似た意味を持つ「本懐」(読み方:ほんかい)と「本望」(読み方:ほんもう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「本懐」と「本望」という言葉は、どちらも望みのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
本懐と本望の違い
本懐と本望の意味の違い
本懐と本望の違いを分かりやすく言うと、どちらも本当の望みのことを意味していますが、本懐は武士達の間で使われていた古い言葉という違いです。
本懐と本望の使い方の違い
一つ目の本懐を使った分かりやすい例としては、「本懐を遂げるのを見届けた」「王様は本懐を果たす」「難所を攻めることが本懐の至りです」「宿敵を倒したことにより戦友の本懐が遂げられた」などがあります。
二つ目の本望を使った分かりやすい例としては、「親父の役に立てたのなら本望だ」「美味しいものを食べて太るなら本望だ」「このサービスで満足して頂けたのなら本望です」「介護施設に入所するのは本望ではない」などがあります。
本懐と本望の使い分け方
本懐と本望はほとんど共通する意味を持っているのですが、本懐は今はあまり使われない言葉で、本望は今でも使われている言葉です。本望はビジネスシーンで度々使うことがあるはずです。
上記の例の「難所を攻めることが本懐の至りです」「宿敵を倒したことにより戦友の本懐が遂げられた」などのように、武士や戦士が使うことが多いため、今ではあまり馴染みのない言葉となっています。
反対に上記の例の「美味しいものを食べて太るなら本望だ」「このサービスで満足して頂けたのなら本望です」などは、今でも使われている使い方になります。
本懐と本望の英語表記の違い
本懐を英語にすると「honesty」となり、例えば上記の「本懐を遂げる」を英語にすると「Achieve honesty」となります。一方、本望を英語にすると「Desire」となり、例えば上記の「本望ではない」を英語にすると「Not a desire」となります。
本懐の意味
本懐とは
本懐とは、自分の本当の望みのことを意味しています。
本懐の使い方
本懐を使った分かりやすい例としては、「武士としての本懐を遂げる」「出世の本懐を果たすためにチャレンジした」「完成していたのなら本懐の至りです」「彼は必ず本懐を遂げるであろう」などがあります。
その他にも、「侍としての本懐を果たすことが出来たので我が人生に悔いなし」「無事に本懐を遂げることが出来ました」「お札コレクレターとして本懐を遂げる」「戦友の本懐を果たすことが私の生きがいだ」などがあります。
本懐という言葉は戦国時代や戦争などが頻繁に行われていた時代では多く使われていたのですが、武力による争いが減った時代においてはあまり馴染みのない言葉になりました。しかし、戦闘の描写が多い漫画やアニメなどで目にしたことがある人もいるはずです。
表現方法は「本懐を遂げる」「本懐を果たす」「本懐ではない」
戦いが多い時代に生まれた言葉なので、「本懐を遂げる」「本懐を果たす」「本懐ではない」という表現をよく使います。
上記の「侍としての本懐を果たすことが出来たので我が人生に悔いなし」は、自分の本当望みが叶ったのでこの人生に悔いがないという意味になります。自分の本当の望みや気持ちを表す時に本懐という言葉を使いましょう。
「男子の本懐」の意味
本懐を使った有名な言葉に「男子の本懐」があります。これを言ったのは元内閣総理大臣の濱口雄幸です。後に、城山三郎が濱口雄幸と井上準之助を主人公で書いた『男子の本懐』が出版されました。
本懐の「懐」の字は破壊の「壊」の字ととても似ていますが、意味が全く異なるので間違って使わないように注意してください。「懐」の字は思い、懐かしいなどのプラスな意味を持っています。しかし、「壊」の字は壊すや破れるなどのマイナスな意味になっています。
本懐の類語
本懐の懐の字を使った別の言葉としては、ある事柄に接して心に抱いている思いのことを意味する「感懐」、心に思うことを意味する「情懐」、ある考えを心に持つことを意味する「抱懐」、普段思いを述べることを意味する「平懐」などがあります。
その他にも、心が広くわだかまりのないことを意味する「坦懐」、兼ねてからの願いのことを意味する「素懐」、過去を思い出して懐かしむことを意味する「追懐」、心に思っている事柄のことを意味する「所懐」などがあります。
本望の意味
本望とは
本望とは、本来の望みのことを意味しています。
その他にも、望みを達成して満足であることの意味も持っています。
本望の使い方
「本望を遂げるのは難しい」「怪我して辞めることになるなら本望だ」「ゲームのやりすぎで目が悪くなるのなら本望です」「英語が上手く話せるようになったら本望です」などの文中で使われている本望は、「本来の望みのこと」の意味で使われています。
一方、「奥様のお役に立てたのなら本望です」「この商品を気に入ってくださったのなら本望です」「海外留学を出来るなら本望です」などの文中で使われている本望は、「望みを達成して満足であること」の意味で使われています。
本望という言葉は、元から抱いていた望みだったり、抱いていた望みが叶って満足した時に使います。望みが叶うだけだけでなく満足するということが大事になります。
表現方法は「本望だ」「本望を遂げる」「本望ではない」
また、ビジネスシーンでも使うことがあるため、使った経験がある方もいるはずです。「本望だ」「本望を遂げる」「本望ではない」などはよく使われる表現方法になります。
本望の類語
本望の類語・類義語としては、心が満ち足りたことを意味する「満足」、満足したことを意味する「サティスファクション」、期待通りにいって満足することを意味する「会心」、自分自身の行動や言動に満足することを意味する「自己満足」などがあります。
本望の望の字を使った別の言葉としては、あることの実現を願うことを意味する「希望」、敬って慕うことを意味する「仰望」(読み方:ぎょうぼう)、期待が外れてがっかりすることを意味する「失望」、ある物が欲しいと望むことを意味する「所望」などがあります。
本懐の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の本当の望みを表現したい時などが挙げられます。
例文3から例文5のように、武士や戦士達がよく使っている言葉でした。今ではあまり使われない言葉です。今でも使う機会があるとすれば、戦闘が起こる漫画やアニメでキャラクターが言う台詞になります。
本望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本来の望みのことを表現したい時などが挙げられます。
本望という言葉は望みのことや望みが叶った時に満足である時に使います。例文3や例文5のように現在だけではなく未来に対しても使える言葉です。
本懐と本望はどちらも共通する意味を持っているのですが、どちらを使うか迷った場合には本望を使うようにしてください。