似た意味を持つ「位置」(読み方:いち)と「場所」(読み方:ばしょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「位置」と「場所」という言葉は、どちらも「人や物がある所」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
位置と場所の違い
位置と場所の意味の違い
位置と場所の違いを分かりやすく言うと、位置とは相対的な配置を表し、場所とは絶対的な所在地を表すという違いです。
位置と場所の使い方の違い
一つ目の位置を使った分かりやすい例としては、「カーソル位置がおかしいので調整しました」「新作の位置情報ゲームをダウンロードする」「提出書類に使える位置図を作成する」「物体のエネルギーには位置エネルギーと運動エネルギーがあります」などがあります。
二つ目の場所を使った分かりやすい例としては、「火事のあった場所を見に行く」「英語力を活かせる場所で働きたい」「赤ちゃんの場所見知りはいつまで続きますか」「場所打ちコンクリート杭工法を採用します」などがあります。
位置と場所の使い分け方
位置と場所という言葉は、どちらも人や物がある所や地点を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
位置とは、物がある所や物があるべき所を意味します。「沖ノ鳥島は日本の最南端に位置する」のような使い方で、全体または他との関係で占める相対的な場所を表す言葉です。スマートフォンの位置情報は、衛星からの電波をキャッチすることで現在地を割り出しています。
場所とは、何かが存在したり行われたりする所や特定の地域を意味します。「場所見知り」のような使い方で、ある特定の地点やエリアを指す言葉です。また、「場所取り」のような使い方で、必要とする広さの意味で使用されることもあります。
つまり、位置とは他との関係で占める相対的な配置のニュアンスがあり、場所とは何かが存在する絶対的な所在地のニュアンスが強い言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
位置と場所の英語表記の違い
位置を英語にすると「location」「site」「position」となり、例えば上記の「カーソル位置」を英語にすると「the cursor position」となります。
一方、場所を英語にすると「place」「spot」「scene」となり、例えば上記の「火事のあった場所」を英語にすると「the scene of a fire」となります。
位置の意味
位置とは
位置とは、物がある所、物があるべき場所、また、ある場所を占めることを意味しています。
その他にも、「物事が全体の中で占める場所」「人が置かれている状態、境遇、立場」の意味も持っています。
位置の使い方
「おすすめの位置情報アプリを教えてください」「家族で位置情報共有アプリを利用しています」「私道と位置指定道路の違いがわかりません」などの文中で使われている位置は、「ものがある所、ある場所を占めること」の意味で使われています。
一方、「沖縄県は安全保障上きわめて重要な位置にある」の文中で使われている位置は「全体の中で占める場所」の意味で、「苦しい位置に追い込まれてしまった」などの文中で使われている位置は「人が置かれている境遇」の意味で使われています。
位置とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。位置の「位」は物の置かれた場所や立場、官職などにおける地位や身分を表し、「置」は一定の場所に据えることを表す漢字です。
「位置指定道路」の意味
位置を用いた日本語には「位置指定道路」があります。位置指定道路とはわかりやすく言うと、建築基準法上の道路としての認定を受けた私道のことです。位置指定道路に面する土地では、建築物を建築することができます。
位置の類語
位置の類語・類義語としては、存在している場所や人や物の占めている位置を意味する「地位」、身分の上下関係や階級を意味する「位」、地位や役職を意味する「ポスト」、位置や地位あるいは部署を意味する「ポジション」があります。
場所の意味
場所とは
場所とは、何かが存在したり行われたりする所、ある広がりをもった土地を意味しています。
その他にも、「人がいる所、また、物が占めるために要する広さ」「相撲の興行をする所、また、その期間」の意味も持っています。
場所の読み方
場所の読み方は「ばしょ」です。誤って「ばどころ」「じょうしょ」などと読まないようにしましょう。
場所の使い方
「場所打ち杭の施工手順を確認する」「韓国語を話せる場所を探しています」「場所請負制は蝦夷地の経済の根幹となっていました」「リフレッシュできる場所はいつも旅先だった」の文中で使われている場所は、「存在したり行われたりする所、土地」の意味で使われています。
一方、「部屋は寝る場所もないほど散らかっている」の文中で使われている場所は「物が占めるために要する広さ」の意味で、「大相撲夏場所の番付が発表されました」の文中で使われている場所は「相撲の興行をする期間」の意味で使われています。
場所とは、上記例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。場所の「場」は何かが行われる所を表し、「所」は物や事がある広さをもった位置を表します。
「場所見知り」の意味
場所を用いた日本語には「場所見知り」があります。赤ちゃんや子どもが知らない場所に戸惑って嫌がったり、泣き出したりする状態を意味します。いつまで続くかは個人差があり、大人になっても不慣れな場所は苦手だという人もいます。
場所の類語
場所の類語・類義語としては、問題になっているその場所を意味する「箇所」、空間的な場所や人や物が存在する場所を意味する「所」、区切られた一定範囲の場所を意味する「区域」、地上の一定の場所を意味する「地点」などがあります。
位置の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、人や事柄などが他との関係で占める場所、置かれるべき場所、ある場所を占めること、人の地位や立場を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「位置情報」とは、GPSを利用して割り出される現在地の情報を意味します。例文5の「立ち位置」とは、 周囲の状況の中でその人が取る立場を意味します。
場所の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、ある物事が存在したり行なわれたりするところ、占める位置、相撲の興行をする所または一定の期間を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「初場所」とは、毎年一月に東京の国技館で興行する本場所の大相撲を意味します。「一月場所」とも言います。
位置と場所という言葉は、どちらも「人や物がある所」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相対的な配置を表現したい時は「位置」を、絶対的な所在地を表現したい時は「場所」を使うようにしましょう。