似た意味を持つ「ひとしお」と「ひときわ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ひとしお」と「ひときわ」という言葉は、どちらもを他のものより程度が一段と増すこと意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ひとしお」と「ひときわ」の違い
「ひとしお」と「ひときわ」の意味の違い
「ひとしお」と「ひときわ」の違いを分かりやすく言うと、「ひとしお」とはプラスのイメージでしか使わない、「ひときわ」とはプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるという違いです。
「ひとしお」と「ひときわ」の使い方の違い
一つ目の「ひとしお」を使った分かりやすい例としては、「苦戦の末の優勝だけに喜びもひとしおです」「このお店の焼肉定食は旨さがひとしおです」「久々に会った友人はひとしおかっこよくなっていました」「あなたが私の家に来てくれたので喜びもひとおしです」などがあります。
二つ目の「ひときわ」を使った分かりやすい例としては、「周りよりもひときわ高くそびえる山に登ります」「彼の営業成績はひときわ目立っている」「彼はいつも笑っているが今はいつもよりひときわ嬉しそうです」「彼はその場所をひときわ力を込めて読み上げた」などがあります。
「ひとしお」と「ひときわ」の使い分け方
「ひとしお」と「ひときわ」は、どちらも他のものより程度が一段と増すことを意味していますが、「ひとしお」はプラスのイメージでしか使わないのに対して、「ひときわ」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるというのが大きな違いです。
「ひとしお」と「ひときわ」の英語表記の違い
「ひとしお」を英語にすると「much」「especially」となり、例えば上記の「あなたが私の家に来てくれたので喜びもひとおしです」を英語にすると「I feel especially happy,because you came to my home」となります。
一方、「ひときわ」を英語にすると「conspicuously」「remarkably」「exceptionally」となり、例えば上記の「彼はその場所をひときわ力を込めて読み上げた」を英語にすると「He read the passage emphatically」となります。
「ひとしお」の意味
「ひとしお」とは
「ひとしお」とは、他のものより程度が一段と増すことを意味しています。その他にも、染め物を染め汁の中に1回つけることの意味も持っています。
表現方法は「ひとしお嬉しい」「感慨もひとしお」「思い入れもひとしお」
「ひとしお嬉しい」「感慨もひとしお」「思い入れもひとしお」「喜びもひとしお」などが、「ひとしお」を使った一般的な言い回しになります。
「ひとしお」の使い方
「ひとしお」を使った分かりやすい例としては、「懐かしさがひとしお募りました」「昇給が決まったので喜びもひとおしです」「5年ぶりに会った元カノがひとしお美しくなっていた」「一仕事終えるとほっとすると同時に喜びもひとしおでした」などがあります。
「ひとしお」の由来
「ひとしお」の語源は現代ではあまり使われていない、染め物を染め汁の中に1回つけることの意味です。染め物は、染料につける回数が多いほど色が濃くもなれば発色も強くなっていきます。
この濃くなる様子が転じて、他のものより程度が一段と増すことを「ひとしお」と言うようになりました。
「ひとしお」は大和言葉
また、「ひとしお」は大和言葉です。大和言葉とは漢語でも外来語でもない、日本で生まれ日本で育った言葉のことを指しています。
「ひとしお」は結婚や出産の場面でよく使う
「ひとしお」は結婚や出産などの嬉しい出来事があった場合に使うのが一般的で、ビジネスシーンなどではあまり使われていない言葉です。
「ひとしお」の漢字表記
「ひとしお」を漢字にすると「一入」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。特別な理由がない限りは、平仮名の「ひとしお」を使うのが無難でしょう。
また、携帯やパソコンで「ひとしお」と検索すると「一塩」と変換が可能ですが、こちらは間違った変換になります。「一塩」とは魚や野菜に軽く塩を振ることを意味しています。
「ひとしお」の類語
「ひとしお」の類語・類義語としては、 物事の程度の差が甚だしいことを意味する「格段」、特に際立っていることを意味する「殊更」(読み方:ことらさら)などがあります。
「ひときわ」の意味
「ひときわ」とは
「ひときわ」とは、他と比べて特に目立っていることを意味しています。
表現方法は「ひときわ目立つ」「ひときわ嬉しい」「ひときわです」
「ひときわ目立つ」「ひときわ嬉しい」「ひときわです」などが、「ひときわ」を使った一般的な言い回しになります。
「ひときわ」の使い方
「ひときわ」を使った分かりやすい例としては、「この駅にある広告がひときわ目を引きました」「片思いしていた人に恋人ができたことを聞いて彼女の目にひときわ大粒の涙が浮かんだ」「遠くから聞こえていたエンジン音がひときわ大きくなりました」などがあります。
「ひときわ」は他と比べて特に目立っていることを意味する言葉で。プラスとマイナスどちらのイメージでも使うことが可能です。
例えば「彼のプレーはひときわ目立っている」とすると、良いプレーで目立っているのか、悪いプレーで目立っているのかどちらでも考えることができます。そのため、前後の文章をみて良し悪しを判断するようにしましょう。
「ひときわ」の漢字表記
「ひときわ」を漢字にすると、「一際」と表記することがことができます。
「ひときわ」の類語
「ひときわ」の類語・類義語としては、同類のものの中でも特別なものとすることを意味する「取り分け」、 程度が甚だしいことを意味する「格別」、程度が一番と進むことを意味する「一層」などがあります。
「ひとしお」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他のものより程度が一段と増すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「ひとしお」はプラスのイメージでしか使わない言葉になります。
「ひときわ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他と比べて特に目立っていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「ひときわ」はプラスのイメージでもマイナスのイメージでも使うことができます。
「ひとしお」と「ひときわ」という言葉は、どちらも他のものより程度が一段と増すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスのイメージでしか使わないのが「ひとしお」、プラスのイメージとマイナスのイメージどちらでも使えるのが「ひときわ」と覚えておきましょう。