似た意味を持つ「建設的」(読み方:けんせつてき)と「生産的」(読み方:せいさんてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「建設的」と「生産的」という言葉は、どちらも物事や価値をつくり出すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
建設的と生産的の違い
建設的と生産的の意味の違い
建設的と生産的の違いを分かりやすく言うと、建設的とは前向きな姿勢を表し、生産的とは価値のある結果を生み出すことという違いです。
建設的と生産的の使い方の違い
一つ目の建設的を使った分かりやすい例としては、「建設的な提案を待っているよ」「君の態度は建設的でない」「会議では建設的な意見が多く出された」「SNSで建設的な議論は難しいと思うよ」などがあります。
二つ目の生産的を使った分かりやすい例としては、「もっと生産的な方法で進めて欲しい」「生産的労働と非生産的労働を分けて考える」「生産的で幸せな生活を送りたい」「非生産的行動は控えるように」などがあります。
建設的と生産的の使い分け方
建設的と生産的という言葉は、ビジネスシーンで使われ「建設的な議論」「生産的な議論」など似た表現をする言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
建設的とは、ある物事について良さを支持し、現状をより良くしていこうと積極的な態度でのぞむさまを意味します。「建設的な議論」とは、そこにいるメンバーが議論のテーマについて前向きな姿勢で取り組み、さらに良い解決案を出そうとする雰囲気のある議論のことです。
反対に、議論のテーマやお互いの意見を非難しあったりして、なかなか先に進まないような議論を「建設的でない議論」と言います。
生産的とは、物事を生み出したり、価値を作り出したり、発展を促すことを意味します。「生産的な議論」とは、何か成果物があるような議論や、価値のある結論が見込まれる議論のことです。反対に、無益で成果がない議論のことを「生産的でない議論」「非生産的な議論」と言います。
つまり、建設的は前向きな取り組み姿勢を表し、生産的は価値のある結果を生み出すことを表します。二つの言葉はどちらもポジティブな意味合いを持ちますが、建設的は取り組み姿勢に重きを置き、生産的は結果に重きを置く、という点で使い分ければ良いでしょう。
建設的と生産的の英語表記の違い
建設的を英語にすると「constructive」となり、例えば上記の「建設的な提案」を英語にすると「constructive suggestion」となります。一方、生産的を英語にすると「productive」となり、例えば上記の「生産的な方法で」を英語にすると「in a productive way」となります。
建設的の意味
建設的とは
建設的とは、現状をより良くしていこうと積極的な態度で臨むさまを意味しています。
表現方法は「建設的ではない」「建設的な話」「建設的な議論」
「建設的ではない」「建設的な話」「建設的な議論」「建設的な人」「建設的な行動」「建設的な提案」などが、建設的を使った一般的な言い回しです。
建設的の使い方
建設的を使った分かりやすい例としては、「もっと建設的に考えよう」「彼女なら建設的な意見を言ってくれるだろう」「建設的な提案をありがとう」「建設的な議論ができないクラスだ」などがあります。
その他にも、「今日の学級会では建設的な話し合いが出来た」「建設的な意見を出し合う場にしたい」「彼は建設的な人なので人望がある」「建設的な批判は大歓迎だけど、単なる非難は困るよ」などがあります。
建設的という言葉の「建設」とは、建物を新たに造ったり、新しい組織などを作り上げる時に使われます。建設的とは、物事を作りだすことの意味から、物事をより良くしていこうとする積極的な態度を意味する言葉です。
「建設的野党」の意味
建設的という言葉を用いた日本語には「建設的野党」があります。与党を批判するだけでなく、建設的な提言や議論を通じて、政策の実現に向けて柔軟に協力する立場をとる野党を意味します。
建設的の対義語
建設的の対義語・反対語としては、自分から進んで物事をしないさまを意味する「消極的」、自分の意志からでなく他に動かされてするさまを意味する「受動的」、物事を打ちこわそうとするさまを意味する「破壊的」などがあります。
建設的の類語
建設的の類語・類義語としては、物事を進んでするさまを意味する「積極的」、自分から他へ働きかけるさまを意味する「能動的」、物事を自分から進んで行うさまを意味する「自発的」などがあります。
生産的の意味
生産的とは
生産的とは、直接、生産にかかわるさまを意味しています。
その他にも、建設的で意義のあるさまの意味も持っています。
表現方法は「生産的ではない」「生産的じゃない」「生産的な趣味」
「生産的ではない」「生産的じゃない」「生産的な趣味」「生産的な人」などが、生産的を使った一般的な言い回しです。
生産的の使い方
「アダムスミスが生産的労働論を唱えた」「生産的労働者が増加した時代だった」「パン作りも生産的な趣味だろう」「生産的な仕事に就きたい」などの文中で使われている生産的は、「直接、生産にかかわるさま」の意味で使われています。
一方、「打ち合わせでは生産的な議論ができた」「今日は生産的な一日だった」「彼は生産的思考ができる人だ」「失敗を生産的失敗にする」「生産的活動を重視する」などの文中で使われている生産的は、「建設的で意義のあるさま」の意味で使われています。
生産的という言葉の「生産」とは、生活に必要な物資などをつくりだすことや、人間が自然に働きかけ財やサービスをつくりだす活動を意味します。生産的とは、自分から物を作り出すさま、有効な結果が期待されるさまを意味する言葉です。
「生産的思考」の意味
上記の例文にある「生産的思考」とは、心理学用語であり、既知の手段によらず新しい反応様式を獲得して課題を解決する過程を意味します。これに対する言葉には、課題場面において既知の手段が利用される過程を意味する「再生的思考」があります。
「生産的労働」「不生産的労働」の意味
生産という言葉を用いた日本語には「生産的労働」「不生産的労働」があります。人間の生活に必要な生産手段や生活資料を生産する労働が生産的労働であり、それ以外の労働を不生産的労働と言います。
生産的の対義語
生産的の対義語・反対語としては、価値のあるものや有意義なものを何も生み出さないさまを意味する「非生産的」、無駄な事や利益のないことを意味する「無益」、役に立たないことや使い道のないことを意味する「無用」、なんの進歩も成果も得られないことを意味する「不毛」などがあります。
生産的の類語
生産的の類語・類義語としては、あることをして得られたよい結果を意味する「成果」、何かをすることで得られた成果を意味する「収穫」、ためになることや利益があることを意味する「有益」、努力してよい結果を得ることを意味する「実り」などがあります。
建設的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を作りだし、また、より良くしていこうとする積極的なさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「建設的な提案」とは、現状をより良くしていこうという前向きな提案のことです。例文5にある「建設的な議論」とは、足の引っ張り合いのような論戦ではなく、目的に沿って問題解決のために議論することです。
生産的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分から物を作り出すさま、有効な結果が期待されるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある生産的は、自分から物を作り出すさまの意味で使われています。例文4や例文5の生産的は、有効な結果が期待されるさまの意味で使われています。例文4にある「生産的な人」とは、成果を得るために効率よく動ける人、良い結果を得ようと合理的に行動する人などを表します。
建設的と生産的という言葉は、似た表現をする言葉ですが意味は微妙に異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、前向きな取り組み姿勢を表現をしたい時は「建設的」を、価値のある結果を生み出すことを表現したい時は「生産的」を使うようにしましょう。