似た意味を持つ「慢心」(読み方:まんしん)と「過信」(読み方:かしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「慢心」と「過信」という言葉は、どちらも「自信がある様子」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
慢心と過信の違い
慢心と過信の意味の違い
慢心と過信の違いを分かりやすく言うと、慢心とは自慢する気持ちを表し、過信とは実力を過大評価することを表すという違いです。
慢心と過信の使い方の違い
一つ目の慢心を使った分かりやすい例としては、「慢心することなく努力し続けます」「ヒューマンエラーの原因は慢心です」「私に慢心があったからと反省しています」「これに慢心せず今後も精進いたします」などがあります。
二つ目の過信を使った分かりやすい例としては、「自動ブレーキを過信する心が事故を招く」「ChatGPTへの過信は禁物ですよ」「根拠の無い過信はとても危険です」「過信しすぎず慎重に取り組もう」などがあります。
慢心と過信の使い分け方
慢心と過信という言葉、どちらも自分の能力や言動を信じて疑わない心を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
慢心とは、自分に自信があって他人に対して自分を自慢したい気持ちを意味します。調子に乗ってミスを招いたり、うぬぼれた心から他人を見下すニュアンスあり、基本的には悪い意味で使用される言葉です。
過信とは、自信があり過ぎること、能力や価値などを過大評価していることを意味します。過信という言葉も悪い意味で使われることが多く、過信していたために悪い結果を招いたという流れで使われる言葉です。
つまり、慢心は自慢する気持ちであり、過信は実力を過大評価することを表します。二つの言葉は似ているようで意味が違いますから、きちんと使い分けるようにしましょう。
慢心と過信の英語表記の違い
慢心を英語にすると「conceit」「pride」となり、例えば上記の「慢心する」を英語にすると「be conceited」となります。
一方、過信を英語にすると「overconfidence」「credulity」となり、例えば上記の「過信する」を英語にすると「be overconfident」となります。
慢心の意味
慢心とは
慢心とは、おごり高ぶること、自慢する気持ちを意味しています。
表現方法は「慢心は身を滅ぼす」「慢心を戒める」「慢心がある」
「慢心は身を滅ぼす」「慢心を戒める」「慢心がある」「慢心しない」などが、慢心を使った一般的な言い回しです。
慢心の使い方
慢心を使った分かりやすい例としては、「慢心から注意力が低下する」「慢心することなく英語力に磨きをかける」「慢心、環境の違いで両者に差がついたのだろう」「慢心は身を滅ぼすから常に謙虚でありたい」などがあります。
その他にも、「成功しても慢心することなく事に当たれ」「最も危険なものは人の心の慢心と油断です」「慢心せずして何が王か」「現状に慢心せず常にチャレンジしていこう」「慢心をしりぞけ正しい道を進む」などがあります。
慢心の「慢」は訓読みで「おごる」「あなどる」と読み、思い上がった振る舞いをすることや、相手を軽く見てばかにすることを表します。精神や心理状態を表す「心」と結びつき、慢心とは、いい気になること、おごり高ぶることを意味します。
慢心の語源や由来
慢心という言葉の語源は、仏教に由来します。仏教における煩悩の一つに「慢」があり、他人と比較して思い上がることを意味します。特に、仏教では七つの慢心を「七慢」と読んでいます。
ことわざ「慢心鼻を弾かる」の意味
慢心を用いたことわざには「慢心鼻を弾かる」(読み方:まんしんはなをはじかる)があります。「慢心鼻を弾かる」とは、おごり高ぶっていると、大恥をかくはめになるから注意すべきであることを意味します。
「慢心創意」は誤った表現
慢心を用いた誤った表現には「慢心創意」があります。正しくは「満身創痍」であり、からだ中が傷だらけになること、精神的にひどく痛めつけられていることを意味します。
慢心の対義語
慢心の対義語・反対語としては、自分を劣ったものとしていやしめることを意味する「卑下」、控え目でつつましいことを意味する「謙虚」などがあります。
慢心の類語
慢心の類語・類義語としては、自分に関係の深い物事を褒めて他人に誇ることを意味する「自慢」、すぐれていると思い上がって人を見下すことを意味する「高慢」、おごりたかぶって人を見下すことを意味する「傲慢」などがあります。
過信の意味
過信とは
過信とは、価値や力量などを実際よりも高くみて、信頼しすぎることを意味しています。
表現方法は「自分を過信」「相手を過信する」「過信の報い」
「自分を過信」「相手を過信する」「過信の報い」などが、過信を使った一般的な言い回しです。
過信の使い方
過信を使った分かりやすい例としては、「大丈夫だろうという過信があった」「自分は特殊詐欺にあわないと過信する」「思い込みや過信をせずに慎重に行動する」「あなたは実力を過信していますね」「娘の運動神経を過信しすぎていた」などがあります。
その他にも、「人工知能を過信するな」「帰国子女の友人は自分の英語力を過信している」「過信しないでください」「自分の身体能力を過信している高齢者が多い」「敗因は過信と慢心だろう」「今考えると過信があったと思う」「過信や軽率はあなたの弱点です」などがあります。
過信とは、信用あるいは信頼しすぎること、自信を持ちすぎることを意味します。特に、物事がうまくいっており、自分に対して自信を持ちすぎている様子を表すことが多い言葉です。過信の「過」は範囲や基準を超えること、「信」は信じて疑わないことを表します。
「過信しすぎる」の意味
上記の例文にある「過信しすぎる」という言い回しは、厳密にいえば「頭痛が痛い」のような重複表現になり、誤った日本語です。正しい日本語としての表現は「過信する」ですが、「過信しすぎる」は慣用的に広く使われています。
ことわざ「過信は禁物」の意味
過信を用いたことわざには「過信は禁物」があります。「過信は禁物」とは、価値や力量などを実際よりも高くみてはいけないことを意味します。「禁物」は、してはならない物事を表す熟語です。
過信の対義語
過信の対義語・反対語としては、信じないことや信用できないことを意味する「不信」、注意深くて軽々しく行動しないことを意味する「慎重」などがあります。
過信の類語
過信の類語・類義語としては、自分で自分の能力や価値などを信じることを意味する「自信」、誤って信じ込むことを意味する「誤信」、むやみやたらに信じることを意味する「盲信」、自分の腕前や力量に自信をもっているを意味する「腕に覚えがある」などがあります。
慢心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心の中で自分のことを自慢すること、うぬぼれを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、慢心の慣用的な言い回しには「慢心する」「慢心せず」「慢心がある」などがあります。例文4の「慢心は身を滅ぼす」とは、おごり高ぶる気持ちが自身の破滅を招くことを意味することわざです。
過信の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある物事や人物あるいは能力を信頼し過ぎることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、過信の慣用表現には「過信する」「過信しすぎる」「過信は禁物」があります。例文3の「過信しすぎる」は、同じ意味の言葉を重ねた二重表現ですが、習慣的に用いらてれいます。
慢心と過信という言葉は、どちらも「自身がある様子」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自慢する気持ちを表現したい時は「慢心」を、実力を過大評価することを表現したい時は「過信」を使うようにしましょう。