似た意味を持つ「拝読」(読み方:はいどく)と「拝見」(読み方:はいけん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「拝読」と「拝見」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
拝読と拝見の違い
拝読と拝見の意味の違い
拝読と拝見の違いを分かりやすく言うと、拝読とは読むことの謙譲語、拝見とは見ることの謙譲語という違いです。
拝読と拝見の使い方の違い
一つ目の拝読を使った分かりやすい例としては、「あなたからのメールを拝読しました」「週末にゆっくり拝読する予定です」「原作を英語で拝読する」「新聞の投稿欄をいつも楽しみに拝読しております」などがあります。
二つ目の拝見を使った分かりやすい例としては、「時計をお持ちでしたら拝見させて下さい」「先生のお手紙を拝見しました」「切符をちょっと拝見します」「あなたのブログをいつも拝見しております」などがあります。
拝読と拝見の使い分け方
拝読と拝見という言葉は、どちらも資料やメールなどに目を通すことを表す謙譲語であり、主にビジネスシーンで使われている言葉です。二つの言葉は、似た表現をしますが、厳密には意味や使い方には違いがあります。
拝読とは、読むことの謙譲語であり、謹んで読むことを意味します。文字や文章を見て、その意味や内容を理解するような、書籍や資料などを読むものに対して使います。
拝見とは、見ることの謙譲語であり、謹んで見ることを意味します。見るとは、視覚に入れることの他に、読んで知ることも表すため、写真や絵画のほかに新聞やメールなどに対しても用いられています。
つまり、拝読と拝見の違いは、「読むこと」と「見ること」の違いになります。ただし、「見ること」は読んで知ることの意味もあるため、新聞やメール、資料などに対しては拝読と拝見のどちらの使っても問題ありません。
拝読と拝見の英語表記の違い
拝読を英語にすると「read」となり、例えば上記の「あなたからのメールを拝読しました」を英語にすると「I read your email」となります。
一方、拝見を英語にすると「look」「see」「watch」となり、例えば上記の「拝見させて下さい」を英語にすると「Let me have a look」となります。
拝読の意味
拝読とは
拝読とは、読むことを、その筆者を敬っていう謙譲語を意味しています。
拝読の使い方
拝読を使った分かりやすい例としては、「お手紙をとても嬉しく拝読しました」「教授の研究論文を拝読する」「毎日配信されるメルマガを拝読しております」「英語で書かれた小説を拝読する」などがあります。
その他にも、「取引先の提案書を拝読する」「御社の資料を拝読してご連絡させて頂きました」「あなたのプロフィールを拝読しました」「報告書を拝読しましたが一点確認させてください」などがあります。
拝読とは、自分が読むという動作をへりくだって表す謙譲語です。謹んで読むことを意味し、書籍や出版物などを書いた筆者を敬った表現です。また、ビジネスの場や目上の方から頂いた資料や手紙などを読むことにも、よく用いられる言葉です。
「拝読ください」は誤用
自分の読む行為をへりくだって言う表現であるため、相手や第三者に対して使うことは出来ません。「拝読ください」のような使い方は誤用になります。
「拝読いたします」「拝読いたしました」「拝読させていだだきました」は二重敬語
拝読を用いた誤った表現には「拝読いたします」「拝読いたしました」「拝読させていだだきました」があります。これらは「拝読」という謙譲語に、「いたす」「いただく」という謙譲語を重ねた二重敬語であり、誤った表現となります。しかし、広く使われているため世間的に認められつつあります。
拝読の対義語
拝読の対義語・反対語としては、読むことの尊敬語である「お読みになる」「読まれる」などがあります。
拝読の類語
拝読の類語・類義語としては、謹んで読むことを意味する「拝誦」(読み方:はいしょう)、書物を読むことを意味する「書見」、本を読むことを意味する「読書」、書物や新聞などの内容を調べながら読むことを意味する「閲覧」などがあります。
拝見の意味
拝見とは
拝見とは、見ることをへりくだっていう語、謹んで見ることを意味しています。
拝見の使い方
拝見を使った分かりやすい例としては、「チケットを拝見させて下さい」「御社の資料を拝見しました」「ホームページを拝見いたしました」「届いたメールを拝見する」「ブログを楽しく拝見しております」などがあります。
その他にも、「初めてお顔を拝見する」「さっそく先生の作品を拝見します」「いつも楽しく動画を拝見しています」「詳しい資料は後ほど拝見します」「お手並み拝見といこうじゃないか」などがあります。
拝見とは、自分が見るという動作をへりくだって表す謙譲語です。謹んで見ることを意味し、テレビやインターネット、作品や本、人の顔など幅広い対象物に対して使える言葉です。前述した拝読と同様に、相手や第三者の見る行為に用いることは出来ない言葉です。
「お手並み拝見」の意味
拝見という言葉を用いた日本語には「お手並み拝見」があります。相手の腕前や能力がどれくらいあるか見させていただきましょうの意味であり、相手をやや見下したニュアンスがあります。場面や相手によっては失礼にあたるため、使い方には注意しましょう。
「拝見いたします」「拝見させていただく」「拝見させていただだいております」は二重敬語
拝見という言葉を用いた誤った使い方には、「拝見いたします」「拝見させていただく」「拝見させていただだいております」などがあります。これらは、同じ種類の敬語を重ねて使った二重敬語のため間違いです。しかし、一般的に使われており認められつつあります。
拝見の対義語
拝見の対義語・反対語としては、見ることの尊敬語である「ご覧になる」「ご覧くださる」などがあります。
拝見の類語
拝見の類語・類義語としては、神社仏閣やその宝物などを謹んで観覧することを意味する「拝観」、見物することを意味する「観覧」、催し物や名所旧跡などを見て楽しむことを意味する「見物」、その場所に行って見ることを意味する「参観」などがあります。
拝読の例文
この言葉がよく使われる場面としては、謹んで読むことを表現したい時などが挙げられます。
例文4について、拝読は自分をへりくだって表現したい時に使う謙譲語であり、相手に対して使うことは出来ません。目上の方に資料を読んで頂きたい時には、尊敬語を用いて「お読みください」「ご覧ください」と伝えると良いでしょう。
拝見の例文
この言葉がよく使われる場面としては、謹んで見ることを表現したい時などが挙げられます。
例文3について、「拝見いたします」「拝見いたしました」は、「拝読」という謙譲語に「いたす」という謙譲語を重ねた二重敬語となり、誤った表現となります。「拝見します」「拝見しました」が正しい表現です。
拝読と拝見という言葉は、どちらも資料などに目を通すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、へりくだって読むことを表現したい時は「拝読」を、へりくだって見ることを表現したい時は「拝見」を使うようにしましょう。