を懇切丁寧に伺います」「嫌味を言いながらも懇切丁寧に説明してくれました」などがあります。
懇切丁寧とは、細かなところまで行き届いて、相手の身になってその人のために何かをすることを意味する四字熟語です。懇切丁寧の「懇切」は非常に手厚く親切なこと、「丁寧」は細かいところまで気を配ること、注意深く入念にすることを表します。
懇切丁寧という四字熟語は、ビジネスシーンでもよく使われています。注意点としては、懇切丁寧という言葉自体に敬語表現は含まれていないということです。目上の方や取引先へ使う場合は、「懇切丁寧なご対応をいただき」など敬語表現を加えると良いでしょう。
懇切丁寧の対義語
懇切丁寧の対義語・反対語としては、いいかげんに物事をするさまや投げやりな態度を意味する「ぞんざい」、いいかげんで無責任なことを意味する「ちゃらんぽらん」などがあります。
懇切丁寧の類語
懇切丁寧の類語・類義語としては、すみずみまで心が行き届いてこの上なく親切なことを意味する「懇到切至」、配慮が行き届いて申し分がないことを意味する「至れり尽くせり」、細かいところにまで行き届いた世話をするさまを意味する「手取り足取り」などがあります。
親切丁寧の意味
親切丁寧とは
親切丁寧とは、相手に寄り添っていて、配慮が行き届いていることを意味しています。
表現方法は「親切丁寧にご対応」「親切丁寧にご指導」「親切丁寧な接客」
「親切丁寧にご対応」「親切丁寧にご指導」「親切丁寧な接客」などが、親切丁寧を使った一般的な言い回しです。
親切丁寧の使い方
親切丁寧を使った分かりやすい例としては、「親切丁寧にご対応いただきありがとうございました」「親切丁寧な接客がモットーです」「親切丁寧をキャッチコピーとするクリーニング店です」「親切丁寧な英語のレッスンをありがとうございます」などがあります。
その他にも、「接客では親切丁寧な対応を心掛けています」「親切丁寧にご対応くださりありがとうございます」「親切丁寧にご対応くださり助かりました」「親切丁寧な指導のおかげで英語が好きになりました」などがあります。
親切丁寧とは、辞書には載っていない言い回しですが、一般的に「相手に寄り添って細かな心配りをすること」の意味で用いられています。親切丁寧の「親切」は思いやりをもって人のためにつくすこと、「丁寧」は言動が礼儀正しく配慮が行き届いていることです。
親切丁寧という言葉は、前述した「懇切丁寧」よりも少し砕けた表現であり、お店のキャッチコピーなどで使用されています。ただし、親切丁寧は辞書に載っていない言葉のため、誤用だと思われる可能性があります。この言葉を使用する際は注意しましょう。
親切丁寧の対義語
親切丁寧の対義語・反対語としては、 やり方などがいいかげんであることを意味する「適当」、その場だけの間に合わせを意味する「おざなり」などがあります。
親切丁寧の類語
親切丁寧の類語・類義語としては、取り扱いやもてなしが丁寧で心がこもっていることを意味する「手厚い」、心づかいや配慮を意味する「心配り」、真心を込めてすることを意味する「心尽し」などがあります。
懇切丁寧の例文
この言葉がよく使われる場面としては、細かなところまで行き届いて親切なことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、懇切丁寧という言葉は、日常生活からビジネスシーンまで幅広い場面で使用されています。
親切丁寧の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手に寄り添って細かな心配りをするさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、親切丁寧という言葉は、懇切丁寧よりも砕けた表現になるため、目上の人や上司に対して使われることはありません。
懇切丁寧と親切丁寧という言葉は、どちらも「手厚く配慮が行き届いていること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、正しい四字熟語でかしこまった表現したい時は「懇切丁寧」を、正しい四字熟語ではない砕けた表現したい時は「親切丁寧」を使うようにしましょう。