【季節柄】と【時節柄】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「季節柄」(読み方:きせつがら)と「時節柄」(読み方:じせつがら)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「季節柄」と「時節柄」という言葉は、どちらも季節に応じることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




季節柄と時節柄の違い

季節柄と時節柄の意味の違い

季節柄と時節柄の違いを分かりやすく言うと、季節柄とは季節に関することを表し、時節柄とは季節だけでなく時勢も表すという違いです。

季節柄と時節柄の使い方の違い

一つ目の季節柄を使った分かりやすい例としては、「季節柄どうぞご自愛ください」「季節柄お疲れが出やすい時期かと存じます」「季節柄お風邪など召されませんよう」「季節柄、食べ物が傷みやすくなっております」などがあります。

二つ目の時節柄を使った分かりやすい例としては、「時節柄お体を大切になさってください」「お忙しい時節柄ご自愛ください」「コロナ禍の時節柄マスクと消毒が手放せない」「時節柄の装いで外出する」などがあります。

季節柄と時節柄の使い分け方

季節柄と時節柄という言葉は、手紙やメールの挨拶文に添えられ、季節にふさわしいことや季節に応じることを表す言葉です。

上記の例文の「季節柄お風邪など召されませんよう」とは、風邪が流行する冬に、相手の体を思いやる意味で用いられます。この文の「季節柄」は「時節柄」に置き換えることができます。

さらに、時節柄は、季節だけでなく、世の中の動きや時勢の意味も持っています。上記の例文の「コロナ禍の時節柄」は、季節に関係なく新型コロナウイルスが流行している状況を表すため、「時節柄」を「季節柄」に置き換えることはできません。

つまり、季節柄は季節に関する表現であり、時節柄は季節だけでなく時勢に関して表現できることが、二つの言葉の違いになります。

季節柄と時節柄の英語表記の違い

季節柄も時節柄も英語にすると「in these times」「in times likes these」「the season being what it is」となり、例えば上記の「季節柄ご自愛ください」を英語にすると「Please take care of yourself in these times」となります。

季節柄の意味

季節柄とは

季節柄とは、季節に応じて、季節にふさわしいことを意味しています。

季節柄の使い方

季節柄を使った分かりやすい例としては、「季節柄くれぐれもご自愛ください」「朝晩の寒暖差が厳しい季節柄ご自愛ください」「季節柄、海の幸が沢山入荷しています」「暑さ厳しい季節柄、体調など崩されませんよう」などがあります。

その他にも、「年賀状に季節柄ご自愛下さいと書き添えた」「季節柄お風邪など召されぬようお気を付けください」「季節柄マスクが売れています」「高温多湿の季節柄にぴったりの生地です」などがあります。

季節柄という言葉は、春夏秋冬の四季を表す「季節」と、そのものに備わっている性質や、それに相応することを表す「柄」が組み合わさった言葉です。季節柄とは、季節に応じること、季節にふさわしいことを意味する言葉です。

「季節柄ご自愛ください」の意味

季節柄を用いた言い回しには「季節柄ご自愛ください」があり、「この季節ですから、ご自分のお体を大事にしてください」のような意味になります。春夏秋冬どの季節でも、目上の人や誰に対しても使える便利な表現です。

「季節柄お体ご自愛ください」は誤り

ただし、「季節柄お体ご自愛ください」という表現は誤りです。「自愛」という言葉には身体に気をつけることの意味が含まれていますので、体という言葉を重ねて使わないようにしましょう。

季節柄の対義語

季節柄の対義語・反対語としては、その季節にふさわしい状態から外れていることを意味する「季節外れ」、季節外れで役に立たないことを意味する「寒に帷子土用に布子」などがあります。

季節柄の類語

季節柄の類語・類義語としては、その季節らしさを感じさせることを意味する「季節感」、四季折々の気候やその時々の陽気を意味する「時候」などがあります。

時節柄の意味

時節柄とは

時節柄とは、時節にふさわしいことを意味しています。

その他にも、時節が時節なので、の意味も持っています。

表現方法は「時節柄ご自愛ください」「時節柄の行事」「時節柄のお花」

「時節柄ご自愛ください」「時節柄の行事」「時節柄のお花」などが、時節柄を使った一般的な言い回しです。

時節柄の使い方

「時節柄の行事が中止になり寂しい限りだ」「時節柄の新茶を美味しく頂きました」「玄関に時節柄のお花を生けようとおもいます」などの文中で使われている時節柄は、「時節にふさわしいこと」の意味で使われています。

一方、「時節柄お早めにお召し上がりください」「時節柄くれぐれもご自愛くださいませ」「ご多忙の時節柄どうか体調に留意してください」などの文中で使われている時節柄は、「時節が時節なので」の意味で使われています。

時節柄とは、上記の例文にあるように二つの意味があり、「時節にふさわしいこと」の意味では名詞として、「時節が時節なので」の意味では副詞として使われています。

時節柄という言葉の「時節」とは、自然の移り変わりによって感じられる時分、いわゆる季節の意味と、その時の世の中の情勢や時勢の意味があります。そのため、時節柄とは、季節に関することだけでなく、世の中の動きや状況などに関しても表すことができる言葉なのです。

時節柄の対義語

時節柄の対義語・反対語としては、時候に合わないことを意味する「時候外れ」などがあります。

時節柄の類語

時節柄の類語・類義語としては、その物事にふさわしい折やちょうどよい折を意味する「折から」、その時分にふさわしいことや時機に相応していることを意味する「時分柄」などがあります。

季節柄の例文

1.冬から春に向けての挨拶文には「三寒四温の季節柄ご自愛ください」と書くようにしている。
2.季節柄、梅雨の寒さによりお風邪など召されませぬよう、ご自愛ください。
3.ネットショップでもクリスマスやハロウィンなどの季節柄のイベントを取り入れています。
4.10月の季節限定商品には、季節柄、栗を使ったお菓子がたくさん発売されます。
5.急な発熱で、季節柄インフルエンザを疑ったが、検査の結果は陰性であった。
6.ラジオをつけてみるとパーソナリティーが季節柄の夏休みの話題を出していたのだが、そういえば夏休みなんて学生の時以来意識したこともなかったことに気がついた。
7.海岸は季節柄人気は少なかったが、散歩する老夫婦や、ジョギングする若者、犬を連れている子どもたちなどがいて、それなりに自然を楽しんでいるようだった。
8.独り暮らしをはじめて気をつけていることと言えば、今であれば季節柄、食べ物も痛みやすいので、生物を避けてすべての食材に火を通すことにしている。
9.店員からこの綿毛布はひんやりとしていて、かつ通気性が優れいているので、高温多湿の季節柄にぴったりだとおすすめされたので衝動買いしてしまった。
10.6月というと季節柄湿った生暖かい空気が流れ込んでいて、体調はぜんぜん悪くないのに、気持ちの上で、何をするにも億劫になりがちであった。
11.12月ともなれば季節柄のイベントが目白押しだというのに、わたしはというと、研究論文の準備に忙殺されていて、ろくに食事もとっていないのだからね。

この言葉がよく使われる場面としては、季節に応じて、季節にふさわしいことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「三寒四温の季節柄」とは、寒い日が三日続いた後には四日ほど暖かい日が来るという冬の天候を表し、だんだん暖かくなって春が近いことを意味します。例文3から例文5の季節柄は、「その季節ならでは」の意味で使われています。

時節柄の例文

1.祖母の家の床の間には、いつも時節柄の掛け軸や生け花があり、すがすがしく感じられたものです。
2.父への年賀状に「時節柄くれぐれもご自愛のほど心よりお祈りいたします」と書き添えた。
3.時節柄ご多忙のこととおもいますが、くれぐれも体調を崩されませぬようご自愛ください。
4.時節柄インフルエンザなどに罹らないように健康に十分留意してお過ごしください。
5.新型コロナウイルス感染症の流行が長引いております、時節柄どうぞご自愛ください。
6.今年の会社の新年会は時節柄、一般的な会食が憚れる中で、オンライン上で飲み会が出来るかどうか幹事らの間でいろいろ話し合われていた。
7.恩師からの手紙には、我々の業界は今がちょうど繁忙期であることを知っておられたようで、時節柄ご自愛くださいとお気遣いのメッセージをいただいた。
8.ここ最近は何者かによる不審火が相次いでいるが、時節柄乾燥しているので、大火事にならないか住民はとても不安な夜を送っているようだった。
9.上司が作業場に入ってくると、「お得意様から時節柄の新茶と和菓子をいただいたので、みなさんも一旦お手を休めておやつにしましょう」と声をかけていた。
10.親戚の伯父さんからいただいたギフトは生菓子のようで、時節柄お早めにお召し上がりくださいと注意書きが書かれていたので、すぐに冷蔵庫に入れてしまった。
11.友達の母親は華道の先生をやっているので、家にお邪魔した時は部屋のあちこちに時節柄のお花が飾られていて、非常に美しかったのをよく覚えている。

この言葉がよく使われる場面としては、時節にふさわしいこと、時節が時節なのでを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある時節柄は、「時節にふさわしいこと」の意味で使われています。例文2から例文5にある時節柄は「時節が時節なので」という意味で副詞として使われています。例文5の時節柄は、新型コロナウイルス感染症が流行しているという世の中の状況について表現しています。

季節柄と時節柄という言葉は、どちらも季節にふさわしいことを意味します。さらに、時節柄には、世の中の動きや時勢に応じる、という意味もあることを覚えておきましょう。

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