似た意味を持つ「寡占」(読み方:かせん)と「独占」(読み方:どくせん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「寡占」と「独占」という言葉は、どちらも経済用語で「市場を支配すること」を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
寡占と独占の違い
寡占と独占の意味の違い
寡占と独占の違いを分かりやすく言うと、寡占とは少数の企業で支配すること、独占とは一つの企業が支配することという違いです。
寡占と独占の使い方の違い
一つ目の寡占を使った分かりやすい例としては、「寡占市場での価格変動は少ないものです」「寡占化市場のデメリットを考える」「携帯電話の市場は寡占状態にある」「4社で寡占している状況が続いている」などがあります。
二つ目の独占を使った分かりやすい例としては、「日本には完全な独占企業は存在しません」「独占禁止法の規制内容を確認する」「独占市場において価格支配力を持つ」「富と権力を独占する」「私は独占欲が強い方です」などがあります。
「寡占市場」と「独占市場」の違い
寡占と独占という言葉は、どちらも経済用語で用いられ「寡占市場」「独占市場」など似た表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。
寡占とは、少数の企業が生産や市場を支配している状態を意味します。「寡占市場」とは、ある商品やサービスに関わる市場が、少数の売り手に支配されている状態のことです。例えば、日本の携帯電話業界は大手数社が大きなシェアを占めており、寡占市場と言えます。
独占とは「ひとりじめすること」が原義であり、経済においては、特定の資本が市場を支配し、利益を占有することを意味します。「独占市場」とは、ある商品やサービスに関わる市場が、一つの企業に支配されている状態のことです。
寡占と独占の英語表記の違い
寡占を英語にすると「oligopoly」となり、例えば上記の「寡占市場」を英語にすると「an oligopoly market」となります。
一方、独占を英語にすると「monopoly」「exclusive possession」となり、例えば上記の「独占企業」を英語にすると「a monopolistic enterprise」となります。
寡占の意味
寡占とは
寡占とは、少数の供給者が市場を支配している状態を意味しています。
寡占の使い方
寡占を使った分かりやすい例としては、「寡占市場では価格競争は弱まるだろう」「売り手寡占のマーケットだ」「寡占的インフラを拡張すべきです」「寡占的企業組織間において摩擦が生じる」「寡占的反応論に当てはまる事例です」などがあります。
その他にも、「食品スーパー業界も寡占化が進んでいる」「寡占価格は硬直化しやすい」「寡占企業の例を挙げてください」「鶏卵市場は寡占的市場を形成している」「寡占的な市場支配力を規制する」などがあります。
寡占という言葉の「寡」とは訓読みで「すくない」と読み、わずかしかないことを表します。「占」とは物や場所を自分のものにすることを表します。寡占とは、少数の大企業によって市場が支配されている状態を意味する言葉であり、主に経済用語として使われています。
「売り手寡占」「買い手寡占」「双方寡占」の意味
売り手側が少数の場合を「売り手寡占」、買い手側が少数の場合を「買い手寡占」と言い、両者とも少数の場合を「双方寡占」と言います。
「寡占価格」の意味
上記の例文にある「寡占価格」とは、少数の企業が、市場支配力によって高めに維持している価格を意味します。寡占価格は概して硬直的であり、特に価格が一度設定されると、その水準より下がることが難しくなると言われています。
「ガリバー型寡占」の意味
寡占という言葉を用いた日本語には「ガリバー型寡占」があります。寡占市場において一社または数社の市場シェアが圧倒的に高く、他の企業との格差がきわめて大きい状況を表す言葉です。
表現方法は「寡占業界」「寡占化」「寡占が進む」
上記以外では「寡占業界」「寡占化」「寡占が進む」などが、寡占を使った一般的な言い回しです。
寡占の対義語
寡占の対義語・反対語としては、多くの物が乱雑に立ち並ぶことを意味する「乱立」、同じような実力や勢力をもつ者が互いに対立して争っていることを意味する「群雄割拠」などがあります。
寡占の類語
寡占の類語・類義語としては、少数者が権力を握って行う独裁的な政治形態を意味する「寡頭制」、二社が市場を支配している状態を意味する「複占」、三社以上が市場を支配している状態を意味する「多占」などがあります。
独占の意味
独占とは
独占とは、自分ひとりだけのものにすることを意味しています。
その他にも、「特定の資本が他の競争者を排除し、生産と市場を支配している状態」の意味も持っています。
独占の使い方
「弟はテレビを独占している」「独占欲を掻き立てられる」「好きな彼から独占されたい」「独占欲診断によると独占欲が強い方です」などの文中で使われている独占は、「自分ひとりだけのものにすること」の意味で使われています。
一方、「独占禁止法に抵触するものではない」「独占禁止法に対する違反行為です」「独占市場において価格規制は必要だろう」「独占的競争の講義を聴く」などの文中で使われている独占は、「特定の資本が生産と市場を支配している状態」の意味で使われています。
独占という言葉は、一般的には「自分ひとりだけのものにすること」の意味で用いらています。また、経済や市場の状態を表す時に、「少数の企業が、特定商品の生産や販売の大半を支配すること」を意味する言葉です。
「独占欲」の意味
上記の例文にある「独占欲」とは、ある物や人を独り占めしたいという欲求を意味します。特に、恋愛が絡む男女間で生じる感情を言う場合が多くあります。
「独占禁止法」の意味
独占という言葉を用いた日本語には「独占禁止法」があります。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の略称であり、企業間の自由競争を維持することで、市場の健全な発展と消費者利益の保護を目的とする法律のことです。
表現方法は「独占企業」「独占配信」「独占する」
「独占企業」「独占配信」「独占する」などが、独占を使った一般的な言い回しです。
独占の対義語
独占の対義語・反対語としては、一つの物を二人以上が共同で持つことを意味する「共有」、一つのものをいくつかに分けて所有することを意味する「分有」などがあります。
独占の類語
独占の類語・類義語としては、ひとりだけで所有することを意味する「専有」、自分または自分たちだけのものにすることを意味する「独り占め」、残さずにすっかり取ることを意味する「丸取り」などがあります。
寡占の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少数の大企業によって市場が支配されている状態を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「寡占化」とは、特定の領域を少数のものだけで独占するようになることを意味する言葉です。例文5の「寡占的」とは、あす産業部門で無数の事業者が存在してはいるが、トップ数社だけで市場シェアのほぼ全てを占めてしまうような状況を意味します。
独占の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人を排して自分ひとりだけのものにすること、経済において特定の資本が他の競争者を排除して市場を支配しすることを表現したい時などが挙げられます。
例文1の独占は「自分ひとりだけのものにすること」の意味で用いられています。例文4にある「独占企業」とは、当該産業部門で生産、販売などを一社で独占している企業を意味します。
寡占と独占という言葉は、どちらも経済用語で市場を支配することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、少数の企業で支配することを表現したい時は「寡占」を、一つの企業が支配することを表現したい時は「独占」を使うようにしましょう。