【利用】と【使用】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「利用」(読み方:りよう)と「使用」(読み方:しよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「利用」と「使用」という言葉は、どちらも何かを用いるという意味を持つという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




利用と使用の違い

利用と使用の意味の違い

利用と使用の違いを分かりやすく言うと、役に立つように上手く性能を活用して使うことを「利用」と呼び、人や物をただ使うことを「使用」と呼ぶという違いです。

利用と使用の意味の使い分け方

利用と使用の両方に使われている「用」という字は、使う、使い道、働き、効き目などの意味を持つ言葉です。これに「利」という字を付けると「利用」、「使」という字を付けると「使用」となります。

利用と使用は、辞書で調べても類語として分類されていることが多くあります。ほとんど同じ意味を持つ言葉ですが、利用という言葉は、使用という言葉よりも細かい意味を持つものです。

「利用」というのは、「便利」や「利口」の「利」という字を使っています。何かを用いる時に、便利に使ったり、その物の性能や機能、役割を十分に生かして使っている場合に「利用」という言葉を使います。

一方の「使用」というのは、「使う」という言葉に、用いると書きます。これは、ただ単純に「使うために用いる」という意味の言葉です。人や物、場所などを使う場合に「使用」という言葉を使います。

また、「利用」という言葉は、心理的な手段を使う際にも使える言葉です。自分の立場や権力、人間の感情などを上手く用いることを「利用する」と表現します。

例えば「彼は教授という立場を利用して」「彼のお人好しな性格を利用して」などのように使われるものです。このように、心情や心理に訴えかけるような方法で感情をうまく使うことも「利用」と表現します。

これらの言葉を、「使用」という単語で言い換えることは出来ません。「教授という立場を使用して」や「お人好しな性格を使用して」という表現では違和感があります。

反対に「使用」という言葉を使っている場合には、それらの言葉を「利用」という言葉で言い換えることが出来る場合が多いものであると覚えておくようにしましょう。使用よりも利用という言葉の方が、広い範囲で使える言葉であると言うことです。

例えば「会議室を使用する」という言葉を「会議室を利用する」と言い換えても違和感はありません。

「利用」と「使用」の使い分けで迷った場合には、きちんと性能などを活用して使う場合には「利用」として、ただ単純に物や人を使う場合には「使用」と表現するようにしましょう。

それでもどちらを使うか迷う場合には、使用よりも広い範囲で使える「利用」とする方が間違いが少なく済むので良いでしょう。

利用の意味

利用とは

利用とは、物や人、場所などを、その性能や機能を十分に活用した状態で使うことを意味しています。または、心理的な手段として何かを使う場合にも利用という言葉を用います。これは、立場や心情を都合よく使う場合に「利用する」と表現するものです。

利用の語源

利用の「利」という字は、鋭い、よく切れる、賢い、役に立つ、都合が良いなどの意味を持つ漢字です。「便利」や「利口」、「権利」や「利発」という言葉を思い浮かべるとその意味が分かりやすくなります。

利用の「用」という字は、違いの項目でも記載した通り「使う」「働き」などの意味を持つ言葉です。つまり、利用というのは「賢く使う」「都合よく働く」というような意味を持つ言葉であると言えます。

利用の活用シーン

利用という言葉を使う際には、物や人、場所などの施設を有効に使うことを表現する他に、人の心理や心情、感情などを都合よく使う場面などでも用いられることがあります。

権力や権威などの立場を利用したり、相手の気持ちをわかった上で都合よく利用したりする場合などが挙げられます。これらの表現で使われる「利用」という言葉は、あまり良い意味ではありません。使用する際には、注意をするようにしましょう。

表現方法は「利用する」「利用者」「ご利用」

「利用する」「利用者」「ご利用」などが、利用を使った一般的な言い回しです。

利用の使い方

利用を使った分かりやすい例としては、「このサービスを利用するには事前登録が必要となります」「施設を利用する前にお電話をお願いいたします」「近年新幹線の利用者が減ってきている」「この度はご利用していただきありがとうございました」などがあります。

利用の類語

利用の類語・類義語としては、悪い目的で利用することを意味する「悪用」、能力を活かして用いることを意味する「活用」などがあります。

利用の「利」という字を使った単語としては、生まれつき賢いことを意味する「利根」、功績や利益を上げることを意味する「功利」、得することと損することを意味する「利害」などがあります。

使用の意味

使用とは

使用とは、物や人、場所などを単純にただ使うことを意味しています。使用という言葉は、利用とは違い、ただ使うことを意味する言葉です。性能や機能を活用して使っているのかどうかは関係ありません。

使用の語源

使用の「使」という字は、用いる、使う、さしむける、などの意味を持つ漢字です。「使途」や「行使」、「使者」や「勅使」という言葉を思い浮かべるとその意味が分かりやすくなります。

使用の「用」という字は「使う」などの意味を持つものですから、使用という言葉は「用いて使う」というような意味を持つ言葉であると言えます。「用いる」も「使う」も、ほとんど同じ意味を持つ言葉です。

このように、使用という言葉には、利用という言葉と違って、賢く使うというような意味が含まれていません。そのため、利用と使用は類語ですが、「利用」という言葉を「使用」という言葉で言い換えることは出来ない場合があります。

例えば、「彼は自分の特権を利用している」という文章を「彼は自分の特権を使用している」と言い換えてしまうと、少し違和感があります。大まかな意味は伝わるかもしれませんが、細かい部分の意味合いが伝わりきらないことがあります。

反対に「使用する」という言葉は、そのほとんどが「利用する」という言葉で言い換えることが出来るものです。例えば「私は勉強をするのに図書館を使用している」という文章を「図書館を利用している」と言い換えても不自然ではありません。

表現方法は「使用する」「使用用途」「使用中」「使用禁止」

「使用する」「使用した」「使用用途」「使用中」「使用禁止」などが、使用を使った一般的な言い回しです。

使用の使い方

使用を使った分かりやすい例としては、「使用する場合は手順書をあわせてご確認ください」「職場のトイレがいつも使用中で困っている」「猛暑のために全ての遊具が使用禁止となっている」などがあります。

使用の類語

使用の類語・類義語としては、知識を実際に当てはめることを意味する「応用」、目的に当てはめて使用することを意味する「施用」などがあります。

使用の「使」という字を使った単語としては、権利や権力また非常手段を実際に使うことを意味する「行使」、自由自在に使いこなすことを意味する「駆使」、人を使って何かをさせることを意味する「使役」などがあります。

利用の例文

1.休日を利用して、近場の温泉に行くことにした。
2.彼は委員長であるという特権を利用して、都合の良い決まりばかり作る。
3.彼女の優しさを利用するなんて、君は酷い人だね。
4.私はいつも地下鉄を利用して出勤している。
5.この施設は、年間5000人が利用しています。
6.知人の口車に乗せられ買った高額商品を返品しようとお客様センターに電話したところ、「この電話番号は現在利用されておりません」とガイダンスが流れ、初めて騙された事に気付いた。
7.この駐車場の利用者数は近隣の駐車場と比べても格段に多いが、駐車マナーの悪い客も多く、掃除や修理、メンテナンスを考えると一概に儲けが多いとも言えない。
8.上司から昇進も夢じゃないとおだてられたが、結局私は上司の昇進のために利用されただけなのかもしれない。
9.ペッドボトルはリサイクル工場で処理された後ふたたび卵パックや繊維製品になるなど再利用率が高いので、環境にも優しい。
10.上司からいただいた焼酎の瓶があまりにも美しくて捨てるのがもったいなかったので、今は花瓶として再利用している。

この言葉がよく使われる場面としては、物事や人、場所などを上手に活用して使うことを表現したい時などが挙げられます。または、立場や権利、人の心情などを使って、都合よく物事を進めようとする時なども挙げられます。

利用という言葉は、「賢く使う」というプラスの意味で使われる場合と、「ずる賢く物事を進める」というマイナスの意味で使われる場合と、その両方が考えられる言葉です。

前後の文脈によっては、他者を傷つけてしまう恐れもあります。この言葉を使う際には、不必要に相手を傷つけるようなことのないように注意をするようにしましょう。

使用の例文

1.このトイレは、誰でも使用することが出来ます。
2.昼休みの後に会議をするから、会議室の使用許可を取っておいてください。
3.今回のテストでは、辞書の使用が許されています。
4.冬は電気の使用量が、どうしても夏より多くなってしまう。
5.このケーキは隠し味に洋酒を使用しているから、子供に食べさせてはいけないよ。
6.美術館では写真撮影OKの所もあるが、例えOKでもフラッシュの使用は禁止している場合もあるので注意が必要だ。
7.安全に作られたおもちゃを使用用途以外で使って怪我をして、「ほら、これは安全じゃない」と言われたら、それはもう悪質なクレーマーの類だ。
8.自分がほしい商品であっても商品レビューをみたり、使用レポートをみたりしてよく調べてから買うかどうか決めている。
9.会社でいつも使っているコーヒーメーカーが目詰まりを起こしてしまったようで使用禁止の張り紙が貼られていた。
10.中古品を扱うリサイクルショップで未使用品を売っていることがあるが、きっとどこかのお店の売れ残りを大量に買い取ったに違いない。

この言葉がよく使われる場面としては、物や人、場所などを単純にただ使うということを表現したい時などが挙げられます。使用という言葉は、利用という言葉でも言い換えることが出来る場合が多いものです。

上記の例文で見ても、「使用」という言葉を「利用」という言葉で言い換えても不自然ではない場合が多いことがわかります。

利用と使用、どちらの表現を使ったら良いのか迷った場合には「利用」という言葉を使った方が意味合いが通じる場合が多いと覚えておくようにしましょう。

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