似た意味を持つ「インシデント」と「アクシデント」と「トラブル」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「インシデント」と「アクシデント」と「トラブル」という言葉は、事故などの問題という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
インシデントとアクシデントとトラブルの違い
インシデントとアクシデントとトラブルの意味の違い
インシデントとアクシデントとトラブルの違いを分かりやすく言うと、インシデントは悪い出来事を表現する時に使い、アクシデントは小規模な事件を表現する時に使い、トラブルは困惑する出来事を表現する時に使うという違いです。
インシデントとアクシデントとトラブルの使い方の違い
インシデントという言葉は、「インシデント報告を受けて今後の業務に生かす」「どの業界でもインシデントは重要だ」などの使い方で、事故などが発生する危険のある事態を意味します。
アクシデントという言葉は、「あのアクシデントさえなければ優勝できたかもしれない」「アクシデントを乗り越えて更なる実力をつける」などの使い方で、不意の出来事を意味します。
トラブルという言葉は、「トラブルだらけの日々だったがようやく落ち着いた」「その計画においてトラブルは避けて通れないだろう」などの使い方で、もめごとや不調を意味します。
インシデントとアクシデントとトラブルの使い分け方
インシデントとアクシデントは偶然起きた悪い出来事に対して使われる言葉ですが、前者はテロなどの大きな事件に対して使われるのに対して、後者は車の事故など小規模な出来事に対して使われます。
また、インシデントもアクシデントも、本来の英語であれば起きた出来事の良し悪しに関わらず使うことができる言葉ですが、前者はとりわけ悪い出来事に対して使われています。
一方のトラブルも、悪い事件や事象に対して使われる言葉ですが、事故や事態ではなく、人間関係などの困ったこと全般に対して使うことができる言葉です。
これが、インシデント、アクシデント、トラブルの明確な違いです。
インシデントの意味
インシデントとは
インシデントとは、事故などが発生する危険のある事態を意味しています。
インシデントを使った言葉として、「インシデントレポート」「重大インシデント」があります。
表現方法は「インシデントを減らす」「インシデントを防ぐ」「インシデントが発生する」
「インシデントを減らす」「インシデントを防ぐ」「インシデントが発生する」などが、インシデントを使った一般的な言い回しです。
「インシデントレポート」の意味
一つ目の「インシデントレポート」とは、事故につながってもおかしくないような、ひやりとした出来事に関する報告書を指す言葉で、医療現場において使われます。
また、「ヒヤリハット報告書」とも呼ばれますが、こちらの表現は医療現場だけではなく、介護、保育、建設など様々な業界で使われます。実際に現場で起きた危険な事例が報告書としてまとめられることによって、事故を未然に防ぎます。
「重大インシデント」の意味
二つ目の「重大インシデント」とは、航空や鉄道、船舶などの事故が発生する恐れがあるとされる事態を指す言葉です。車両の脱線や、車両や線路などの障害、また危険物の漏洩などは報告義務が発生する事態であり、重大インシデントに該当します。
インシデントの類語
インシデントの類語・類義語としては、激しい変化や曲折のあることを意味する「波乱」、解決が容易ではなく煩わしいことを意味する「面倒」、妨げとなるものや状況を意味する「障害」、面倒なことを意味する「厄介」などがあります。
アクシデントの意味
アクシデントとは
アクシデントとは、不意の出来事を意味しています。
表現方法は「アクシデントが起こる」「アクシデントが続く」「アクシデントを起こす」
「アクシデントが起こる」「アクシデントが続く」「アクシデントを起こす」などが、アクシデントを使った一般的な言い回しです。
アクシデントを使った言葉として、「シビアアクシデント」「アクシデントマネジメント」があります。
「シビアアクシデント」の意味
一つ目の「シビアアクシデント」とは、原子力発電所の原子炉施設において、設計時に考えられていた範囲を超える異常な事態を指す言葉です。過酷事故や、原子炉で起きた事態に対しては炉心損傷事故とも言われています。
「アクシデントマネジメント」の意味
二つ目の「アクシデントマネジメント」とは、想定外の事態が発生した場合に被害を最小限に抑えるために、あらかじめ作られていた対応策を指す言葉です。特にシビアアクシデントに対応するための安全確保対策を指します。
また、実際にシビアアクシデントに発展する事態が起こってしまった場合に、その拡大を止めるために影響を緩和するために実施する策を指します。
アクシデントの類語
アクシデントの類語・類義語としては、思いがけない事件を意味する「変事」、状態が急に変わることを意味する「急変」、普段は見られないような異常な現象や出来事を意味する「異変」、思いがけず生じた悪い出来事を意味する「事故」などがあります。
トラブルの意味
トラブルとは
トラブルとは、もめごとや不調を意味しています。
トラブルは「トラブる」と動詞で使われることも多い
トラブルは名詞として使われますが、「トラブったから先に向かってほしい」「トラブらないように注意している」などのように「トラブる」と表記することで動詞化され、もめごとが起こることや故障することを表現することができます。
表現方法は「トラブルが続く」「トラブルを起こす」「トラブルを避ける」
「トラブルが続く」「トラブルを起こす」「トラブルを避ける」などが、トラブルを使った一般的な言い回しです。
トラブルを使った言葉として、「トラブルメーカー」「トラブルシューティング」があります。
「トラブルメーカー」の意味
一つ目の「トラブルメーカー」とは、もめごとをよく起こし、原因となる人を意味する言葉です。何かにつけて問題を起こすことから、良い意味では使われていません。「トラブルメイカー」と表記されることもありますが意味は変わりません。
「トラブルシューティング」の意味
二つ目の「トラブルシューティング」とは、機械の故障やソフトウェアに問題などが発生した時の解決方法を指す言葉です。IT業界などシステムを管理する企業では多く使われていますが、普段からパソコンを触っている人であれば目にする言葉です。
また、こういったシステム上の問題や故障を解決する人を「トラブルシューター」と言います。
トラブルの類語
トラブルの類語・類義語としては、邪魔をすることを意味する「妨害」、大人数が騒ぎ立てて秩序が乱れるような事件や事態を意味する「騒動」、感情や意見の食い違いから起こるもめごとを意味する「悶着」などがあります。
インシデントの例文
この言葉がよく使われる場面としては、事故などが発生する危険のある事態を意味する時などが挙げられます。
例文2の「インシデント管理」とは、システムの管理におけるインシデントに対応して利用し続けられる環境を整えることを指す言葉です。
アクシデントの例文
この言葉がよく使われる場面としては、不意の出来事を意味する時などが挙げられます。
例文のアクシデントという言葉は、大規模な問題に対しては使うことができないため、トラブルに置き換えて使うことができますが、インシデントは置き換えて使うことができません。
トラブルの例文
この言葉がよく使われる場面としては、もめごとや不調を意味する時などが挙げられます。
例文2のように「トラブる」という表記で、トラブルを動詞化することができますが、若者言葉であることから、目上の人に対して使うのは失礼とされています。
インシデントとアクシデントとトラブルどれを使うか迷った場合は、悪い出来事を表す場合は「インシデント」を、小規模な事件を表す場合は「アクシデント」を、困惑する出来事を表す場合は「トラブル」を使うと覚えておけば間違いありません。