似た意味を持つ「不手際」(読み方:ふてぎわ)と「不備」(読み方:ふび)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不手際」と「不備」という言葉は、どちらもミスをすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不手際と不備の違い
不手際と不備の意味の違い
不手際と不備の違いを分かりやすく言うと、不手際とは対処の仕方や結果が悪いことを表し、不備とは不足していることを表すという違いです。
不手際と不備の使い方の違い
一つ目の不手際を使った分かりやすい例としては、「弊社の不手際をお詫び致します」「不手際によりご迷惑をお掛けしました」「不手際で申し訳ありません」「不手際をメールで謝罪する」などがあります。
二つ目の不備を使った分かりやすい例としては、「不備のある商品が届いた」「不備がございましたらご連絡ください」「内容に不備な点があった」「不備がある場合は受理できません」などがあります。
不手際と不備という言葉は、ミスをすることを表し、特にビジネスシーンで使われる言葉です。この二つの言葉は似た表現をするのですが、意味は異なるので使い方には注意が必要です。不手際は物事の処置の仕方や結果が良くないことを意味し、不備は必要なものが欠けていることを意味します。
「不手際をお詫びします」と「不備をお詫びします」の違い
上記の例の「不手際をお詫びします」とは、対応が不適切であったり失敗したことにより相手に迷惑をかけたことをお詫びすることを表します。これが「不備をお詫びします」になると、必要なものが不足したことにより迷惑をかけたことをお詫びすることを表します。
つまり、不手際は対処が良くなかったり出来が悪いことを表し、仕事の仕方や対応に関して使われることが多い言葉です。一方、不備は必要なものが不足していることを表し、物や書類に関して使われることが多い言葉です。これが、不手際と不備の明確な違いになります。
不手際と不備の英語表記の違い
不手際を英語にすると「clumsiness」「mismanagement」「mistake」となり、例えば上記の「不手際をお詫びする」を英語にすると「apologize for clumsiness」となります。
一方、不備を英語にすると「imperfection」「defectiveness」となり、例えば上記の「不備のある商品」を英語にすると「defective goods」となります。
不手際の意味
不手際とは
不手際とは、手際が悪いこと、物事の処置の仕方や結果が良くないことを意味しています。
表現方法は「不手際を起こす」「不手際がありましたら」「不手際にも関わらず」
「不手際を起こす」「不手際がありましたら」「不手際にも関わらず」などが、不手際を使った一般的な表現方法です。
不手際の使い方
不手際を使った分かりやすい例としては、「この度の不手際のお詫び状を書く」「部下の不手際により遅れが生じた」「不手際で支払日を間違えてしまった」「不手際が度重なり信頼を失う」などがあります。
その他にも、「今後はこのような不手際のないように」「不手際を起こさぬように準備する」「ご案内に不手際があり失礼しました」「自分のミスや不手際で仕事が増える」「役所の不手際で書類が届かなかった」などがあります。
不手際という言葉の「手際」とは、物事の処理の仕方を意味します。よって、不手際とは、物事の処置の仕方が適切でないこと、また、結果が良くないことを表します。不注意などによるミスを起こした時に表現する言葉なのですが、不手際は「ミス」や「失敗」よりもかしこまった表現になります。
そのため、不手際という言葉はビジネスシーンにおいて、顧客や取引先にお詫びを伝えたり、謝罪文やを書いたりする時に使われています。不手際はミス全般を表すので、ミスの内容について直接的表現を避けて遠回しな言い方をしたい時に、不手際を使うと良いでしょう。
不手際の類語
不手際の類語・類義語としては、あやまちややり損じを意味する「過誤」、不注意などによって生じたしくじりを意味する「過失」人に迷惑がかかるような不都合な行いをすることを意味する「不始末」などがあります。
不手際の際の字を使った別の言葉としては、物事がまさに行われようとするときを意味する「間際」、移り変わっていく状態の最後のところを意味する「際限」、人と人とが互いに付き合うことを意味する「交際」などがあります。
不備の意味
不備とは
不備とは、必要なものが完全にはそろっていないことを意味しています。
表現方法は「不備が多い」「不備がある」「不備がない」
「不備が多い」「不備がある」「不備がない」などが、不備を使った一般的な表現方法です。
不備の使い方
不備を使った分かりやすい例としては、「何か不備がありましたらご連絡ください」「防水設備に不備があるという瑕疵が発覚した」「記載不備のある契約書だった」「不備を特定し改善する」などがあります。
その他にも、「不備等がございましたらご指摘ください」「開示すべき重要な不備だ」「内部統制の不備に対応する」「不備のないように再確認すること」「不備事案を記録する」などがあります。
書類の記載不備の意味
不備という言葉の「備」とは、必要なものが備わることを意味します。よって、不備とは、必要なものが揃っていないこと、不足していることを表します。特に物や書類に関して使われる表現であり、上記の例の「記載不備」とは、書類に記載すべき内容が不足していること意味しています。
手紙の最後の結語としての不備
また、不備という言葉は、手紙の最後に書いて、文意が十分でないことを意味する結語にもなります。結語とは、手紙の末文にくる挨拶にあたるもので、よく使われてている結語には「敬具」があります。不備は、前文を省略する手紙に使われ、「前略」「草啓」などの頭語と組み合わせて使います。
不備の対義語
不備の対義語・反対語としては、必要なものが完全に備わっていることを意味する「完備」、必要な物や事柄を十分に備えていることを意味する「具備」、少しも欠けたところがないことを意味する「十全」などがあります。
不備の類語
不備の類語・類義語としては、必要な物事が欠けていることを意味する「欠如」、一部分が欠け落ちることを意味する「欠落」、十分でないところがあったりして完全でないことを意味する「不完全」などがあります。
不備の備の字を使った別の言葉としては、二つ以上の長所やとりえなどをあわせもつことを意味する「兼備」、いつも用意しておくことを意味する「常備」、前もって用意しておくことを意味する「予備」などがあります。
不手際の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の処置の仕方や結果が良くないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2のように、不手際という言葉は、ビジネスシーンにおいてお詫びや謝罪で使われる言葉です。例文3の「不手際がありましたら」とは、もしこちらにミスがあったら、ご迷惑をおかけするようなことがあったら、という仮に不手際があった場合を表現しています。
不備の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必要なものが完全にはそろっていないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4のように、不備という言葉は、書類の記載内容が不足している場合に使われることが多い言葉です。例文5では、アパートの設備などに不足があるという意味で不備が使われています。ここでの不備は設備が不足していること、不具合は状態や調子が良くないことを意味します。
不手際と不備という言葉は、どちらもミスすることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、対処の仕方や結果が悪いことを表現したい時は「不手際」を、不足していることを表現したい時は「不備」を使うようにしましょう。