似た意味を持つ「急逝」(読み方:きゅうせい)と「逝去」(読み方:せいきょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「急逝」と「逝去」という言葉は、どちらも死ぬことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
急逝と逝去の違い
急逝と逝去の意味の違い
急逝と逝去の違いを分かりやすく言うと、急逝とは急に死ぬこと、逝去とは死ぬことの尊敬語という違いです。
急逝と逝去の使い方の違い
一つ目の急逝を使った分かりやすい例としては、「昨夜、祖父が心筋梗塞により急逝した」「急逝の報に驚く」「ご急逝されたとのお知らせに接する」「急逝した妻を偲ぶ」「急逝された家族の心のケアが大事です」などがあります。
二つ目の逝去を使った分かりやすい例としては、「恩師が癌により逝去したとの知らせが届いた」「理事長が闘病の甲斐なく逝去された」「取引先から逝去のお知らせメールが届く」「ご逝去の報に接し心から哀悼の意を捧げます」などがあります。
急逝と逝去の使い分け方
急逝と逝去という言葉は、どちらも人の死を表し、二つの言葉に共通する「逝」とは立ち去って帰らないことや、死ぬことを婉曲にいう語です。急逝と逝去という言葉は似た表現をしますが、意味が異なるため使い分けが必要です。
急逝とは、急に死ぬことや突然の死を意味します。死ぬことを予想できなかった人が急に死んでしまった時に用いられる言葉です。一方、逝去とは、他人の人の死の尊敬語です。突然の死かどうかに関わらず、死んだことを敬って表現するものです。
また、急逝は尊敬語ではないので身内に対して使えますが、逝去は尊敬語のため身内に対して使えません。これらが、急逝と逝去という言葉の明確な違いになります。
急逝と逝去の英語表記の違い
急逝を英語にすると「sudden death」となり、例えば上記の「心筋梗塞により急逝」を英語にすると「die suddenly of a heart attack」となります。一方、逝去を英語にすると「death」「demise」となり、例えば上記の「癌により逝去」を英語にすると「death from cancer」となります。
急逝の意味
急逝とは
急逝とは、急に死ぬこと、急死を意味しています。
表現方法は「若くして急逝」「急逝した」「急逝の知らせ」
「若くして急逝」「急逝した」「急逝の知らせ」などが、急逝を使った一般的な言い回しです。
急逝の使い方
急逝を使った分かりやすい例としては、「今日は若くして急逝した姉の命日だ」「大学時代の同窓生が急逝しました」「恩師が昨夜急逝したそうだ」「今朝、急逝の知らせが届く」「芸能人の急逝が続いた」などがあります。
その他にも、「ご急逝を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます」「若くして急逝したアイドルのファンでした」「弊社担当が急逝いたしました」「急逝の知らせに急ぎ返信する」「父が急逝したため新年の挨拶は控えさせて頂きます」などがあります。
急逝という言葉は、急に死ぬことを意味し、元気だった人が突然死んだり、病人や怪我人が容体が急変して死んだりするなど、死ぬことを予想できなかった人が急に死ぬ時に用いられています。亡くなるような年齢でもない若い人が亡くなった場合に用いられることが多い言葉です。
急逝は急死よりも改まった言い方
急に死ぬことを意味する言葉には「急死」という言葉もありますが、急逝は急死よりも改まった言い方です。そのため、会話で使われるよりも訃報などの文章中で使われることが多くあります。また、改まった言い方ですが尊敬語ではないため、自分の家族の死に対して使うことが出来ます。
急逝の類語
急逝の類語・類義語としては、突然死ぬことを意味する「頓死」、事故などにあったその時点ですぐさま死ぬことを意味する「即死」、死ぬことを意味する「御陀仏」、死ぬことや永眠を意味する「永逝」、息が絶えることを意味する「絶息」などがあります。
逝去の意味
逝去とは
逝去とは、敬っている人が死ぬことを意味しています。
逝去の読み方
逝去の読み方は「せいきょ」です。誤って「いきょ」と読まれることがありますので、注意しましょう。
表現方法は「ご逝去されましたので謹んで」「ご尊父様がご逝去されました」
「ご逝去されましたので謹んで」「ご尊父様がご逝去されました」などが、逝去を使った一般的な言い回しです。
逝去の使い方
逝去を使った分かりやすい例としては、「大学の教授が逝去された」「40歳の若さで逝去されました」「直木賞作家が逝去された」「逝去による社長交代の挨拶状を出す」「メールで逝去の知らせを受けた」などがあります。
その他にも、「ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申しあげます」「逝去の報に接し、 悲しみに暮れております」「名誉会長が逝去された」「前会長の逝去に伴い後任として就任しました」などがあります。
逝去という言葉は、人の死の尊敬語です。死んだ人への尊敬の念を表現する時に用いられる言葉であり、一般的に家族の死に対しては使いません。また、話し言葉よりも、改まったお悔やみの挨拶や弔電の中で使われています。
「ご逝去」は二重敬語のため誤用
逝去には尊敬の意が込められているため、「ご逝去」という表現は二重敬語のため誤用となりますが、お悔み文や弔電では「ご逝去」という表現が慣習的に容認されています。同様に「ご逝去された」の「された」も尊敬語であり、正しい日本語とはいえませんが、一般的に浸透している表現です。
逝去の対義語
逝去の対義語・反対語としては、人が生まれることを意味する「誕生」、生まれ出ることや生まれを意味する「出生」、人が生まれ出ることを意味する「生誕」、聖人・偉人・帝王などがこの世に生まれることを意味する「降誕」などがあります。
逝去の類語
逝去の類語・類義語としては、立派な死に方であることを意味する「大往生」、この世に別れを告げることを意味する「辞世」、命が絶えることや死ぬことを意味する「絶命」、身分のある人が死ぬことを意味する「卒去」、天皇や皇后を敬ってその死を意味する「崩御」などがあります。
急逝の例文
この言葉がよく使われる場面としては、急に死ぬこと、急死を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「薬石効なく急逝」とは、病気や疾患に対して色々な薬や治療法で手を尽くしたのに、叶わずに容体が急変して亡くなったことを表します。例文2にある「ご急逝を悼み」とは、突然の死を悲しく思う気持ちを表現しています。
逝去の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の死を敬って表現したい時などが挙げられます。
例文1は、逝去という言葉を用いたお悔み文の一例です。「ご逝去の報」とは、訃報の尊敬語になります。例文3や例文4のように、亡くなった人への尊敬の念を表す時に逝去という言葉が用いられています。
急逝と逝去という言葉はどちらも死ぬことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、突然に死ぬことを表現したい時は「急逝」を、人が死ぬことを敬って表現したい時は「逝去」を使うようにしましょう。