似た意味を持つ「永久」(読み方:えいきゅう)と「永遠」(読み方:えいえん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「永久」と「永遠」という言葉は、どちらも「いつまでも続くさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
永久と永遠の違い
永久と永遠の意味の違い
永久と永遠の違いを分かりやすく言うと、永久とは目に見えるものに使われることが多い言葉、永遠とは目に見えないものに使われることが多い言葉という違いです。
永久と永遠の使い方の違い
一つ目の永久を使った分かりやすい例としては、「永久歯はいつから生え始めますか」「メンズ永久脱毛の値段を調べています」「永久機関ができたらエネルギー問題が解決するだろう」「ツンドラの大地の下に永久凍土がある」などがあります。
二つ目の永遠を使った分かりやすい例としては、「教会で永遠の愛を誓いました」「永遠に思い出に残るような出来事でした」「彼の功績は永遠に記憶されるだろう」「永遠の平和を築くことはできないのだろうか」などがあります。
永久と永遠の使い分け方
永久と永遠という言葉は、どちらも果てしなくいつまでも続く様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
永久とは、いつまでも限りなく続くこと、ある状態が時間的に際限なく続くことを意味します。「永久歯」「永久凍土」のような使い方で、目に見えるような物質的あるいは具現的なものに使用されることが多い言葉です。
永遠とは、いつまでも果てしなく続くこと、遠い未来まで時間的持続の際限のないことを意味します。「永遠の愛」「永遠の平和」のような使い方で、目に見えない概念的あるいは抽象的なものに使用されることが多くある言葉です。
つまり、永久とは目に見える物質的なものに用いられ、永遠とは目に見えない概念的なものに使用される傾向があります。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
永久と永遠の英語表記の違い
永久も永遠も英語にすると「permanent」「eternity」「perpetuity」となり、例えば上記の「永久歯」を英語にすると「permanent tooth」となります。
永久の意味
永久とは
永久とは、いつまでも限りなく続くこと、そのさまを意味しています。
永久の読み方
永久の読み方は「えいきゅう」の他に「とわ」とも読みますが、一般的には「えいきゅう」と読まれています。
永久の使い方
永久を使った分かりやすい例としては、「永久磁石の仕組みを分かりやすく解説します」「永久凍土層から未知のウイルスが発見されました」「永久不滅ポイントの交換方法を確認する」などがあります。
その他にも、「永久機関は原理的に不可能です」「永久気管孔をつくる手術を行う」「自宅で永久脱毛できる家庭用脱毛器を買いました」「イチローの背番号51は永久欠番になりました」などがあります。
永久の「永」は訓読みで「ながい」「とこしえ」と読み、時間が長く続くことや久しいことを表し、「久」は訓読みで「ひさしい」と読み、時間が長いことを表す漢字です。永久とは、物事が長い間続くこと、ある状態が時間的に無限に続くことを意味します。
表現方法は「永久機関」
永久を用いた日本語には「永久機関」があります。永久機関とは、永久に仕事をし続けることができるという架空の動力機関を意味します。エネルギーの供給を受けないで仕事をし続ける第一種永久機関と、熱源から得たエネルギーを他の形に転換する第二種永久機関があります。
永久の対義語
永久の対義語・反対語としては、一度またたきをするほどのわずかな時間を意味する「一瞬」、少しの間だけを意味する「一時的」などがあります。
永久の類語
永久の類語・類義語としては、ある状態が永く変わらないことを意味する「恒久」、限りなく長い年月を意味する「永劫」、いつまでも続くさまを意味する「とこしえ」、永久に変わらないことを意味する「万世不易」などがあります。
永遠の意味
永遠とは
永遠とは、いつまでも果てしなく続くこと、時間を超えて存在することを意味しています。
その他にも、「哲学で、それ自身時間の内にありながら無限に持続すると考えられるもの、また、数学的真理のように時間の内に知られても時間とかかわりなく妥当すると考えられるもの」の意味も持っています。
永遠の読み方
永遠の読み方は「えいえん」です。歌詞などで永遠と書いて「とわ」と読ませることがありますが、正しい読み方ではありません。
永遠の使い方
「永遠に美しくありたい」「君を永遠に僕のものにしたい」「永遠にともに生きよう」「ブーゲンビリアの花言葉は永遠に愛してる」などの文中で使われている永遠は、「いつまでも果てしなく続くこと、時間を超えて存在すること」の意味で使われています。
一方、「永遠なものは理性の思惟によって把握されます」「創造者である神のみが永遠である」などの文中で使われている永遠は、「哲学で、無限に持続すると考えられるもの、時間とかかわりなく妥当すると考えられるもの」の意味で使われています。
永遠とは、上記の例文にあるように二つの意味があり、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。永遠の「永」は長く続くことや時の限りがないこと、「遠」は距離や時間がへだたっているさまを表す漢字です。
表現方法は「永遠回帰」
永遠を用いた日本語には「永遠回帰」があります。永遠回帰とは、ニーチェの根本思想であり、宇宙は特定の目標に向かって進んでいくものではなく、未来に救いを求めるより現在の一瞬を充実させて生きることをすすめる思想です。「永劫回帰」とも言います。
永遠の対義語
永遠の対義語・反対語としては、またたく間を意味する「瞬間」、きわめて短い時間を意味する「刹那」などがあります。
永遠の類語
永遠の類語・類義語としては、とこしえや長い年月を意味する「永代」、限りのない長い年月を意味する「永世」、いつでも変わることなく同じであることを意味する「とわ」、永遠に変わらないことを意味する「千古不易」などがあります。
永久の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が長い間続くこと、ある状態が時間的に無限に続くことを表現したい時などが挙げられます。
例文3の「永久凍土」とは、地中温度が年間を通じて0以下で常に凍結している土壌および表層の岩石のことです。
永遠の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある状態が時間的に際限なく持続するさま、果てしなく続くこと、を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある永遠は、果てしなく続くさまを意味する哲学用語として使用されています。
永久と永遠という言葉は、どちらも「いつまでも続くさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目に見えないものを表現したい時は「永久」を、目に見えるものを表現したい時は「永遠」を使うようにしましょう。