【平等】と【公平】と【公正】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「平等」(読み方:びょうどう)と「公平」(読み方:こうへい)と「公正」(読み方:こうせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「平等」と「公平」と「公正」という言葉は、偏りがないことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




平等と公平と公正の違い

平等と公平と公正の意味の違い

平等と公平と公正の違いを分かりやすく言うと、平等は偏りがなく等しいことを表現する時に使い、公平は判断や行動が偏らないことを表現する時に使い、公正は不正がないことを表現する時に使うという違いです。

平等と公平と公正の使い方の違い

平等という言葉は、「平等に分けたとして皆が納得しなければ意味がない」「男女が平等に労働に取り組むことができる社会が目指される」などの使い方で、偏りや差別がないことを意味します。

公平という言葉は、「公平な情報の開示がなされる」「彼の公平性を欠く言動に腹が立つ」などの使い方で、全ての物を同じように扱うことを意味します。

公正という言葉は、「サービスの品質ももちろんだが公正さにも注目している」「公正な判断を行う」などの使い方で、偏らず不正がないことを意味します。

平等と公平と公正の使い分け方

平等と公平はどちらも偏りのない状態を表しますが、前者は全員に同じものを同じだけ与える場合に使い、後者は全員が納得する状態に落とし込まれる場合に使われる言葉です。

例えば、カレーを子ども三人に分ける場合、平等という言葉は一人分の量は全員同じ状態を表します。しかし、年齢や体格、生活環境によって食べる量が変わるため、それらの状況に合わせてカレーを分けた状態を公平という言葉で表します。

また、一人に与える金銭が同じであることは平等ですが、全員が健康な生活を維持できるかと言われる状態でなければ公平とは言えません。

一方、公正という言葉も、平等や公平のように平等に扱うことを意味しますが、不正がなく、はっきりとしていることを重視する言葉です。「公正な判断」という表現を「公平な判断」とすることは出来ますが、不正の有無は度外視されます。

これらが、平等、公平、公正の明確な違いです。

平等の意味

平等とは

平等とは、偏りや差別がなく等しいことを意味しています。

表現方法は「平等に分ける」「平等に接する」「平等な社会」

「平等に分ける」「平等に接する」「平等な社会」などが、平等を使った一般的な言い回しです。

平等を使った言葉として、「平等権」「平等院」があります。

「平等権」の意味

一つ目の「平等権」とは、すべて国民が法の下に平等で、人種、信条、性別や社会的身分などによって国政上差別されないという権利で、基本的人権のうちの一つに当たります。

この法律のもとで、労働において男女間の差を設けるような採用は差別とされ、日本国籍を取得していない母と日本国籍を持つ父の間に生まれた子どもの国籍に関する裁判が行われ、日本国籍の取得が認められるようになりました。

「平等院」の意味

二つ目の「平等院」とは、京都府にある寺院で、数々の建造物が文化財などとされ、国宝である鳳凰堂は世界遺産に登録されています。

この平等は、仏による救済が平等であることを意味する言葉で、一般的に使われる平等という言葉とは意味が異なります。

平等の対義語

平等の対義語・反対語としては、あるものと別のある物との間に認められる違いを意味する「差別」、平等でないことを意味する「不平等」があります。

平等の類語

平等の類語・類義語としては、程度や等級などが同じであることを意味する「同等」、資格や地位などが同じであることを意味する「同格」、価値や価格が同じであることを意味する「等価」、偏らず公正な立場にあることを意味する「不偏」などがあります。

公平の意味

公平とは

公平とは、全てのものを同じように扱うことを意味しています。また、判断や処理などが偏っていないことも表します。

表現方法は「公平に期す」「公平に扱う」「公平な目」

「公平に期す」「公平に扱う」「公平な目」などが、公平を使った一般的な言い回しです。

公平を使った言葉として、「公平無私」「公平委員会」があります。

四字熟語「公平無私」の意味

一つ目の「公平無私」とは、公平で私的な感情や利益を交えないことを意味する四字熟語です。この四字熟語と対になる言葉として、他よりも特にその者に目を掛けることを意味する「依怙贔屓」(読み方:えこひいき)があります。

「公平委員会」の意味

二つ目の「公平委員会」とは、地方自治体に設置される行政委員会の一つで、市役所職員などの地方公務員の利益の保護や公平な人事のために審査などを行う機関です。

具体的には、職員の給与や勤務時間などの勤務条件に関する要求や、職員からの苦情相談などに関してが業務内容で、この機関は地方公共団体のトップに当たる人たちからは独立した機関です。

公平の対義語

公平の対義語・反対語としては、偏りがあることを意味する「不公平」があります。

公平の類語

公平の類語・類義語としては、こだわりも持たずに素直であることを意味する「虚心」、対立するどちら側にも味方しないことを意味する「中立」、道理にかなって正しいことを意味する「正当」、偏ることなく変わらないことを意味する「中庸」などがあります。

公正の意味

公正とは

公正とは、偏りがなく正当であることを意味しています。

表現方法は「公正を期す」「公正な取引」「公正な判断」

「公正を期す」「公正な取引」「公正な判断」などが、公正を使った一般的な言い回しです。

公正を使った言葉として、「公正証書」「公正利用」があります。

「公正証書」の意味

一つ目の「公正証書」とは、ある人が法的に意味のある行為をしたという事実を証明する文書を指す言葉で、法務大臣に任命された公証人と呼ばれる公務員が作成するものです。

例えば、遺言、離婚時の養育費などの取り決め、相続や金銭の貸し借りの約束といったものは公正証書にすることができ、最悪の場合には強制執行と言う形で裁判を起こし、勝訴した場合にはお金を返してもらうことができます。

「公正利用」の意味

二つ目の「公正利用」とは、他者の著作物は、学校教育に使用するなど一定の公正な利用であれば著作権者の許可なく使用することができるという決まりで、アメリカの著作権法で定められているフェアユースを指す言葉です。

公正の対義語

公正の対義語・反対語としては、正しくない行為を意味する「不正」、考え方が偏っていることを意味する「偏向」があります。

公正の類語

公正の類語・類義語としては、公平で不正や隠し立てがないことを意味する「公明」、立場が一方に偏らずに正しいことを意味する「中正」、適当で正しい様子を意味する「適正」、間違いのない様子を意味する「的確」などがあります。

平等の例文

1.男女平等の世界になってきたと言えど、未だに男性の方が労働面で優遇されている国が多い。
2.相手にする学生によって対応を変える教師に、思わず不平等だと声に出したくなる時がある。
3.教育を受ける機会を平等に与えるために、義務教育という制度が存在する。
4.歳の異なる3人の子どもにお菓子を平等に分けるというのは難しい。そもそもの食べる量が違うのだから。
5.評論家たちは平等な社会をとは言うが、いまの時代日本の経済が落ち込む中でそれぞれ持つものと持たざるものに分断されているのだからなかなか難しいだろう。
6.子供たちはケーキを平等に切り分けるつもりが、切る大きさを間違ってしまったので、それに不満な子供たちが文句を言って喧嘩になってしまった。
7.上司はだれにでも平等に接するので後腐れのようなものがないが、一方であまりそれぞれの社員の事情を汲んでくれないので一長一短ではある。

この言葉がよく使われる場面としては、偏りや差別がなく等しいことを意味する時などが挙げられます。

例文1の「男女平等」は、「ジェンダー平等」とも言い換えられています。

公平の例文

1.公平性を維持するために、条件や金銭面などで参加者に不公平が生じないように調整している。
2.公平を期すために、各々が使い慣れている道具ではなく、新品の物が用意された。
3.税金制度に関して、公平さを欠くと判断した市民は集団行動として暴動を起こした。
4.役員選びは公平を期してくじ引きにと提案したが、くじの作り方にまで文句を言われ、そこまで役員がやりたくないのかと逆に呆れた。
5.わたしたちは素手なのになぜか相手は武器を持っている者もおり、これでは公平な勝負とは言えないのだが、勝つためには手段を択ばないという感じであった。
6.わたしは社内の派閥の戦いに巻き込まれたくなったかので、両社とも公平な態度を装うことで回避し続けていたのだが、かえって両社を敵に回してしまったのかもしれない。
7.学生の時、当初は教師たちは公平無私な存在だと疑わなかったが、実際はそんなことはなく特定の生徒に贔屓した態度をとっている教師もいて失望したものだった。

この言葉がよく使われる場面としては、全ての物を同じように扱うことを意味する時などが挙げられます。

「公平を期す」「公平を欠く」「公平性を保つ」「公平性を図る」「公平性がある」など、公平を使った表現は多く使われています。

公正の例文

1.公正な取引を行うために、第三者の目の前で取引を行い、証人となってもらった。
2.牛乳には、正しく製造され、適正な表示がされていることを証明する公正マークが付けられている。
3.報酬を分配するにあたって公正であることは、その企業に信頼にも関わってくる。
4.人が善悪を判断するのだから、100%公正な裁きと言ってもやはりそこには多少なりとも感情が介在するのではないだろうか。
5.いままでエンターテインメント部門に対する公正取引委員会の態度はほとんど放置状態であったが、昨今はタレントの労働問題や権利などを重視し始めたように思う。
6.もしもインサイダー取引が横行すれば市場の公正性が失われて、投資する人もいなくなってしまうことだってあり得るので厳しく取り締まりをしなくてはならないだろう。
7.メディアは公正な報道を常に心がけてきたというが、視聴者はそれらに疑義の目を向けているし、評論家でさえ偏向していると言っているのだからね。

この言葉がよく使われる場面としては、偏りがなく正当であることや、はっきりとして正しいことを意味する時などが挙げられます。

例文2の「公正マーク」は、牛乳だけではなく、ハム・ソーセージや、電化製品、自動車などにも付けられています。

平等と公平と公正どれを使うか迷った場合は、偏りがなく等しいことを表す場合は「平等」を、判断や行動が偏らないことを表す場合は「公平」を、不正がないことを表す場合は「公正」を使うと覚えておけば間違いありません。

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