似た意味を持つ「目一杯」(読み方:めいっぱい)と「精一杯」(読み方:せいいっぱい)と「手一杯」(読み方:ていっぱい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「目一杯」と「精一杯」と「手一杯」という言葉は、たくさんのある物という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
目一杯と精一杯と手一杯の違い
目一杯と精一杯と手一杯の意味の違い
目一杯と精一杯と手一杯の違いを分かりやすく言うと、目一杯は量が多い様子を表現する時に使い、精一杯は力の全てを出す様子を表現する時に使い、手一杯は余裕がない様子を表現する時に使うという違いです。
目一杯と精一杯と手一杯の使い方の違い
目一杯という言葉は、「子どもは目一杯楽しんだからか疲れて眠ってしまった」「目一杯世話になった」などの使い方で、たくさんある様子を意味します。
精一杯という言葉は、「出来る精一杯を尽くした」「精一杯取り組む所存です」などの使い方で、出来る限りの様子を意味します。
手一杯という言葉は、「今は後輩の育成と自分の仕事で手一杯だ」「子育てで手一杯な生活をしていたため化粧をする時間もなかった」などの使い方で、余裕がない様子を意味します。
目一杯と精一杯と手一杯の使い分け方
量的な観点から言えば、より多くの物事や感情があることを表す順に、手一杯>目一杯=精一杯となります。
ただし、目一杯は物の量や傾ける感情の大きさに関して使うのに対して、精一杯は物の量に対して使うことはありません。
一方の手一杯も、物の量より抱えているタスクを重視する言葉であるため、目一杯とは異なります。
また、あふれて取りこぼす寸前を意味し、余裕がないことを表すため、手一杯を精一杯に置き換えて使うことはできますが、精一杯を手一杯に置き換えて使うことはできません。
これらが、目一杯、精一杯、手一杯の明確な違いです。
目一杯の意味
目一杯とは
目一杯とは、限度いっぱいであることを意味しています。
目一杯の語源
目一杯の目の字は、はかりの目盛りを指すことから、目盛りいっぱいまでの量を意味します。
江戸時代のはかり売りにおける売り手と買い手の駆け引きの会話の中で、はかりの目盛りいっぱいの量という言葉が使われており、これが目一杯という言葉に形を変えました。
「命一杯」は誤用
目一杯という言葉を声に出して読んだ時、「めいっぱい」ではなく、「めいいっぱい」と発音する人がいることから、「命一杯」という表記で命を掛けるように力を尽くすことを表す人もいるようですが、誤用であり造語に当たります。
ビジネスシーンや目上の人に対して、目一杯という言葉を使うことはできますが、命一杯という造語を使うことはできません。
表現方法は「目一杯遊ぶ」「目一杯楽しむ」「目一杯頑張る」
「目一杯遊ぶ」「目一杯楽しむ」「目一杯頑張る」などが、目一杯を使った一般的な言い回しです。
目一杯の類語
目一杯の類語・類義語としては、収容できる人員がいっぱいになることを意味する「満杯」、定員に達することを意味する「満員」、少しのゆとりもないことを意味する「過密」、一定の空間などにあるものがいっぱいになることを意味する「充満」があります。
精一杯の意味
精一杯とは
精一杯とは、持っている力の全てを出すことを意味しています。
精一杯の精の字は、心やたましい、気力などを意味することから、精一杯という言葉は自身の気力や精神の全てを出すことや、全てを出している様子を意味しています。
表現方法は「精一杯努力する」「精一杯取り組む」「精一杯頑張る」
精一杯を使った表現として、「精一杯努力する」「精一杯取り組む」「精一杯頑張る」などがあります。
目上の人には「精一杯尽力致します」「精一杯力を尽くさせて頂きます」
基本的に日常生活においてはもちろん、ビジネスシーンでも使うことができる言葉ではありますが、「精一杯頑張ります」という表現は目上の人に使うのに適している言葉ではありません。
この場合は、「精一杯尽力致します」「精一杯力を尽くさせて頂きます」などの表現にし、敬語と共に使う必要があります。
精一杯の対義語
精一杯の対義語・反対語としては、最後までやり遂げずに途中で投げ出す様子や、ほどほどのところで終わってほしい様子を意味する「いい加減」があります。
精一杯の類語
精一杯の類語・類義語としては、持っている力を全部出す様子を意味する「力一杯」、力の限りを尽くす様子を意味する「極力」、命がけで事に当たることを意味する「一生懸命」、そこまでと限られている程度を意味する「限度」があります。
手一杯の意味
手一杯とは
手一杯とは、それ以上他のことをする余裕がないことを意味しています。
手一杯は、たくさんのものを抱えているため手の中がいっぱいであることを表すことから、他に何かを抱えてしまうと取りこぼすなどしてしまうため、余裕がないことを意味しています。
その他にも、手の中にある能力など全てのものを使って力の限りをする様子や、自分の思い通りにする様子も意味します。
表現方法は「手一杯になる」「手一杯だ」
「手一杯になる」「手一杯だ」などが、手一杯を使った一般的な言い回しです。
手一杯の対義語
手一杯の対義語・反対語としては、必要分以上に余りがあることを意味する「余裕」、物事をさらに行うことができるゆとりを意味する「余地」があります。
手一杯の類語は「一杯一杯」
手一杯に似た表現として、「一杯一杯」があります。これは、少しの余裕もない様子を意味していて、金銭の支払いなどが最大限の状態を表すことにも使われる言葉です。
日常生活だけでなくビジネスシーンなどでも一杯一杯という言葉は使われますが、書き言葉としてはあまり相応しくないため、敬語を使うべき目上の人に対しては別の表現をする必要があり、手一杯とは異なる点とも言えます。
その他の手一杯の類語・類義語としては、非常に忙しいことを意味する「多忙」、仕事が多くて忙しいことを意味する「繁忙」、用事が多くて忙しくすることを意味する「てんてこ舞い」、十分に対応できないほど忙しくすることを意味する「きりきり舞い」があります。
目一杯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、限度いっぱいであることを意味する時などが挙げられます。
例文1の目一杯を精一杯に置き換えて使うことが出来ますが、手一杯を置き換えて使うことはできません。
精一杯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、持っている力の限りを尽くすことを意味する時などが挙げられます。
どの例文の精一杯も、目一杯という言葉に置き換えて使うことができますが、手一杯に置き換えて使うことはできません。
手一杯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その仕事ややるべきことだけで、それ以上の余裕がないことを意味する時などが挙げられます。
どの例文の手一杯も、精一杯という言葉に置き換えて使うことができますが、目一杯という言葉に置き換えて使うことはできません。
目一杯と精一杯と手一杯どれを使うか迷った場合は、量が多い様子を表す場合は「目一杯」を、力の全てを出す様子を表す場合は「精一杯」を、余裕がない様子を表す場合は「手一杯」を使うと覚えておけば間違いありません。