【相当】と【相等】と【相応】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「相当」(読み方:そうとう)と「相等」(読み方:そうとう)と「相応」(読み方:そうおう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「相当」と「相等」と「相応」という言葉は、つりあいが取れているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




相当と相等と相応の違い

相当と相等と相応の意味の違い

相当と相等と相応の違いを分かりやすく言うと、相当はかなりの程度を表現する時にも使い、相等は同値であることのみを表現する時に使い、相応はふさわしいことを表現する時にも使うという違いです。

相当と相等と相応の使い方の違い

相当という言葉は、「1000円相当のポイント」のような価値や働きが等しい、対応しているという意味だけではなく、「相当な努力が必要だ」のようなかなりの程度を表す時にも使うことができます。

相等という言葉は、「鳥に相等する英単語」「二等辺三角形は二辺が相等である」のように、二つの対象を比べた時にその二つが互いに等しい、同値であることを意味する言葉です。

相応という言葉は、「年相応な服装」「顔も身体に相応して小さい」のように、つりあいが取れているという意味があります。

相等は、相当と相応の二つの言葉とは違って、等しいという意味しかありません。

「相当の暮らし」と「相応の暮らし」の違い

相当と相応は、同じふさわしいという意味を持ちますが、「収入相当の暮らし」という表現であれば収入と同じくらいの金銭を使った生活を表し、「収入相応の暮らし」という表現であれば収入よりも少ない額でゆとりを持った生活を送っていることになります。

そのため、基準となる金銭を例としたときに、表す額が多い順に三つの言葉を並べると、相当>相等>相応となります。これらが、相当、相等、相応の明確な違いです。

相当の意味

相当とは

相当とは、価値や働きなどが、その物事とほとんど等しいことやそれに対応することを意味しています。その他にも、程度がその物事にふさわしいことや、かなりの程度であることも意味します。

法律用語として使われる場合は、合理的な、妥当な、ふさわしいといった意味のみで使われることになります。

相当の読み方

相当という言葉は「そうとう」と読みます。「あいとう」などの読み方はしません。

表現方法は「相当な努力」「相当な数」「相当時間がかかる」

「相当な努力」「相当な数」「相当時間がかかる」などが、相当を使った一般的な表現方法です。

相当の使い方

相当を使った分かりやすい例としては、「夢を掴むためには相当な努力が必要となる」「この求人には相当な数の応募者がいる」「修理が終わるまで相当時間がかかる」などがあります。

相当を使った言葉として、「相当程度」「相当数」があります。

「相当程度」の意味

一つ目の「相当程度」とは、何かの程度や状態が他のものとちょうどつり合いがとれる度合いを意味する言葉です。また、かなりの程度を意味する時もあるため、前後の文章で判断しましょう。

「相当数」の意味

二つ目の「相当数」とは、かなりの数を意味する言葉です。「相当量」も同じ意味を持ちますが、こちらはそれに見合った量という意味もあるため、どちらの意味なのかは文脈で判断しましょう。「食塩相当量」という言葉の場合は後者の意味になります。

相当の類語

相当の類語・類義語としては、それ以上必要としない様子を意味する「結構」、ふさわしい程度を超えている様子を意味する「随分」、かなりな程度である様子を意味する「余程」、他の物事に比べてその程度を超えている様子を意味する「割合」などがあります。

相当の当の字を使った別の言葉としては、おだやかで無理がないことを意味する「穏当」、ある条件などに当てはまることを意味する「該当」、道理に合わないことを意味する「失当」、順序や道理の上から見て適当であることを意味する「順当」などがあります。

相等の意味

相等とは

相等とは、互いに等しいことや同値であることを意味しています。

相等の読み方

相等は「そうとう」という読み方をしますが、「相等しい」と書くと「あいひとしい」という読み方になります。相等と同じで、互いに同じである、等しい、という意味になります。

相等を使った言葉として、「相等関係」「収支相等の原則」があります。

「相等関係」の意味

一つ目の「相等関係」とは、数学における等式に見られる関係を表す言葉です。等式とは等号であるイコールによって二つの対象を結合させる式を言います。このとき、二つの対象は互いに等しい、相等しい、相当関係にある、といった言い方がなされます。

「収支相等の原則」の意味

二つ目の「収支相等の原則」とは年金用語の一つで、将来の収入と支出とは等しくならなければならないという基本原則を意味します。また、保険でも使われる原則でもあり、契約者が払う保険料と保険会社が受取人に支払う保険金が等しくなる原則を言います。

相等の類語

相等の等の字を使った別の言葉としては、価値や価格が同じであることを意味する「等価」、二つ以上の物事が互いに平等で差がないことを意味する「均等」、程度や等級などが同じであることを意味する「同等」などがあります。

相応の意味

相応とは

相応とは、つりあいが取れていることやふさわしいことを意味しています。

相応の読み方

相応は「そうおう」という読み方をしますが、「相応しい」「相応う」という表記をすることもでき、それぞれ「ふさわしい」「ふさう」と読みます。相応しいは相応と同じ似つかわしいといった意味がありますが、相応うはよくつりあう、似合うという動詞です。

表現方法は「分相応」「それ相応」「年相応」

「分相応」「それ相応」「年相応」などが、相応を使った一般的な表現方法です。

相応の使い方

相応を使った分かりやすい例としては、「分相応の生活がなんだかんだで一番幸せだ」「それ相応の見返りがなければ頑張ることができない」「年相応の振る舞いをしない息子の将来が心配だ」などがあります。

相応を使った言葉として、「三身相応」「四神相応」があります。

四字熟語「三身相応」の意味

一つ目の「三身相応」(読み方:さんしんそうおう)とは、欠けたところがなく立派であることを意味する四字熟語です。

四字熟語「四神相応」の意味

二つ目の「四神相応」とは、地理的景観が四神の存在にふさわしいすぐれたところを意味する四字熟語です。具体的には、東に青竜を表す流水、西に白虎を表す大道、南に朱雀を表すくぼ地、北に玄武を表す丘陵が備わる土地を言います。平安京がこれに該当します。

相応の対義語

相応の対義語・反対語としては、つりあいが取れていないことやふさわしくないことを意味する「不相応」があります。

相応の類語

相応の類語・類義語としては、きわめて当然であり適切であることを意味する「至当」、実情によく当てはまっていることを意味する「妥当」、経済力や能力、望む条件などにふさわしい様子を意味する「手頃」などがあります。

相応の応の字を使った別の言葉としては、身分や能力にふさわしいことを意味する「応分」、互いにやり取りをすることを意味する「応酬」、急場に間に合わせることを意味する「応急」、状況に応じて素早く行動することを意味する「即応」などがあります。

相当の例文

1.交通事故に遭い、結果として通院が決まったものの相当の補償をしてもらったので、気兼ねなく治療に専念できる。
2.相当性を欠くような範囲の業務上の指導は、いわゆるハラスメントに値する。
3.最近の彼の不調は仕事だけではなく日常生活にも支障をきたし、相当苦しんでいる。
4.中学生の娘は、親戚の集まりでうっかりオナラをしてしまったことが相当恥ずかしかったらしく、以来親戚の集まりには行かないの一点張りだ。
5.YouTuberは当初は好きなことで楽してお金を稼いでいるイメージがあったが、多くの人が参入するに連れて相当な努力が必要なことが知れ渡るようになった。
6.彼はごくごく平凡なサラリーマンのはずなのに、収入相当の暮らしとはかけ離れていたので、一体どこからお金が入っているのか気になっていたんだよね。
7.そのアイデアは面白いんだけども、それを実現するためには相当な数が必要となるのではないかなと同僚から冷静な指摘をされてしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、ふさわしいこと、かなりの程度を意味する時などが挙げられます。

例文2の「相当性を欠く」という表現は、その対象に対してふさわしくないということを意味する言葉で、法律関係の言葉としてよく使われます。

例文3の相当は、かなりの程度を表す言葉として使われています。例文1も同じ意味で使うことはできますが、補償の範囲は決まっていることが多いためふさわしいと捉えるのが好ましいでしょう。

相等の例文

1.第一次世界大戦頃には、現代相等の戦力を有していた国もいくつかあった。
2.海外の子ども用の洋服サイズが、日本の大人サイズのXS相等であるものも存在すると聞いて驚いた。
3.先月相等の電気代が今月も掛かってしまったため、節電を心に決めた。
4.私の家から最寄りの駅までの距離と、彼の家からその駅までの距離は相等である。
5.今後もし日本全国で災害が多くなれば、保険金を受け取る人も増える一方で、収支相等の原則があるのだから保険料も値上がることも考慮しないといけないだろう。
6.等式とはふたつの対象の数など相等関係をあらわす数式であり、言葉で言うと難しいが簡単に言えば”=”の記号を用いて表す数式のことを言う。
7.1に1を足すと2に相等するのが世の常識ではあるが、これが出汁の話となると全く違っていて鰹だしに昆布だしを足すと100にも200にも相等してしまうマジックが存在している。

この言葉がよく使われる場面としては、二つの対象が等しいことを意味する時などが挙げられます。

どの例文も、比べるものに対して以上でも以下でもなく、同値であることを表現しています。

相応の例文

1.分相応な暮らしをすることが出来ればそれでいいと思っている。
2.宿題を提出しなかった生徒は、それ相応の成績しか手に入らない。
3.年相応の服を身に纏っても似合わなければ意味がないため、自分相応が大切であると思う。
4.株取引で生計を立てたいと言う息子に対して、父はそれ相応の覚悟が必要だと諭した。
5.アメリカを旅行した時に訪れたの街が、”年相応な服装を”などという日本の世間の言葉がバカバカしく思えるほど好きな格好をしておりわたしはとても気に入ってしまった。
6.今まで分相応な生き方をするのが正しいと思いこんでいたが、そもそも何を持って分相応なのかも思い切ってチャレンジしなければわからないと悟ったのだ。
7.わたしは、借金を踏み倒してきた兄弟に、今まで散々迷惑をかけてきたのだから、今回ばかりはそれ相応の対価を支払ってももらわないとねと釘を差した。

この言葉がよく使われる場面としては、ふさわしいことや似つかわしいことを意味する時などが挙げられます。

例文1の「分相応」(読み方:ぶんそうおう)とは、その人の能力や地位にちょうどふさわしいことを意味する言葉です。

例文2の「それ相応」という表現は、それにふさわしいことを意味する表現で、非常によく使われる表現方法です。「相当」を置き換えて使う人もいますが、かなりの程度を表す時には使えません。

相当と相等と相応どれを使うか迷った場合は、ふさわしいことやかなりの程度を表す場合は「相当」を、等しいことを表す場合は「相等」を、つり合いが取れていることを表す場合は「相応」を使うと覚えておけば間違いありません。

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