【有する】と【持つ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「有する」(読み方:ゆうする)と「持つ」(読み方:もつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「有する」と「持つ」という言葉は、どちらも所有することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「有する」と「持つ」の違い

「有する」と「持つ」の意味の違い

「有する」と「持つ」の違いを分かりやすく言うと、「有する」の方が「持つ」よりも丁寧な表現という違いです。

「有する」と「持つ」の使い方の違い

一つ目の「有する」を使った分かりやすい例としては、「我が国は石油資源を有する国の一つです」「この実験は無限の可能性を有する」「世界には核兵器を有する国がいくつかあります」「私は横浜市に住所を有する」などがあります。

二つ目の「持つ」を使った分かりやすい例としては、「彼女はバイオリニストの素質を持つ人です」「財布を持つのを忘れてしまったのでお金を借りることにしました」「夏場でも持つ食品を購入しました」「出張費は会社が持つことになっている」などがあります。

「有する」と「持つ」の使い分け方

「有する」と「持つ」はどちらも所有することを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「有する」の方が「持つ」よりも丁寧な表現という点です。

したがって、よりかしこまった場面においては「有する」の方を使うと覚えておきましょう。

「有する」と「持つ」の英語表記の違い

「有する」も「持つ」も英語にすると「have」「carry」「own」「hold」「take charge」「keep」となり、例えば上記の「出張費は会社が持つことになっている」を英語にすると「The company will pay the expenses for your business trip」となります。

「有する」の意味

「有する」とは

「有する」とは、所有することを意味しています。

表現方法は「時間を有する」「機能を有する」

「時間を有する」「機能を有する」などが、「有する」を使った一般的な言い回しになります。

「有する」の使い方

「有する」を使った分かりやすい例としては、「我が国は天然資源を有する国の一つです」「1年以上の実務経験を有する者だけに受験資格があります」「彼は広大な土地を有する地主さんです」「彼らは拒否権を有する」などがあります。

「有する」は所有することを意味する動詞で、簡単に言うならば「持つ」をさらに丁寧にした表現になります。

そのため、日常生活よりも、ビジネスシーンや法律などの専門分野において使われることが多い言葉です。

「有する」の語源

「有する」の語源は古代中国の思想家である荘子です。荘子は物事の本質を探求し万物のあり方を語った哲学者になります。この荘子の思想を基に生まれたのが「有する」です。これが日本に伝わり、現代でも使用されていると言われています。

「有する」の類語

「有する」の類語・類義語としては、所有することを意味する「擁する」、自分の負担になるものを持つことを意味する「抱える」、生まれたときから自分のものとして持っていることを意味する「備える」などがあります。

「持つ」の意味

「持つ」とは

「持つ」とは、所有することを意味しています。

その他にも、手に取ること、身に付けること、受け持つこと、自分のものとして引き受けること、身に備えること、心の中に抱くこと、場を設けること、長くそのままの状態を保ち続けることの意味も持っています。

「持つ」の使い方

「私はニセコに別荘を持つのが夢です」「重たい荷物を持つのはとても大変です」などの文中で使われている「持つ」は、「所有することや手に取ること」の意味で使われています。

一方、「上司として私が責任を持つので君たちは好きにやりなさい」「人間なら悩みを持つのは当然のことだと思います」などの文中で使われている「持つ」は、「自分のものとして引き受けることや心の中に抱くこと」の意味で使われています。

「持つ」は様々な意味を持っている動詞です。そのため、幅広い範囲で使うことができると覚えておきましょう。

例えば、「かばんを持つ」などのように物体そのものを所有している場合に使うこともあれば、「私はサッカー選手になる夢を持つ」のように、心の中に抱いている野望に対しても使うことができます。

したがって、現代の日本人にとって馴染み深い言葉になっていると言えるでしょう。

「持つ」の類語

「持つ」の類語・類義語としては、手の中に収めることを意味する「取る」、辛さや苦しさを我慢することを意味する「耐え忍ぶ」、困難や危機などを切り抜けることを意味する「乗り切る」、保ち続けることを意味する「保持する」などがあります。

「有する」の例文

1.所帯を有することになったので、今まで以上に仕事を頑張ろうと思います。
2.国民は教育を受ける権利を有するので、誰でも小学校に入学することができます。
3.先日の試合で大怪我をした我がチームのエースは、復帰まで時間を有すると医者から言われました。
4.この業務に携わるためには、特別な資格を有する必要があります。
5.この携帯電話は最新の機能を有するので、値段は少し高めになっています。

この言葉がよく使われる場面としては、所有することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「有する」はビジネスシーンにおいて使うことができる言葉です。

「持つ」の例文

1.彼女は栄養士の資格を持つので、働き先に困ることはそうないだろう。
2.今日の飲み会の代金は部長が持つそうなので、好きなだけ頼もうと思います。
3.彼はプロサッカー選手として素質を持つ人なので、有名なサッカーチームが莫大な金額を援助しています。
4.今度行く場所は私の地元なので、旅行の計画を持つことにしました。
5.この激務だと身体が持つことがなさそうなので、この会社を辞めることにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、所有することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、自分のものとして引き受けること、身に備えること、場を設けること、長くそのままの状態を保ち続けることを表現したい時にも使います。

例文1の「持つ」は所有すること、例文2の「持つ」は自分のものとして引き受けること、例文3の「持つ」は身に備えること、例文4の「持つ」は場を設けること、例文5の「持つ」は長くそのままの状態を保ち続けることの意味で使っています。

「有する」と「持つ」はどちらも所有することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「有する」の方が「持つ」よりも丁寧な表現と覚えておきましょう。

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