似た意味を持つ「暗中模索」(読み方:あんちゅうもさく)と「五里霧中」(読み方:ごりむちゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「暗中模索」と「五里霧中」という言葉は、どちらも方針が定まらないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
暗中模索と五里霧中の違い
暗中模索と五里霧中の意味の違い
暗中模索と五里霧中の違いを分かりやすく言うと、暗中模索とはあれこれと試してみること、五里霧中とはどうしたら良いか迷うことという違いです。
暗中模索と五里霧中の使い方の違い
一つ目の暗中模索を使った分かりやすい例としては、「解決に向けた打開策を暗中模索する」「暗中模索しながらギター製作しています」「暗中模索して新商品を開発する」「感染症対策は世界的に暗中模索です」などがあります。
二つ目の五里霧中を使った分かりやすい例としては、「調べる方法も分からず五里霧中である」「先行きは五里霧中でどうしたものか」「五里霧中の現状を打開したい」「悩みすぎて五里霧中をさまよう思いだった」などがあります。
暗中模索と五里霧中の使い分け方
暗中模索と五里霧中という言葉は、どちらも物事の方針や手段が定まらないことを意味し、似た表現をしますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
暗中模索とは、暗闇の中で手探りで物を探すような不確かな作業を意味します。手がかりもないことをあれこれやってみたり、探し求めたりする様子を表す言葉です。
五里霧中とは、深い霧の中で方角がわからなくなってしまうことを意味します。方向を失い、物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うことを喩えて言う言葉です。
二つの言葉を比べると、手探りであれこれと試してみるという暗中模索の方が、立ち止まった状態にある五里霧中よりも一歩先に進んだ状態であると言えるでしょう。
暗中模索と五里霧中の英語表記の違い
暗中模索を英語にすると「groping」「fumble」となり、例えば上記の「打開策を暗中模索する」を英語にすると「grope in the dark for formula」となります。
一方、五里霧中を英語にすると「all at sea」「in a fog」となり、例えば上記の「五里霧中である」を英語にすると「find oneself at sea」となります。
暗中模索の意味
暗中模索とは
暗中模索とは、手がかりもないことをあれこれやってみたり、探し求めたりすることを意味しています。
暗中模索の読み方
暗中模索の読み方は「あんちゅうもさく」と読みます。誤って「あんじゅうもさく」と読まないようにしましょう。
暗中模索は暗中摸索とも表記可能
また、暗中模索の書き方は「模」を「摸」に換えて「暗中摸索」とも書きますが、一般的には「暗中模索」と表記されています。
暗中模索の使い方
暗中模索を使った分かりやすい例としては、「実現に向けて暗中模索しながら取り組む」「不変的なビジネスモデルを暗中模索しています」「暗中模索しながらギター工房を構えました」「歌詞作りに暗中模索の日々です」などがあります。
その他にも、「新規ビジネスを暗中模索している」「開発当初は暗中模索と試行錯誤の連続でした」「新たなシステム構成は暗中模索の段階です」「なんとか暗中模索の状態から抜け出す」「簡単な折り紙を教えることに暗中模索中です」などがあります。
暗中模索という言葉の「暗中」は暗い場所を表し、「模索」は手さぐりで探し求めることを表します。暗中模索とは、手掛かりのないまま、いろいろなことを試みることを意味する四字熟語です。先行きが不透明な状況でも、諦めずに努力している様子を表します。
暗中模索の対義語
暗中模索の対義語・反対語としては、はっきりして疑う余地がまったくないことを意味する「明明白白」、わかりきっていることや明らかであることを意味する「自明」、疑いや迷いが解けてすっきりするさまを意味する「釈然」などがあります。
暗中模索の類語
暗中模索の類語・類義語としては、確実な方法がわからないまま模索することを意味する「手探り」、種々の方法を繰り返し試みて失敗を重ねながら解決方法を追求することを意味する「試行錯誤」などがあります。
五里霧中の意味
五里霧中とは
五里霧中とは、物事の様子や手掛かりがつかめず、方針や見込みが立たず困ることを意味しています。
五里霧中の使い方
五里霧中を使った分かりやすい例としては、「外出先で嵐に遭い、家に帰れず五里霧中です」「小学生でも友人トラブルは五里霧中になる」「トラブルに巻き込まれ、わけが分からずに五里霧中の状態です」などがあります。
その他にも、「五里霧中をさまよう思いで苦しんだ」「英語の成績を伸ばすにはどうしたらよいか五里霧中です」宿題の例文が思い浮かばず五里霧中です」「五里霧中だった仕事に転職という区切りをつけた」などがあります。
五里霧中の由来
五里霧中という言葉の由来は、古代中国の後漢の張楷が、道術によって五里にわたる霧を起こしたという故事にあります。深い霧の中で方角がわからなくなってしまうことの意味から、物事の判断がつかなくて、どうしていいか迷うさまを表します。
五里霧中の対義語
五里霧中の対義語・反対語としては、ひと目見ただけではっきりとわかるさまを意味する「一目瞭然」、紛れもなくはっきりしているさまを意味する「歴然」、はっきりとわかることを意味する「判然」などがあります。
五里霧中の類語
五里霧中の類語・類義語としては、施すべき手段や方法がなくて困ることを意味する「手詰り」、物事が先へ進まなくなることを意味する「行き詰まり」、処置のしようもなく動きのとれないことを意味する「立往生」、はっきりせずぼんやりしているさまを意味する「曖昧模糊」などがあります。
暗中模索の例文
この言葉がよく使われる場面としては、見当もつかないままに、あれこれ考えたり手を尽くしたりすることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「暗中模索の日々」とは、先が見えずに決まった方向性が無い状況でも、様々なやり方で取り組み事態を打開しようとする毎日を表しています。
五里霧中の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の事情が全くわからず、どうしていいか迷うことを表現したい時などが挙げられます。
例文3では、どのように対処してい良いのか分からず、手が付けられなくて呆然としている様子を「五里霧中」と表現しています。例文5にある「五里霧中の状態」とは、将来どうなるかが明確に分かっていない有り様を意味します。
暗中模索と五里霧中という言葉は、どちらも物事の方針や手段が定まらないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、あれこれ考えたり手を尽くしたりすることを表現したい時は「暗中模索」を、どうしていいか分からないことを表現したい時は「五里霧中」を使うようにしましょう。