【整合性】と【一貫性】と【妥当性】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「整合性」(読み方:せいごうせい)と「一貫性」(読み方:いっかんせい)と「妥当性」(読み方:だとうせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「整合性」と「一貫性」と「妥当性」という言葉は、どれも正しさの度合いを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




整合性と一貫性と妥当性の違い

整合性と一貫性と妥当性の意味の違い

整合性と妥当性と一貫性の違いを分かりやすく言うと、整合性とは矛盾がないことで、一貫性とは物事の始めから終わりまで筋が通っていることで、妥当性とは理論や主張が現実に通用することという違いです。

整合性と一貫性と妥当性の使い分け方

整合性とは、矛盾がないことです。整合性とは「無矛盾性」(読み方:むむじゅんせい)の同義語です。例えばアルバイトの募集広告の見出しに、「週2日からOK」と書いてあるのに、詳細の欄に「週3日以上」と書いてあれば、この広告には「整合性がない」です。

次に、一貫性とは、話の始めから終わりまでが筋の通っていることです。例えば「分からないことは聞いてくれ」と言われたので質問をしたら、「そんなことは自分で考えることだ」と言ってくる人は、「一貫性のない」人です。

最後に、妥当性とは、理論や主張が現実に適合していることです。例えば「親の言うことを聞け」という主張は、一昔前であれば正しかったのですが、親だって間違えることはあると考えられている現代では、「妥当性がない」考え方です。

整合性の意味

整合性とは

整合性とは、矛盾がないことを意味しています。矛盾がないこととは、難しい言葉ですが「無矛盾性」(読み方:むむじゅんせい)といいます。整合性と無矛盾性は同義語です。

表現方法は「整合性を欠く」「整合性を図る」「整合性を保つ」

「整合性を欠く」「整合性を図る」「整合性を保つ」「整合性がとれない」「整合性がとれる」「整合性を持たせる」などが、整合性を使った一般的な言い回しです。

整合性の使い方

例えば「証言の整合性を取る」という使われ方をします。何か事件が起きて、究明のための手掛かりとなる証言がいくつも出てきた場合、相互に辻褄が取れているかを確認することが、「証言の整合性を取る」です。

このことから分かるように、「整合性がある」や「整合性がない」は、二つ以上の物事の内容の比較から判断されます。「一致」(読み方:いっち)と近い意味の言葉です。

「データの整合性」という言葉も昨今よく聞く言葉になりました。例えばオンラインショッピングでは複数人が同時に購入処理を試みることがありますが、その際に在庫データが乱れないようなシステム上の処理が施されている場合が多いです。

整合性の類語

整合性の類語・類義語としては、二つ以上のものがぴったりと一致することを意味する「合致」、二つのものが釣り合いをよく保つことを意味する「兼ね合い」、全体に釣り合いがとれていて整っていることを意味する「均整」などがあります。

一貫性の意味

一貫性とは

一貫性とは、物事の始めから終わりまで筋が通っていることを意味しています。

表現方法は「一貫性がない」「一貫性を持つ」「一貫性を保つ」

「一貫性がない」「一貫性を持つ」「一貫性を保つ」「一貫性を持たせる」などが、一貫性を使った一般的な言い回しです。

一貫性の使い方

例えば、以前と今とで真逆のことを言う人は、「一貫性のない」人だと判断されます。

一貫性とは、ある時点と別の時点の間で、発言や考え方などに矛盾がないことを意味します。先日は「寒い日に食べるアイスがおいしい」と言っていたのに、今日は「寒いからアイスは食べたくない」と言っていたら、発言に「一貫性がない」ことになります。

一貫性は、「矛盾」を意味するという点で、整合性と同義語の関係になります。ただし、一貫性は、「以前」や「今」といった時間の流れの中で辻褄が合うか合わないかを表現する時に使われます。

一貫性の類語

一貫性の類語・類義語としては、一つにまとめて組織化されていることを意味する「統一性」、個々の物が順序立っていて、全体として一つのまとまりを成していることを意味する「系統性」などがあります。

妥当性の意味

妥当性とは

妥当性とは、論理や主張が現実に通用することを意味しています。

表現方法は「妥当性を欠く」「妥当性に欠ける」「妥当性を検討する」

「妥当性を欠く」「妥当性に欠ける」「妥当性を検討する」「妥当性が低い」などが、妥当性を使った一般的な言い回しです。

妥当性の使い方

例えば医療といえば一般的には西洋医学の論理に基づいたものが考えられます。何故かといえば、西洋医学の方が東洋医学に比べて、治療効果として「妥当性が高い」と考えられているからです。

また、例えばインターネット上での個人の見解を述べた書き込みが炎上することがしばしばあります。書き込みを見た多くの人が「とんでもない」と思ったから炎上するのですが、言い方を変えると、書き込みの内容に「妥当性がない」と思われたから炎上するのです。

妥当性とは、論理や主張が現実に適合するかどうかで、「妥当性がある/高い」か「妥当性がない/低い」か判断されます。俗にいう正論とは妥当性がある考えのことで、屁理屈が妥当性のない考えのことと考えると分かりやすくなります。

妥当性の類語

妥当性の類語・類義語としては、文章や演説などで、人を納得させる力のことを意味する「説得力」、道理に適っていることを意味する「合理性」、論理や主張など、無理がなく適切であることを意味する「穏当さ」などがあります。

整合性の例文

1.事実との整合性を欠く主張に、非難の声が上げられた。
2.主人公の行動の整合性をとるのに苦労したと、作家のインタビューで読んだ。
3.実験で得られたデータと仮説との整合性の確保をどうするかが一番大切な点です。
4.我が社では、部署によって収支の計算方法が違うために、収支データの整合性に問題がある。
5.部長から聞かされた話は、事前に社長から聞いていたものとの整合性がとれないので今一つ信用ができない。
6.実験のデータと、そこから導き出された結論との間に整合性がないとみなされ、学会誌への論文の掲載は却下された。
7.シリーズ物のドラマでは、作者のミスなのか登場人物のキャラクターの整合性に矛盾が生じる場合があるが、それを語り合うのも楽しいものだ。

この言葉がよく使われる場面としては、二つの物事を比較して、矛盾があるかないかを表現したい時などが挙げられます。「辻褄」という言葉と意味が似ています。

例文2の「主人公の行動の整合性をとる」の場合、整合性の代わりに一貫性を使うことも出来ますが、その他の例文の場合は、一貫性に置き換えることは出来ないことに注意してみて下さい。

一貫性の例文

1.一貫性がなく支離滅裂な証言ばかりをするので、精神鑑定が必要だと判断された。
2.彼はいつも思い付きで話すから、一貫性がないんだよ。
3.そのブランドの商品のデザインには、一貫性が感じられる。
4.彼はまわりに流されやすくその場その場で考えがころころ変わるので、発言にももう少し一貫性を持った方がいいと思う。
5.あの先生が作るテストの傾向には一貫性があるので、範囲をきちんと勉強しておけばいい点数が取れるのは間違いない。
6.夫はお腹が空いたといっていたから食事を作ったのにやっぱりいらないといわれてその一貫性のなさに辟易している。
7.コンピューターというものはプログラムの命令と忠実な実行の繰り返しでまさに一貫性の賜物だと言える。

この言葉がよく使われる場面としては、最初から最後まで発言や態度などが一貫していることを表現したい時などが挙げられます。「首尾一貫」(読み方:しゅびいっかん)という言葉がありますが、「首尾」とは「初めから終わりまで」を意味します。

一貫性という言葉には、このように時間的な意味合いがあります。整合性が別々の物事を比較する言葉であるのに対して、一貫性は同一の人や物の別々の時点を比較する言葉です。

妥当性の例文

1.食品ロスを減らすための様々な案の妥当性を検討する。
2.検討の結果、妥当性が低いと判断されたため、その案は今回は見送られた。
3.彼の助言はいつも明らかに妥当性が高いので、とても貴重だ。
4.先方が契約内容を記した書類を送ってきたが、どうにも妥当性に欠けている項目が多いような気がする。
5.彼の話を改めて最初から聞かせてもらったが、彼が主張している理論にはまるっきり妥当性がない。
6.理想主義に傾倒するあまり、彼の主張は皆妥当性に欠けるものばかりで受け入れられることはなかった。
7.大手携帯キャリアの料金設定について政府は妥当性がないと考えており、度重なる値下げ要求をしている。

この言葉がよく使われる場面としては、理論や主張、意見や案などが実際に通用するかどうかを表現したい時などが挙げられます。「効果的かどうか」が「妥当性があるかないか」だと考えることが出来ます。

整合性や一貫性が物事を比較しているように、妥当性も論理や主張と現実を比較しています。現実を言い当てていたり、実際に効果的である場合に、「妥当性がある/高い」と言われます。

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