似た意味を持つ「とりわけ」と「特に」(読み方:とくに)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「とりわけ」と「特に」という言葉は、どちらも他とは非常に異なっていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「とりわけ」と「特に」の違い
「とりわけ」と「特に」の意味の違い
「とりわけ」と「特に」の違いを分かりやすく言うと、「とりわけ」とは客観的判断を述べる場合に使う、「特に」とは主観的判断を述べる場合に使うという違いです。
「とりわけ」と「特に」の使い方の違い
一つ目の「とりわけ」を使った分かりやすい例としては、「今年の冬はとりわけ寒い」「スポーツの中ではとりわけ野球が好きです」「彼は同年代の選手の中でもとりわけ優れています」などがあります。
二つ目の「特に」を使った分かりやすい例としては、「今年の夏は特に暑かった」「今のところは特に問題はありません」「スポーツの中でも特にサッカーが好きです」「特に質問はありません」「大事な本だけど特にあなたにだけ貸してあげる」などがあります。
「とりわけ」と「特に」の使い分け方
「とりわけ」と「特に」はどちらも他とは非常に異なっていることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
「とりわけ」は、状態について用いて、意志的行為については用いない客観的判断を述べる場合に使う言葉になります。また、上記の「スポーツの中ではとりわけ野球が好きです」のように、全般にそうだが中でも特別という意味で使うことが多いです。
もう一方の「特に」は、状態だけではなく意志的行為についても用いるので、主観的な判断を述べる場合に使う言葉になります。また、「大事な本だけど特にあなたにだけ貸してあげる」のように、他と区別して特別に扱う場合にも使います。
「とりわけ」と「特に」は同じ意味を持つ言葉なので置き換えることも可能ですが、全てにおいて置き換えることはできません。
例えば、「スポーツの中ではとりわけ野球が好きです」のように、主観性の強い文章では「スポーツの中では特に野球が好きです」と置き換えることもできます。
しかし、「大事な本だけど特にあなたにだけ貸してあげる」のように、他と区別して特別に扱う場合は、「大事な本だけどとりわけあなたにだけ貸してあげる」とすることはできません。
「とりわけ」と「特に」の英語表記の違い
「とりわけ」も「特に」も英語にすると「above all」「particularly」「especially」となり、例えば上記の「今年の冬はとりわけ寒い」を英語にすると「This winter is especially cold」となります。
「とりわけ」の意味
「とりわけ」とは
「とりわけ」とは、他とは非常に異なっていることを意味しています。
「とりわけ」の使い方
「とりわけ」を使った分かりやすい例としては、「ここ最近の中でとりわけ涼しい」「花の中でもとりわけマリーゴールドが好きです」「彼女はとりわけ優秀な学生です」「今年はとりわけ雨が多い気がする」などがあります。
その他にも、「この案件はとりわけ難しい仕事なので頑張ろう」「彼は日本代表の中でもとりわけ優れている」「パスタの中でもとりわけカルボナーラが好きです」「あのチームのキャプテンはとりわけ打撃が上手だ」などがあります。
「とりわけ」は他とは非常に異なっていることを表現する言葉ですが、全般にそうだが中でも特別という意味で使うことがほとんどです。
「とりわけ」の由来
「とりわけ」は、同類のものの中でも特別なものとして別にすることを意味する「取り分ける」という動詞の連用形として生まれた言葉になります。
「とりわけ」の漢字表記
「とりわけ」を漢字にすると「取り分け」と表現することができます。
表現方法は「中でもとりわけ」「とりわけ好き」
「中でもとりわけ」「とりわけ好き」などが、「とりわけ」を使った一般的な言い回しになります。
「とりわけ」の類語
「とりわけ」の類語・類義語としては、他らはっきりと区別されていることを意味する「殊に」(読み方:ことに)、特にとりたてて言うほどではないことを意味する「別段」、その中でもということを意味する「就中」(読み方:なかんずく)などがあります。
「特に」の意味
「特に」とは
「特に」とは、普通と違って際立っていることや他からはっきりと区別されることを意味しています。
「特に」の使い方
「特に」を使った分かりやすい例としては、「この冬は特に寒かった」「今日の講義では特にテスト問題について話しました」「今のところ報告事項は特にありません」「五教科の中でも英語が特に好きです」などがあります。
その他にも、「特に変わった様子なかった」「彼はクラスの中でも特に親しい友人です」「今年は暑いので特に熱中症に気を付けてください」「このお店のまぐろは特にオススメです」などがあります。
「特に」は、普通と違って際立っていることや他からはっきりと区別されることの意味で、様々な場面で使うことが可能です。
表現方法は「特に好き」「特にない」
「特に好き」「特にない」などが、「特に」を使った一般的な言い回しになります。
「特に」の類語
「特に」の類語・類義語としては、物語の程度が甚だしいことを意味する「格段」、比べるとかなり違いがあることを意味する「一段」、特に際立っていることを意味する「殊更」(読み方:ことさら)、格段の違いがあることを意味する「格別」などがあります。
「特に」の特の字を使った別の言葉としては、普通ではないことを意味する「特異」、他のものとは違っていることを意味する「特殊」、他と比較して特別目立つ点のことを意味する「特徴」、他のものとは違っていることを意味する「特別」などがあります。
「とりわけ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては他とは非常に異なっていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、全般にそうだが中でも特別という意味で使うことが多いです。
「特に」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通と違って際立っていることや他からはっきりと区別されることを表現したい時などが挙げられます。
例文1は他からはっきりと区別されることの意味で使われています。
「とりわけ」と「特に」どちらを使うか迷った場合は、客観的判断を述べる場合は「とりわけ」を、主観的判断を述べる場合は「特に」を使うようにしましょう。