似た意味を持つ「心なしか」(読み方:こころなしか)と「そこはかとなく」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「心なしか」と「そこはかとなく」という言葉は、どちらも何となく感じることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「心なしか」と「そこはかとなく」の違い
「心なしか」と「そこはかとなく」の意味の違い
「心なしか」と「そこはかとなく」の違いを分かりやすく言うと、「心なしか」とは気のせいかもしれないこと、「そこはかとなく」とは何となく感じることという違いです。
「心なしか」と「そこはかとなく」の使い方の違い
一つ目の「心なしか」を使った分かりやすい例としては、「暴飲暴食を繰り返していたので心なしか太ったような気がする」「心なしか元気がないように見えた」「心なしか足取りが重いように見える」「彼女は心なしか寂しげだった」などがあります。
二つ目の「そこはかとなく」を使った分かりやすい例としては、「彼のことがそこはかとなく好きです」「そこはかとなく不安な日々が続いてる」「そこはかとなく嬉しさが込み上げてきた」「そこはかとなく不安を感じた」などがあります。
「心なしか」と「そこはかとなく」の使い分け方
「心なしか」と「そこはかとなく」はどちらも理由や原因が分からないが何となく感じる場合に使う言葉です。あえて違いを挙げるならば、「心なしか」よりも「そこはかとなく」の方が上品な言葉使いということです。
「心なしか」と「そこはかとなく」の英語表記の違い
「心なしか」を英語にすると「somehow」となり、例えば上記の「彼女は心なしか寂しげだった」を英語にすると「Somehow she looked lonesome」となります。
一方、「そこはかとなく」を英語にすると「somehow」「vague」「faint」となり、例えば上記の「そこはかとなく不安を感じた」を英語にすると「I had a vague feeling of uneasiness」となります。
「心なしか」の意味
「心なしか」とは
「心なしか」とは、気のせいかもしれないことを意味しています。
「心なしか」の使い方
「心なしか」を使った分かりやすい例としては、「彼は心なしか顔色が優れない」「心なしか少し痩せたようです」「彼女が心なしか元気そうで良かった」「心なしか苛立ってるようにみえる」「その声には心なしか元気が感じられない」などがあります。
「心なしか」は、自分の気のせいかもしれないことや自分の思い込みかもしれないことを表現したい時に使います。また、「か」を入れない「心なし」で使うことも可能ですが、「か」を入れた「心なしか」の形で副詞的に使うことが多いです。
「心なしか」は良い意味でも悪い意味で使える言葉になります。上記の例文を参考に挙げると、「彼女が心なしか元気そうで良かった」は良い意味で使っていますが、「彼は心なしか顔色が優れない」は悪い意味で使っています。
「心なしか」の漢字表記
「心なしか」を漢字にすると「心做か」となりますが、あまり一般的ではありません。また、「心無しか」と漢字で書くと意味が違う言葉になってしまうので、間違わないようにしましょう。「心無し」とは、思いやりのない人のことを意味しています。
表現方法は「心なしか〇〇な気がする」「心なしか○○のように感じる」
「心なしか〇〇な気がする」「心なしか○○のように感じる」「心なしか〇〇のようだ」「心なしか〇〇に見える」「心なしか○○に思える」などが、「心なしか」を使った一般的な言い回しになります。
「心なしか」の類語
「心なしか」の類語・類義語としては、実際にはそうでないのに自分の心の状態が原因でそのように感じられることを意味する「気の所為」(読み方:きのせい)、はっきりしないことを意味する「朧げ」(読み方:おぼろげ)、元気がなく気持ちが集中しないことを意味する「ぼんやり」などがあります。
「心なしか」の心の字を使った別の言葉としては、心に思い当たることを意味する「心当たり」、思い違いのことを意味する「心誤り」、気に掛かることを意味する「心掛り」、心の中で待ち望むことを意味する「心待ち」などがあります。
「そこはかとなく」の意味
「そこはかとなく」とは
「そこはかとなく」とは、どこがどうということではなく何となく感じることを意味しています。
「そこはかとなく」の使い方
「そこはかとなく」を使った分かりやすい例としては、「この香水はそこはかとなく漂う甘い香りがします」「彼にはそこはかとなく家柄の良さが漂う」「この暖かさはそこはかとなく春の気配を感じる」「彼が描く絵がそこはかとなく好きです」などがあります。
「そこはかとなく」は、明確な理由や原因は分からないが、何となく感じていることを意味しています。
「そこはかとなく」の語源は古語「そこはかとなし」
「そこはかとなく」は美しい大和言葉と言われており、理由もなく何となく感じていることを上品に表現したい場合に使う言葉です。
「そこはかとなく」は「そこはかとない」の連用形です。また、「そこはかとない」は形容詞であり古語の「そこはかとなし」から派生した言葉になります。
表現方法は「そこはかとなく漂う」「そこはかとなく好き」「そこはかとなく嬉しい」
「そこはかとなく漂う」「そこはかとなく好き」「そこはかとなく嬉しい」「そこはかとなく不安」などが、「そこはかとなく」を使った一般的な言い回しになります。
「そこはかとなく」の類語
「そこはかとなく」の類語・類義語としては、言動などにはっきりとした理由がないことを意味する「何となく」、どことははっきり言えないが何となくのことを意味する「どことなく」、ぼんやりとしてはっきりしないことを意味する「漠然」などがあります。
「心なしか」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気のせいかもしれないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「心なしか」はプラスの意味でもマイナスの意味でも使える言葉です。
「そこはかとなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どこがどうということではなく何となく感じることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、明確な理由や原因がないが、何となく感じた場合に使う言葉になります。
「心なしか」と「そこはかとなく」どちらを使うか迷った場合は、気のせいかもしれないことを表現したい時は「心なしか」を、明確な理由や原因がないが何となく感じることを表現したい時は「そこはかとなく」を使うようにしましょう。