【したたか】と【ずる賢い】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「したたか」と「ずる賢い」(読み方:ずるがしこい)の違いと使い方を分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、このページの使い分け方を参考にしてみて下さい。

「したたか」と「ずる賢い」という言葉は、どちらも上手に物事を行う人を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使用される傾向があります。




「したたか」と「ずる賢い」の違い

「したたか」と「ずる賢い」の意味の違い

「したたか」と「ずる賢い」の違いを分かりやすく言うと、「したたか」というのは、苦難や逆境に屈しない柔軟な力強さがあることを意味していて、「ずる賢い」というのは、ズルいことを上手くやってのけることを意味しているという違いです。

「したたか」と「ずる賢い」の使い分け方

最初の「したたか」は、周囲からの圧力に屈しない、柔軟な力強さがあることを意味する言葉です。

苦難、逆境、圧力といっても、有形無形の様々なものがあります。例えばハラスメントのようなものもあれば、仕事が大変というのもありますし、また刑事ドラマなどで怪しい人物からそれとなく話を引き出そうとする「カマをかける」ようなものもあります。

「したたか」というのは、これらに対して負けないということですが、「平然とやってのける」「ケロッとしている」というニュアンスがあります。「挫けそうだけど負けない」とか「不屈の魂」というような熱気のあるものとは異なります。

「不屈の魂」が打たれても折れないようなイメージだとしたら、「したたか」には物事に柔軟に対応するというイメージがあります。「柔よく剛を制す」という言葉がありますが、その「柔」のイメージを「したたか」という言葉は持ちます。

次に、ずる賢いというのは、ズルいことを上手くやってのけることを意味する言葉です。ズルいことというのは、他人の迷惑になるが自分は得をする行いのことです。それを上手く気づかれずにやることが、ずる賢いと言われます。ずる賢さは賢さの一つです。

例えば、自分が家の花瓶を割ってしまったのに、それをペットの仕業にしてやり過ごそうとするのは、ずる賢い行いです。また、クラスの係で一緒になった人が真面目なので、その人にしれっと仕事を任せて自分は楽をするのも、ずる賢いです。

「したたか」の意味

「したたか」とは

「したたか」とは、逆境や困難に柔軟に対処することを意味しています。

「したたか」の漢字表記

そのことを理解するために、漢字表記を考えることにします。「したたか」は漢字では「強か」や「健か」と書くことが出来ます。しかし、強と健のこのような読み方は表外読みですので、普通は「したたか」とひらがな表記します。

強を用いた言葉として、しなやかな強さを意味する「強靭」があり、健を用いた言葉として、物事が円滑に機能し、調和していることを意味する「健全」があります。

表現方法は「したたか女性」「したたかに生きる」「したたかに打つ」

「したたか女性」「したたかに生きる」「したたかに打つ」などが、したたかを使った一般的な言い回しです。

「したたか」の使い方

「彼/彼女はしたたかだ」のように、人の特徴を示すために用いられる言葉です。また、「したたか」という言葉は、逆境や圧力に屈しないことを意味しますが、「しなやかで円滑に物事に対処する」というニュアンスを持ちます。

「不屈の闘志」というのが、いくら打たれても鋼のように折れないイメージだとしたら、「したたか」というのが、攻撃を上手くさばいて流すというイメージです。「柔よく剛を制す」の「柔と剛」のイメージを思い浮かべて下さい。

そのため「したたか」という言葉は、女性的な強さを表現するものとして理解される傾向があります。「したたかな女性」という言葉はよく耳にするものです。しかし、本来は決して女性に限定されるわけではありません。

「したたか」は英語の「スマート」に近い意味を持っています。日本語のスマートはスラリとした体形という意味が強いですが、英語の「スマート」は「機転が利く、抜け目のない、はきはきとした」等の意味です。この意味は徐々に日本語の中に浸透してきています。

また、現代ではなくなった意味ですが、「したたか」には「激しく」という意味もあります。「したたかに叩く」と言えば、力いっぱい叩くことで、「汗をしたたかに流す」と言えば、大量に汗をかくということです。

「したたか」の対義語

「したたか」の対義語・反対語としては、根性などが弱いことを意味する「気弱」、気力や体力、体質などがなよなよとしていることを意味する「柔弱」、物事をなす意気地がないことを意味する「腑抜け」などがあります。

「したたか」の類語

「したたか」の類語・類義語としては、悲しみなどの動揺の中でもしっかり気持ちを保つことを意味する「気丈」、男性にも負けないほど勝気でしっかりしている女性を意味する「男勝り」、油断ができないことを意味する「あなどり難い」などがあります。

「ずる賢い」の意味

「ずる賢い」とは

「ずる賢い」とは、ズルいことを上手くやってのけることを意味しています。ズルいことを上手くやってのけるには、知性が必要です。ずる賢いの「賢い」とは、そうした知的な能力の事を表現しています。

表現方法は「ずる賢い男」「ずる賢い女」「ずる賢い人」

「ずる賢い男」「ずる賢い女」「ずる賢い人」などが、ずる賢いを使った一般的な言い回しです。

「ずる賢い」の使い方

ズルとは、自分だけが得をして他人に損をさせる行為のことです。ルール違反ははっきりとしたズルです。例えばジャンケンの時に「最初はグー」が慣例化しているのをいいことに、不意を突いてパーを出すのは「ズル」と言われます。

また、他人が損をしなくても自分だけが得をするようにルールを破ることもズルです。「ズル休み」が格好の例です。

しかし、これらのズルはずる賢いとは言えません。ズルをしているのが明らかだからです。ずる賢さは上手くズルをすることですが、ジャンケンの先出しや「ズル休み」といったズルには上手さがないのです。

ずる賢いとは、「悪知恵」(読み方:わるぢえ)が働くことです。例えば、早くに仕事を終わらせてしまうと、あれもこれもと頼まれて、どんどん仕事の量が増えてしまいがちです。そこで、適度に手を抜いて仕事が終わらなふりをするのは立派なずる賢さです。

この例から分かるように、ずる賢さとは、必ずしも悪いことではありません。むしろ知恵を巡らせて困難を回避するという点では、「したたか」と同じことだと言うことも出来ます。

ただし、「ずる賢い」とは知的な能力のことで、計算高さや策を張り巡らせることを表現するのに対して、「したたか」とは物事への取り組み方や対処の仕方を表現するという違いがあります。

「ずる賢い」の対義語

「ずる賢い」の対義語・反対語としては、正直で真面目ではあるが臨機応変な対応が取れないことを意味する「愚直」、正直で融通が利かないことを意味する「馬鹿正直」などがあります。

「ずる賢い」の類語

「ずる賢い」の類語・類義語としては、その時の状況に応じて即座に出る知恵を意味する「とんち」、注意深いことや、自分の利益になりそうなチャンスを逃さないことを意味する「抜け目ない」などがあります。

「ずる賢い」の賢の字を使った別の言葉としては、適切な判断が出来る賢さを意味する「賢明」、世の中の物事の道理を知っている人、賢人と哲人を意味する「賢哲」などがあります。

「したたか」の例文

1.誠実に生きるよりもしたたかに生きる方がストレスが少ないことは分かっている。
2.「したたかな女の特徴」についてまとめたサイトを覗いてみたけれど、偏見に満ち満ちていた。
3.少し話してみたけれど、なかなかにしたたかな人だという印象を持った。
4.何をするにしても、少しの事では挫けないしたたかさが必要だ。
5.姿勢を崩して、尻を地面にしたたかに打ち付けた。
6.こちらの要求を呑んでくれた代わりに次の仕事を売り込まれたよ。なかなかしたたかで頭の切れる担当だね。
7.あの女はいい男の前でだけ態度変えるようなしたたかな女なんだから騙されちゃダメだよ。
8.これからの時代、何が正解は自分で探さなくてはいけないのだから、したたかに生きていく力が必要だ。
9.日本が外交で主導権を握りたければ、ただ平和や友好を謳うだけではなく、もっとしたたかになるべきだろう。
10.彼の営業テクニックは、とにかく飲ませ食わせで気分よくさせて、契約にサインさせるしたたかなやりかただった。

この言葉がよく使われる場面としては、厳しい状況をしなやかに乗り切ることを表現したい時などが挙げられます。したたかというのは、困難な物事を柔軟に対処することや、そうした人のことを意味する言葉です。

例文1にあるような、融通の利かない誠実さを持つよりも、多少のやましさを抱えてもしなやかに生きるという意味では、「したたか」はずる賢いと意味が近くなります。

しかし、「したたか」の方が言葉に角が立たないので、ずる賢いよりは「したたか」と表現する方が好ましい場合が多いです。

なお、現代では使われなくなった意味ですが、例文5の「したたか」は「激しく、強く」という意味です。終戦前後の時期まで、小説などで、「したたか」をこの意味で使ったものが見られます。

「ずる賢い」の例文

1.ずる賢い人は職場で出世するなんて、一昔前の小説の中だけの話だと思っていた。
2.真面目にやったのが裏目に出て怒られた時には、ずる賢い友人の爪の垢を煎じて飲みたいと思ったよ。
3.本当に頭がいい人っていうのはずる賢いものだよ、と知り合いのおじさんが言っていた。
4.母親は、自分の娘がなんてずる賢い子供に育ってしまったのかと嘆いたが、父親はそれを喜んだ。
5.彼は自己中心的で意地悪でずる賢い人だったので、先生にこっぴどく叱られた時は、皆が皆、因果応報だと感じた。
6.彼は口がうまく目立つので評価されているが、面倒なことやルーティン業務は人に押し付けるなど実は結構ずる賢いことを上司は知らない。
7.そのクラスメイトは成績は優秀だったが、ずる賢い奴だったので、みんなに嫌われていました。
8.会社組織がどうして腐ってしまうかというと、真面目な人間よりもずる賢い人間が出世してしまうからだ。
9.勉強をするのは偉くなるためではなくて、世の中のずる賢い人に騙されないためでもある。
10.ずる賢い人ほど社会を渡り歩くのが上手いと言うけれど、私はそんな人にはなりたくないな。

この言葉がよく使われる場面としては、上手くズルをやる人、上手く機転を利かせる人を表現したい時などが挙げられます。

ズルという言葉は悪い意味で使われる傾向がありますが、ずる賢いは「よくそんなことが思いつくよね」という良い意味で使われることもあります。例えば例文2は、真面目だが愚直で融通が利かないことと比較して、ずる賢いというのが良いことだとされています。

ただし、褒めたつもりで「ずる賢い」と言っても、悪くとられる可能性があります。誤解を招くよりも、「したたか」や「抜け目ない」などの言葉を選択することをオススメします。

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