似た意味を持つ「袖の下」(読み方:そでのした)と「賄賂」(読み方:わいろ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「袖の下」と「賄賂」という言葉は、どちらも不正な目的で人に金品を贈ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「袖の下」と「賄賂」の違い
「袖の下」と「賄賂」の意味の違い
「袖の下」と「賄賂」の違いを分かりやすく言うと、「袖の下」とは俗な言い方、「賄賂」とは一般的な言い方という違いです。
「袖の下」と「賄賂」の使い方の違い
一つ目の「袖の下」を使った分かりやすい例としては、「取引先と契約を結ぶために袖の下を使う」「袖の下を握らせて出世を狙う」「袖の下を使うような人間にはなりたくありません」「彼女は袖の下を受け取ったことを認めた」などがあります。
二つ目の「賄賂」を使った分かりやすい例としては、「今話題の政治家は賄賂を受け取ったとして逮捕されました」「重役に賄賂を渡したものの聞き入れてもらえませんでした」「私は賄賂を受け取ることは絶対にありません」などがあります。
「袖の下」と「賄賂」の使い分け方
「袖の下」と「賄賂」はどちらも不正な目的で人に金品を贈ることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「袖の下」は俗な言い方なのに対して、「賄賂」は一般的な言い方という点です。
俗な言い方とは隠語に近いもので、隠語とは特定の社会や集団内でだけ通用する特殊な言い方のことを意味しています。現代社会において「賄賂」と直接言ってしまうと問題があるため、「袖の下」という俗な言い方をするようになりました。
また、「袖の下」の他に、「山吹色のお菓子」「黄金のお菓子」「鼻薬」なども「賄賂」を表す言葉です。
「袖の下」と「賄賂」の英語表記の違い
「袖の下」も「賄賂」も英語にすると「bribery」「bribe」「graft」となり、例えば上記の「彼女は袖の下を受け取ったことを認めた」を英語にすると「She admitted he had taken bribes」となります。
「袖の下」の意味
「袖の下」とは
「袖の下」とは、人目につかないように袖の下から品物や金銭を贈ることを意味しています。
「袖の下」の読み方
「袖の下」の読み方は「そでのした」です。誤って「そでのもと」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「袖の下をつかませる」「袖の下を送る」「袖の下を受け取る」
「袖の下をつかませる」「袖の下を送る」「袖の下を受け取る」「袖の下を使う」などが、「袖の下」を使った一般的な言い回しになります。
「袖の下」の使い方
「袖の下」を使った分かりやすい例としては、「彼は袖の下を使っていたことがバレて警察に逮捕されました」「彼女の袖の下を握らせようとしたが乗ってきませんでした」「彼は袖の下を使って口封じしようとしました」などがあります。
「袖の下」は人目につかないように袖の下から不正な品物や金銭を贈る場合に使う言葉です。そのため、マイナスなイメージでのみ使う言葉になります。
「袖の下」の由来
「袖の下」の由来は着物を着た時の袖です。着物は現代の洋服とは違い、袖下の部分に袂と呼ばれるゆったり袋上で物を入れることができます。その袂の中に金銭などを隠して、自分の袂の中から相手の袂の中にこっそりと入れていました。
この動作が転じて、人目につかないように袖の下から品物や金銭を贈ることを「袖の下」と言うようになったのです。
「袖の下」の類語
「袖の下」の類語・類義語としては、神への捧げ物や人に贈る金品のことを意味する「まいない」、ちょっとした賄賂のことを意味する「鼻薬」、取引などで事を上手く運ぶため表に出さないで支払う金銭のことを意味する「裏金」などがあります。
「賄賂」の意味
「賄賂」とは
「賄賂」とは、自分の利益になるよう取り計らってもらうなどの不正な目的で贈る金品のことを意味しています。その他にも、公務員または仲裁人の職務に関して授受される不法な報酬のことの意味も持っています。
表現方法は「賄賂を渡す」「賄賂を贈る」「賄賂を受け取る」
「賄賂を渡す」「賄賂を贈る」「賄賂を受け取る」「賄賂を使う」などが、「賄賂」を使った一般的な言い回しになります。
「賄賂」の使い方
「賄賂」を使った分かりやすい例としては、「賄賂を使って人を買収することを企む」「この件は賄賂を使って口止めすることにしました」「私が賄賂を受け取ることは絶対にありません」「賄賂を使って裏口入学するなんて絶対に許せません」などがあります。
「賄賂」は自分の利益になるよう取り計らってもらうなどの不正な目的で贈る金品のことと、公務員または仲裁人の職務に関して授受される不法な報酬のことの二つの意味を持つ言葉です。また、金品に限らず、遊興飲食の供応や名誉や地位の供与なども含んでいます。
したがって、「賄賂」はマイナスなイメージでしか使いません。
ではなぜ「賄賂」が悪いのかと言うと、公平性が失われるからです。選挙を例に挙げると、候補者がお金を差し上げますので私に投票してくださいと言っても問題ない世界だった場合、お金をたくさん渡すことができる候補者が当選します。
本来、議員は所属する党や候補者の公約や人物としての魅力などで選ぶはずですが、賄賂が合法となっている場合は、お金持ちが当選する世の中になってしまうのです。そうなると、社会とその全体の為に奉仕しなくてはならない公務員の定義から逸脱してしまいます。
「賄賂」の類語
「賄賂」の類語・類義語としては、賄賂のことを意味する「リベート」、賄賂を贈ることを意味する「贈賄」、賄賂を受け取ることを意味する「収賄」などがあります。
「袖の下」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人目につかないように袖の下から品物や金銭を贈ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「袖の下」はマイナスなイメージでのみ使う言葉です。
「賄賂」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の利益になるよう取り計らってもらうなどの不正な目的で贈る金品のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように「賄賂」はマイナスなイメージでのみ使う言葉です。
「袖の下」と「賄賂」はどちらも不正な目的で人に金品を贈ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、俗な言い方であるのが「袖の下」、一般的な言い方であるのが「賄賂」と覚えておきましょう。