似た意味を持つ「ひとまず」と「とりあえず」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ひとまず」と「とりあえず」という言葉は、どちらも将来は分からないが今のところのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ひとまず」と「とりあえず」の違い
「ひとまず」と「とりあえず」の意味の違い
「ひとまず」と「とりあえず」の違いを分かりやすく言うと、「ひとまず」とは目上の人に対して使うことができる、「とりあえず」とは目上の人に対して使うことができないという違いです。
「ひとまず」と「とりあえず」の使い方の違い
一つ目の「ひとまず」を使った分かりやすい例としては、「これが終われば一先ず落ち着けるだろう」「ここはひとまず引き揚げることにした」「台風が直撃することは無さそうなのでひとまず安心です」などがあります。
二つ目の「とりあえず」を使った分かりやすい例としては、「とりあえず生ビールをお願いします」「歩くのに疲れてしまったのでとりあえず休める場所を探すことにした」「とりあえずこのまま進めることにします」「とりあえず問題を解決したいのでお会いできますか」などがあります。
「ひとまず」と「とりあえず」の使い分け方
「ひとまず」と「とりあえず」は将来は分からないが今のところはこうするという似たニュアンスを持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
結論から言うと、「ひとまず」は目上の人に対しても使うことができる言葉に対して、「とりあえず」は目上の人に対しては使うことができないというのが違いです。ただし、「ひとまず」と「とりあえず」どちらも敬語ではないと覚えておきましょう。
ではなぜ「とりあえず」が目上の人に対して使えないかというと、不十分や中途半端などのマイナスなイメージを含んでいる言葉だからです。そのため、ビジネスシーンにおいて今のところは終わったことを表現したい場合は「ひとまず」に置き換えて使うようにしましょう。
「ひとまず」と「とりあえず」の英語表記の違い
「ひとまず」を英語にすると「for now」「tentatively」「for the time being」となり、例えば上記の「ひとまず開始日は来年を予定しています」を英語にすると「The start date is tentatively set for the next year」となります。
一方、「とりあえず」を英語にすると「for now」「anyway」「for the time being」となり、例えば上記の「とりあえず問題を解決したいのでお会いできますか」を英語にすると「For the time being, can you meet me so we can fix our problem」となります。
「ひとまず」の意味
「ひとまず」とは
「ひとまず」とは、今後のことは別にしてその時点で一区切りつけることを意味しています。
「ひとまず」の使い方
「ひとまず」を使った分かりやすい例としては、「ひとまず結論を伝えることにしました」「ひとまずホテルに落ち着きました」「一番忙しい時間帯は乗り越えたのでひとまず安心です」「受験生の皆様センター試験ひとまずお疲れ様でした」などがあります。
「ひとまず」は将来のことはどうなるか分からないが今のところ一区切りをつけるという意味で使う言葉です。特に、物事が進む中で大体終わって区切りが良い場合に使うのでプラスのイメージを持っています。
「ひとまず」はビジネスシーンと日常生活の両方で使うことができます。また、敬語ではないものの、ビジネスシーンにおいて目上の人に対して使っても問題ありません。
「ひとまず」の漢字表記
「ひとまず」を漢字にすると「一先ず」と表記することができます。
表現方法は「ひとまずお疲れ様」「ひとまず無事」「ひとまず安心」
「ひとまずお疲れ様でした」「ひとまず無事」「ひとまず安心」などが、「ひとまず」を使った一般的な言い回しになります。
「ひとまず」の類語
「ひとまず」の類語・類義語としては、結局のところを意味する「差し詰め」、一時的なことを意味する「一旦」、今のところのことを意味する「差し向き」、先のことはともかく今のところのことを意味する「差し当たって」などがあります。
「とりあえず」の意味
「とりあえず」とは
「とりあえず」とは、他のことは差し置いてまず第一にやることを意味しています。
「とりあえず」の使い方
「とりあえず」を使った分かりやすい例としては、「お腹がすいたのでとりあえず近くの飲食店に入ることにする」「とりあえずが口癖の人は気を付けた方がいいだろう」「とりあえず必要な物は揃いました」「友人が集合時間になっても来ないがとりあえず待つことにする」などがあります。
その他にも、「ホテルに着いたらとりあず荷物を置いて温泉に入ることにする」「英語を話せるようになりたいのでとりあえず英会話教室へ行くことにした」「とりあえずそれでいきましょう」などがあります。
「とりあえず」はとても使いやすい言葉なので、日常生活において使っても問題ないのですが、ビジネスシーンにおいて使うのは不適切とされているため、使わないようにしましょう。
「とりあえず」は不十分であったり、中途半端であっても次に移るというう意味で使うことが多いので、マイナスな言葉として定着しています。
「とりあえず」の漢字表記
「とりあえず」を漢字にすると「取り敢えず」と表記することができます。
表現方法は「とりあえずが口癖」「とりあえず終わらせる」
「とりあえずが口癖」「とりあえず終わらせる」などが、「とりあえず」を使った一般的な言い回しになります。
「とりあえず」の類語
「とりあえず」の類語・類義語としては、先のことはともかく今のところのことを意味する「差し当たり」、 十分ではないが一通りのことを意味する「一応」、急いですることを意味する「取り急ぎ」などがあります。
「ひとまず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今後のことは別にしてその時点で一区切りつけることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「ひとまず無事」とは、今後はどうなるかは分からないが今は無事で良かったという意味で使っています。また、例文5の「ひとまずお疲れ様でした」とは、今後のことは別にして一旦お疲れ様でしたという意味で使っています。
「とりあえず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他のことは差し置いてまず第一にやることを表現したい時などが挙げられます。
例文2の「とりあえず応急処置」とは、他ことは差し置いて処置や手当を行なうという意味で使っています。
「ひとまず」と「とりあえず」という言葉は、どちらも将来は分からないが今のところのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「ひとまず」は目上の人に対しても使える、「とりあえず」は目上の人に対しては使えないと覚えておきましょう。