似た意味を持つ「独壇場」(読み方:どくだんじょう)と「独擅場」(読み方:どくせんじょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「独壇場」と「独擅場」という言葉は、どちらも「ひとり舞台」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
独壇場と独擅場の違い
独壇場と独擅場の意味の違い
独壇場と独擅場の違いを分かりやすく言うと、本来の独擅場よりも誤用から生まれた独壇場の方が多用されているという違いです。
独壇場と独擅場の使い方の違い
一つ目の独壇場を使った分かりやすい例としては、「昨夜の飲み会は彼の独壇場であった」「EVバッテリーはかつて日本メーカーの独壇場だった」「試合は看板投手の独壇場になるだろう」「討論会は誰かひとりの独壇場になってはいけない」などがあります。
二つ目の独擅場を使った分かりやすい例としては、「コンクールは彼女の独擅場になるだろう」「半導体シェアはアジア系メーカーの独擅場です」「ベテラン勢の独擅場とはならなかった」「話し合いはリーダーの独擅場で終わった」などがあります。
独壇場と独擅場の使い分け方
独壇場と独擅場という言葉は、ひとり舞台や人や組織が思うままに振る舞うことができる場面を意味し、全く同じ意味を持つ言葉です。どちらも他の追随を許さないほどの著しい活躍や、ひとりよがりに振る舞う様子を表しますが、語源や使い方には少し違いがあります。
独壇場という言葉は、もともと存在した独擅場の誤用から作られた言葉です。「擅」を「壇」と見誤ったか、「擅」を「だん」と読み誤ったかにより、独壇場という言葉ができました。意味の上でも「壇」は「ひとり舞台」に通じるため、広く用いられるようになったものです。
現在では、独壇場という言葉は辞書に掲載され、新聞やニュースでも用いられています。また、世間一般にも、本来の独擅場よりも誤用から生まれた独壇場の方が多用されているのが現状です。
独壇場と独擅場の英語表記の違い
独壇場も独擅場も英語にすると「unchallenged position」「one’s monopoly」となり、例えば上記の「彼の独壇場である」を英語にすると「he holds an unchallenged position」となります。
独壇場の意味
独壇場とは
独壇場とは、その人だけが思うままに振る舞うことができる場所や場面、ひとり舞台を意味しています。
独壇場の使い方
独壇場を使った分かりやすい例としては、「大リーグが日本人選手の独壇場となる」「ビューティー関連の話になると彼女の独壇場だ」「明治維新は西郷隆盛ひとりの独壇場ではなかった」「英語の授業は帰国子女の独壇場になる」などがあります。
その他にも、「試合は相手チームの独擅場かと思われた」「いつからか喫茶店はマスターの独擅場になっていた」「国産品が独壇場であった時代は終わった」「私の会社は社長の独壇場になっている」などがあります。
独壇場の読み方
独壇場の読み方は「どくだんじょう」です。独擅場と混同して「どくせんじょう」と読まないようにしましょう。独擅場の「壇」とは、「仏壇」「壇上」のように他より一段高くした設備を表す漢字です。
独壇場という言葉は、一人思うままに振る舞うことが出来る場所や場面、ひとり舞台を表し、後述する「独擅場」と同じ意味を持ちます。ビジネスの場や日常生活において、ある分野で大活躍しているような良い意味でも、ひとりよがりで他人の話を受け入れないような悪い意味でも使われています。
独壇場の由来
独壇場とは、「独擅場」という言葉の誤用から出来た言葉です。もともと「独擅場」という言葉のみが存在していましたが、「擅」を「壇」に誤り、「壇」が舞台と通じるため「ひとり舞台」の意味にひかれて、独壇場という言葉が生まれました。
独壇場の誤用だったが一般的になった言葉
独壇場はかつて誤用とされていた言葉ですが、のちに世間一般に広まり、今では独擅場よりも独壇場の方が多用されています。
独壇場の類語
独壇場の類語・類義語としては、他とは関係なくひとり自分勝手に振る舞うことを意味する「独走」、賞などをすべて獲得することを意味する「総なめ」、多くのものの中の第一位を意味する「随一」などがあります。
独擅場の意味
独擅場とは
独擅場とは、その人だけが思うままに振る舞うことができる場所や場面、ひとり舞台を意味しています。
独擅場の使い方
独擅場を使った分かりやすい例としては、「打ち合わせは彼の独擅場であった」「早急に外国ファンドの独擅場に対処する」「一社の独壇場に終止符を打つ」「英語のプレゼンは彼女の独擅場だった」「店内はマスターの独擅場です」などがあります。
その他にも、「英語の弁論大会は彼の独擅場になるだろう」「このコーナーは人気アナウンサーの独擅場だ」「ブログは私の独擅場です」「この勝負はお前の独擅場にはさせない」「大会は強豪チームの独擅場になるだろう」などがあります。
独擅場の読み方
独擅場の読み方は「どくせんじょう」です。独壇場と混同して「どくだんじょう」と読まないようにしましょう。
独擅場の語源
独擅場の語源は「擅」にあります。「擅」は、独り占めにすることや、勝手気ままにすることを表す漢字です。独擅場という言葉は、自分ひとりの思いのままに振る舞うことができる場を意味し、他の者の存在が薄くなるほど、ある人や組織が目立った活躍をすることを表します。
前述したように、今では独擅場よりも「独壇場」の方が一般的な表現となっていますが、独擅場を使っても間違いではありません。
独擅場の類語
独擅場の類語・類義語としては、競争相手を押さえて権力や主導権を握ることを意味する「制覇」、他の者の存在が薄くなるほど一人が目立った活躍をすることを意味する「ワンマンショー」、数人の中で一人だけが勝ちを得ることを意味する「一人勝ち」などがあります。
独壇場の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある人や組織が活躍して他の追随を許さない場面、ひとり舞台を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある独壇場は、独擅場という言葉に置き換えることが出来ます。例文3のように、独壇場という言葉は、人や組織以外の物事に対しても用いることが出来ます。
独擅場の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある人や組織が活躍して他の追随を許さない場面、ひとり舞台を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある独擅場は、独壇場という言葉に置き換えることが出来ます。例文1にある独擅場は良い意味で使われ、例文2にある独擅場は悪い意味で使われています。このように独擅場や独壇場という言葉は、使い方によって良い意味にも悪い意味にもなる言葉です。
独壇場と独擅場という言葉は、どちらも「ひとり舞台」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われている「独壇場」を使った方が通じやすいでしょう。