似た意味を持つ「展望」(読み方:てんぼう)と「眺望」(読み方:ちょうぼう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「展望」と「眺望」という言葉は、どちらも遠くまで広く見渡すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
展望と眺望の違い
展望と眺望の意味の違い
展望と眺望の違いを分かりやすく言うと、展望とは遠くまで見渡すことだけでなく物事を見通すことも表し、眺望とは遠くまで見渡すことのみを表すという違いです。
展望と眺望の使い方の違い
一つ目の展望を使った分かりやすい例としては、「展望台から大パノラマを見渡す」「オリンピック選手が金メダルの展望を描く」「日本経済の展望を危惧する」「将来への不安が大きくて展望がない」などがあります。
二つ目の眺望を使った分かりやすい例としては、「素晴らしい眺望の宿を予約しました」「眺望権が認められた判例を集める」「美しい眺望景観を形成する」「絶景が眺望できるキャンプ場を調べる」などがあります。
展望と眺望の使い分け方
展望と眺望という言葉は、どちらも遠くまで広く見渡すことや、その風景を意味するという共通する意味を持っています。上記の「絶景が眺望できるキャンプ場」は「絶景が展望できるキャンプ場」と言い換えることが出来ます。
さらに展望には、広い範囲にわたって物事の動向や人生などを見通すことの意味があります。この意味は眺望には無いため、「日本経済の展望を危惧する」の展望を眺望に置き換えることは出来ません。
つまり、展望には比喩的表現があり、眺望には比喩的表現が無いことが、二つの言葉の違いになります。
展望と眺望の英語表記の違い
展望も眺望も英語にすると「prospect」「view」となり、例えば上記の「展望台」を英語にすると「viewing platform」となります。
展望の意味
展望とは
展望とは、遠くまで見渡すこと、その眺めを意味しています。
その他にも、社会の動きや人生の行く末などを見通すことの意味も持っています。
表現方法は「展望を考える」「展望を描く」「展望がない」
「展望を考える」「展望を描く」「展望がない」などが、展望を使った一般的な言い回しです。
展望の使い方
「公園の中央には展望台が設置されています」「夜景を楽しめる展望レストランでデートする」「展望デッキから市街地を見る」「展望の素晴らしい露天風呂です」などの文中で使われている展望は、「遠くまで見渡すこと、眺め」の意味で使われています。
一方、「英語教育の展望を述べる」「社長には長期的な展望が見えるようだ」「子どもながらも将来の展望を描く」「展望記憶障害と診断された」「今後の展望の書き方が分からない」などの文中で使われている展望は、「社会の動きや人生などを見通すこと」の意味で使われています。
展望という言葉の「展」はどこまでも伸び広がること、「望」は遠方を見渡すを表します。展望とは、ぐるりと見渡せることを表し、転じて、社会の動きや物事の将来などを様々な角度から見渡す意味でも用いられています。
「展望記憶」の意味
上記の例文にある「展望記憶」とは、過去の記憶ではなく、未来に関して実行すべき予定や約束の記憶のことです。展望記憶障害とは、記憶障害の中でも、これから行おうと意図したことを忘れてしまう症状を表します。
展望の対義語
展望の対義語・反対語としては、かつて経験したことを思いめぐらすことを意味する「回想」、過ぎ去ったことを思い起こすことを意味する「回顧」、過ぎ去ったことに思いをはせることを意味する「追憶」などがあります。
展望の類語
展望の類語・類義語としては、広く遠くまで見渡すことを意味する「見晴し」、物事のあらましを見渡すことを意味する「概観」、物事のなりゆきや将来のことを予測することを意味する「見通し」、はっきりしていない事柄について大体の予想をすることを意味する「見当」などがあります。
眺望の意味
眺望とは
眺望とは、遠くを見渡すこと、見渡した眺めを意味しています。
眺望の読み方
眺望の読み方は「ちょうぼう」です。誤って「ちょうもう」と読まないようにしましょう。
眺望の使い方
眺望を使った分かりやすい例としては、「山と海が眺望できる山荘です」「眺望絶佳の日本庭園を案内する」「見事な眺望の宿です」「眺望がいい物件を探しています」「眺望良好の中古マンションです」などがあります。
その他にも、「ビル建設で眺望権が侵害された」「眺望は良くないホテルです」「眺望抜群のドライブコースです」「眺望が良いレストランでランチする」「キャンプ場からの眺望は最高でした」などがあります。
眺望という言葉の「眺」は訓読みで「ながめる」と読み、遠くを見渡すことを表し、「望」は遠方を見渡すことを表します。眺望とは、遠くまで広々と見渡した雄大な景色や、そのような景色を眺めることを意味する言葉です。
「眺望権」の意味
上記の例文にある「眺望権」とは、高い建築物などが建ったことによって、それまで享受していた眺望が妨げられたとして主張される権利のことです。
「眺望絶佳」の意味
眺望を用いた四字熟語には「眺望絶佳」があります。一目で遥かかなたまで広々と見渡せることや、広々と見晴らしの良い景色を表します。
眺望の類語
眺望の類語・類義語としては、遠く見渡せる所や見渡せる範囲を意味する「見渡し」、広い景色などを一目で見渡すことを意味する「一望」、遠方のものを見ることを意味する「望遠」、その場所から見える全体の景色を意味する「全景」などがあります。
展望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、遠くまで見渡すこと、社会の出来事や人生などを見渡すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある展望は、遠くまで見渡すことの意味で使われています。例文2から例文5の文中にある展望は、社会の出来事や人生などを見渡すことの意味で使われています。
眺望の例文
この言葉がよく使われる場面としては、遠くを見渡すことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「眺望景観」とは、ある場所から、山や海あるいは街並みなど眺められる対象物を眺望したときに視覚で捉えられる景観を指します。
展望と眺望という言葉は、どちらも遠くまで広く見渡すことを意味します。さらに展望には、社会の出来事や人生などを見渡すことの意味もあることを覚えておきましょう。