似た意味を持つ「端緒」(読み方:たんしょ)と「発端」(読み方:ほったん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「端緒」と「発端」という言葉は、どちらも物事の始まりを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
端緒と発端の違い
端緒と発端の意味の違い
端緒と発端の違いを分かりやすく言うと、端緒とは書き言葉で使われ、発端とは話し言葉でも書き言葉でも使われるという違いです。
端緒と発端の使い方の違い
一つ目の端緒を使った分かりやすい例としては、「ようやく事件の端緒をつかんだ」「懐に入り交渉の端緒を開く」「市場動向の端緒をつかむアンケ-トです」「本件は不正の端緒として扱う」などがあります。
二つ目の発端を使った分かりやすい例としては、「事の発端を詳しく話してくれ」「何気ない一言が発端となり大喧嘩になった」「SNSを発端に事件に巻き込まれることがある」「浮気発覚の発端はスマホです」「あなたの発端は分かっている」などがあります。
端緒と発端の使い分け方
端緒と発端という言葉は、どちらも物事を展開させるきっかけとなるものを意味する言葉です。二つの言葉に共通する「端」とは、物事の始まりやきっかけを表します。端緒と発端は、似た意味を持つ言葉ですが、使い方には少し違いがあります。
端緒は、物事の始まりや手がかりを意味し、話し言葉よりも書き言葉で使われる言葉です。上記の例文にあるように、「市場動向の端緒」「不正の端緒」など重たい内容の事柄に対して多く用いられています。
発端は、物事の始まりや事の起こりと意味し、話し言葉でも書き言葉でも使われています。また、発端には「心の底」の意味もあり、上記の「あなたの発端は分かっている」はこの意味で使われています。
端緒と発端という言葉を比べると、発端の方が幅広く使われ、馴染みのある言葉と言えるでしょう。
端緒と発端の英語表記の違い
端緒を英語にすると「beginning」「clue」となり、例えば上記の「端緒をつかむ」を英語にすると「get a clue 」となります。一方、発端を英語にすると「origin」「inception」「preface」となり、例えば上記の「事の発端」を英語にすると「origin of an affair」となります。
端緒の意味
端緒とは
端緒とは、物事の始まり、手がかりを意味しています。
端緒の読み方
端緒の読み方は「たんしょ」ですが、慣用読みで「たんちょ」とも読まれています。
端緒の使い方
端緒を使った分かりやすい例としては、「なんとか問題解決の端緒を開く」「企画が承認され端緒につくことが出来た」「市場形成の端緒をつかむための調査です」「捜査の端緒を得る質問だった」などがあります。
その他にも、「満州事変は日中戦争の端緒となった」「事業所再編の端緒として部署を解体します」「資源開拓の端緒を開く事業です」「問題の端緒となる不審な行動だった」「真相究明の端緒をつかむ」などがあります。
端緒という言葉の「端」とは、物事の始まりや、きっかけをを表し、「緒」とは、物事の起こりはじめを表します。端緒とは、物事を展開させるきっかけとなるものを意味する言葉です。
「端緒につく」の意味
上記の例文にある「端緒につく」とは、物事に着手することや、物事が始まることを意味します。「端緒に就く」と書き表すこともあり、また「緒に就く」とも言います。
表現方法は「端緒を開く」「端緒を得る」「端緒をなす」
「端緒につく」以外では「端緒を開く」「端緒を得る」「端緒をなす」などが、端緒を使った一般的な言い回しです。
「端緒を発する」は誤り
端緒を用いた誤った言い回しには「端緒を発する」があります。正しくは「端を発する」であり、それがきっかけになって物事が始まることを表します。
端緒の対義語
端緒の対義語・反対語としては、物事が最後に行きつくところを意味する「終末」、物事の終わりの部分を意味する「仕舞い」などがあります。
端緒の類語
端緒の類語・類義語としては、きっかけや手がかりを意味する「糸口」、てがかりや糸口を意味する「手蔓」、物事の始まるところを意味する「起点」、困難や障害を乗りこえる手がかりを意味する「突破口」などがあります。
発端の意味
発端とは
発端とは、物事の始まり、事の起こりを意味しています。
その他にも、心の底や心底の意味も持っています。
発端の読み方
発端の読み方は、「ほったん」の他に「はったん」とも読みます。ただし、一般的には「ほったん」と読まれています。
表現方法は「事の発端」「事件の発端」「論争の発端」
「事の発端」「事件の発端」「論争の発端」などが、発端を使った一般的な言い回しです。
発端の使い方
「事件の発端は金銭トラブルとみられる」「メール誤送信を発端にパワハラが発覚した」「事の発端は彼の不用意な発言にある」「論争の発端となった出来事です」「発端者の家族として検査を受ける」などの文中で使われている発端は、「物事の始まり、事の起こり」の意味で使われています。
一方、「その知らせに発端から喜んだ」「発端を見抜く力が欲しい」「私を裏切った彼を発端から恨みます」などの文中で使われている発端は、「心の底、心底」の意味で使われています。
発端という言葉は、「物事の端緒を発(ひら)く」という意味であり、物事の始まりや手がかりを表します。事件の始まりやきっかけ、物事の起こりと感じるような出来事に対して使われる言葉です。発端には「心の底、心底」の意味もありますが、この意味ではほとんど使われていません。
「発端者」の意味
発端という言葉を用いた日本語には「発端者」があります。遺伝性疾患を有する家系が確認されるきっかけとなった個人を意味する言葉です。男の発端者は「proposito」、女は「proposita」と呼ばれます。誤って「発端人」と表現されることがありますが、正しくは「発端者」です。
発端の対義語
発端の対義語・反対語としては、最後の締めくくりや最後に到達した結果を意味する「結末」、物事の結末がつくことを意味する「終局」などがあります。
発端の類語
発端の類語・類義語としては、物事のきっかけや事件の発端を意味する「事端」、物事の起こりやはじめを意味する「起首」、物事を始める手がかりを意味する「切っ掛け」、ある事態を引き起こす直接の原因を意味する「引き金」、本当の心や真実の気持ちを意味する「本心」などがあります。
端緒の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の始まり、いとぐち、手がかりを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「端緒をなす」とは、物事が起こる起点となっているさまを表します。例文5にある「端緒的」の読み方は「たんしょてき」です。慣用的に「たんちょてき」と読むことがありますが、本来は「たんしょてき」と読みます。
発端の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が始まること、心の底や胸中の奥深い所を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある発端は、物事が始まることや事の起こりの意味で使われています。例文5の発端は、心の底や胸中の奥深い所の意味で使われています。
端緒と発端という言葉は、どちらも物事の始まりやきっかけを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、文語的表現をしたい時は「端緒」を、口語的表現をしたい時は「発端」を使うようにしましょう。